27 / 75
24
しおりを挟む
最後のグループとなった舞踏会、演奏曲が変わりテンポの早い曲となったがその影響を受ける組は一切いない…私とアイザックペアを含めてダンスは一切の迷いなく、ミスもなく踊っている。
観客である生徒達の視線を感じるのは気のせいではないだろう、私も王妃教育で多少の嗜みはあったため自信はあったのだけど、アイザックは誰よりもダンスが上手であり、リードに非常に助けられている。
アイザックのマグノリア公爵家は教育に厳しいと聞いた事があるが、この実力では納得である。
「ここからテンポが上がるぞ、デイジー…」
「ええ、ありがとう」
彼はこの曲を知っているのだろう、細やかな指示を受けながら踊り、そして笑顔を絶やさぬ彼は周囲の視線を釘付けにしており、私も楽しく踊る事ができた。
逆にランドルフペアを見れば悲惨であった、ランドルフは足をつまずいたり……ローザの足を踏んでしまったりと散々な結果だ、理由はただ一つ、私とアイザックペアが気になり視線がペアを向いていないからだ。
こうして、私の評価を下げようと画策したランドルフだったけれど結果は寧ろ逆であった、演奏曲が終わり笑顔と共にお辞儀をすると溢れんばかりの拍手と喝采が私達に向けて送られた。
1人だったなら、私は再び失笑の的となっていただろう…アイザックには感謝しかない。
「デイジー…俺は君の役に立てたか?」
「ええ、とても…ありがとう、アイザック」
返事をした私に、彼は嬉しそうに笑いながら片膝を地面に下ろした、まるで忠誠を誓う騎士のように頭を垂れて。
「ど、どうしたのですか?」
嫌な予感がした、きっとそれは当たっているだろう。
「俺は正当な褒美が欲しい、デイジー…頭を撫でてくれないか?」
こういった時の予感は大抵当たる。
「…皆様の前ですよ、それに公爵家の令息である貴方が、伯爵家の令嬢である私に頭を撫でられるなど後ろ指を刺されるかもしれません」
「構わないさ、それに爵位の上下など関係ない…気位の高い考えは嫌いだと言ったのは君だろう?俺にはそんな考えはもうない…」
「はぁ…なぜそこまで?」
「俺は君に褒めてもらえるのが至上の喜びだからだ!」
明快に笑って答える彼に、思わず胸の鼓動が少しだけは早くなる、恥ずかしいが手を伸ばして彼の頭を撫でる…白金色に輝く髪はふわりと揺れて、優しく撫でると彼は身を震わせるように喜びを嚙みしめている。
まずい、私も少しだけ彼の望み通りの感情が湧いているのかもしれない…いや、これはきっとペット、そう犬を撫でている時のような幸福感と同じだ。
そう言い聞かせながら、彼の頭を撫で終わり顔を上げると…周囲の生徒達は熱烈な歓声を上げて私達に色めく声を届ける、祝福の声は膨れ上がり……………これ、、かなり勘違いさせているのでは?
「あ………貴方が誤解を解いてくださいね」
思わず、赤面しながらそう呟くと彼は歓声に答えるように手を振って答える・
「いつか、誤解ではなくしてみせるさ」
「……あ、貴方は……」
手玉に取られているようで、少しだけ気に食わないが…それも少し心地よい自分がいる事は確かだ。
歓声の中で舞踏会の終了が告げられる、それと同時に雑多の中から飛び出したモネが私に抱きついた。
「2人とも凄かったよ!最後のグループとで一番だった!……優秀賞間違いなしだよ!」
「モネ…」
「ふははは、そうだろう!当たり前だ!」
「それに、まさか2人がそんな関係だったなんて…」
モネはニヤニヤと笑い、私に呟きからかう。
「な……何を、違いますよ」
「でも顔は真っ赤だったよ!」
「これは………羞恥心です!」
やいやいと言い合い、アイザックも関係ないように笑っており…誰のせいだと少し腹が立つが2人に囲まれて、私は確かに楽しく、そして素直に笑う事ができた。
「ちょっと待った!!」
舞踏会が終了となり、結果を待っていた私達や会場の生徒達の視線を集めたのは…やはりこの結果に納得ができない彼だった、笑い合って談笑していた私達に向かって叫ぶように声を上げる。
「不正だ!!今のは明らかな不正だ!!」
「はぁ…」と心地よく終わった舞踏会に水を差すような彼の言動にため息を吐きながら、私はランドルフへ視線を向けて、口を開く。
「ランドルフ様、不正とは一体なんのことでしょうか?」
「先程の演奏曲、お前とアイザックペアは明らかに演奏曲を知っていた器量であった、突然曲が変わってあの完成度は有り得ない!!」
「それは、貴方だけの事情では?現に他のペアの方々は曲が変わっても順調にダンスをできていましたよ?」
「ぐ…」
「誰かを貶めようと必死に見ているからミスばかりだったのです、まずは目の前のお相手に集中されては?ランドルフ様」
「き…貴様…」
くすくすと周囲から聞こえた笑い声、必死に叫ぶランドルフを見て先程の粗末なダンスを思い出してしまったのだろう、皆が気を遣って王子の醜態を忘れようとしてくれていたのに、自分自身で思い出されるような言いがかりをするなんて…どうしようもない人だ。
「俺は知っているぞ!!ガーランド講師を脅して演奏曲を強制して変更させたのだと!」
なるほど…そうきましたか、自分で仕組んでいた事を私達に擦り付けようとしているのだ、ガーランド講師を懐柔しているからこその強気の言葉、私が否定してもガーランド講師が頷けば状況は覆る。
私に残されたのは反論のみ。
「有り得ませんよ、私とガーランド講師に接点はありませんから」
「は!それではガーランド講師に直接聞い!!………………ふが!!」
突然、自信満々に話していたランドルフの顎をアイザックが押し上げ喋れないようにする、その瞳孔は開いており、怒りの表情は背筋に冷えた寒さを感じた。
「ランドルフ、これ以上……デイジーへの侮辱は許さん、貴様の立場など関係ない、彼女の気高さを馬鹿にするようなら王家にさえ剣を向けても構わんぞ」
「き…きざまっ!」
「二度と口を開けなくしてやろか?」
アイザックが激昂した姿を見たのは始めてであった、いつも明快に笑っている彼だからこそ、怒っている姿は何処か怖く、思わず服の裾を掴み引っ張る。
「わ、私は大丈夫ですアイザック………怖いですよ」
彼はランドルフから手を離すと、いつもと変わらぬ笑顔にパッと戻ると言葉を返す。
「すまない、頭に血が上ってしまった………しかし濡れ衣を着せられるのは気に食わん」
「それは私も同意です」
「ガ、ガーランド講師よ!今の話を聞いていただろう!」
アイザックの会場に響く声に反応するように、周囲の生徒達の視線は無言で何処か気まずそうに佇むガーランド講師へと注がれた。
「これから先の言葉は全て真実のみを語ってくれ、虚偽や偽りの言葉は無しだ」
鋭く、睨み付けて言い放つアイザックは講師やランドルフにもまるで怖気ずに、虚偽を許さぬ姿勢を貫く。
その気迫にガーランド講師は冷や汗を流しながら、ゆっくりと口を開き…ぽつぽつと言葉は発する。
「ら、ランドルフの言葉は…す………全て……」
「真実だ…デイジーは俺を脅して演奏曲を変更させた…断ればフィンブル伯爵家に生徒に手を出したと虚偽の報告をし、学園の講師を辞めさせると…」
言ってしまった言葉、アイザックは青筋を浮かべて義憤を溢れさせ…今にもガーランド講師を殴ろうか分かる程に強く拳を握っている。
「ふざけるなぁ!!デイジーがそのような愚劣な交渉をするがない!!!」
「言い訳はいい!!言った通りだ!!ガーランド講師が証言したな!?これが何よりも証拠だろう!」
自信満々に言い放つランドルフに対して、真っ向から進む女性が1人いた。
それは、その場の誰もが予想していなかった……私も含めて…
「ふざけないで!」
「………………モネ…」
叫び、普段の彼女からは考えられない怒りを見せるモネは、平民でありながらも…かつての彼女とは違い、王子や貴族の立場に恐れる事なく、凛として言い放つ姿の裏には、怒髪冠を衝く程の怒り。
「私の友達を、これ以上………侮辱しないで」
そこに立っていたのは、紛れもなく………私の親友だ。
観客である生徒達の視線を感じるのは気のせいではないだろう、私も王妃教育で多少の嗜みはあったため自信はあったのだけど、アイザックは誰よりもダンスが上手であり、リードに非常に助けられている。
アイザックのマグノリア公爵家は教育に厳しいと聞いた事があるが、この実力では納得である。
「ここからテンポが上がるぞ、デイジー…」
「ええ、ありがとう」
彼はこの曲を知っているのだろう、細やかな指示を受けながら踊り、そして笑顔を絶やさぬ彼は周囲の視線を釘付けにしており、私も楽しく踊る事ができた。
逆にランドルフペアを見れば悲惨であった、ランドルフは足をつまずいたり……ローザの足を踏んでしまったりと散々な結果だ、理由はただ一つ、私とアイザックペアが気になり視線がペアを向いていないからだ。
こうして、私の評価を下げようと画策したランドルフだったけれど結果は寧ろ逆であった、演奏曲が終わり笑顔と共にお辞儀をすると溢れんばかりの拍手と喝采が私達に向けて送られた。
1人だったなら、私は再び失笑の的となっていただろう…アイザックには感謝しかない。
「デイジー…俺は君の役に立てたか?」
「ええ、とても…ありがとう、アイザック」
返事をした私に、彼は嬉しそうに笑いながら片膝を地面に下ろした、まるで忠誠を誓う騎士のように頭を垂れて。
「ど、どうしたのですか?」
嫌な予感がした、きっとそれは当たっているだろう。
「俺は正当な褒美が欲しい、デイジー…頭を撫でてくれないか?」
こういった時の予感は大抵当たる。
「…皆様の前ですよ、それに公爵家の令息である貴方が、伯爵家の令嬢である私に頭を撫でられるなど後ろ指を刺されるかもしれません」
「構わないさ、それに爵位の上下など関係ない…気位の高い考えは嫌いだと言ったのは君だろう?俺にはそんな考えはもうない…」
「はぁ…なぜそこまで?」
「俺は君に褒めてもらえるのが至上の喜びだからだ!」
明快に笑って答える彼に、思わず胸の鼓動が少しだけは早くなる、恥ずかしいが手を伸ばして彼の頭を撫でる…白金色に輝く髪はふわりと揺れて、優しく撫でると彼は身を震わせるように喜びを嚙みしめている。
まずい、私も少しだけ彼の望み通りの感情が湧いているのかもしれない…いや、これはきっとペット、そう犬を撫でている時のような幸福感と同じだ。
そう言い聞かせながら、彼の頭を撫で終わり顔を上げると…周囲の生徒達は熱烈な歓声を上げて私達に色めく声を届ける、祝福の声は膨れ上がり……………これ、、かなり勘違いさせているのでは?
「あ………貴方が誤解を解いてくださいね」
思わず、赤面しながらそう呟くと彼は歓声に答えるように手を振って答える・
「いつか、誤解ではなくしてみせるさ」
「……あ、貴方は……」
手玉に取られているようで、少しだけ気に食わないが…それも少し心地よい自分がいる事は確かだ。
歓声の中で舞踏会の終了が告げられる、それと同時に雑多の中から飛び出したモネが私に抱きついた。
「2人とも凄かったよ!最後のグループとで一番だった!……優秀賞間違いなしだよ!」
「モネ…」
「ふははは、そうだろう!当たり前だ!」
「それに、まさか2人がそんな関係だったなんて…」
モネはニヤニヤと笑い、私に呟きからかう。
「な……何を、違いますよ」
「でも顔は真っ赤だったよ!」
「これは………羞恥心です!」
やいやいと言い合い、アイザックも関係ないように笑っており…誰のせいだと少し腹が立つが2人に囲まれて、私は確かに楽しく、そして素直に笑う事ができた。
「ちょっと待った!!」
舞踏会が終了となり、結果を待っていた私達や会場の生徒達の視線を集めたのは…やはりこの結果に納得ができない彼だった、笑い合って談笑していた私達に向かって叫ぶように声を上げる。
「不正だ!!今のは明らかな不正だ!!」
「はぁ…」と心地よく終わった舞踏会に水を差すような彼の言動にため息を吐きながら、私はランドルフへ視線を向けて、口を開く。
「ランドルフ様、不正とは一体なんのことでしょうか?」
「先程の演奏曲、お前とアイザックペアは明らかに演奏曲を知っていた器量であった、突然曲が変わってあの完成度は有り得ない!!」
「それは、貴方だけの事情では?現に他のペアの方々は曲が変わっても順調にダンスをできていましたよ?」
「ぐ…」
「誰かを貶めようと必死に見ているからミスばかりだったのです、まずは目の前のお相手に集中されては?ランドルフ様」
「き…貴様…」
くすくすと周囲から聞こえた笑い声、必死に叫ぶランドルフを見て先程の粗末なダンスを思い出してしまったのだろう、皆が気を遣って王子の醜態を忘れようとしてくれていたのに、自分自身で思い出されるような言いがかりをするなんて…どうしようもない人だ。
「俺は知っているぞ!!ガーランド講師を脅して演奏曲を強制して変更させたのだと!」
なるほど…そうきましたか、自分で仕組んでいた事を私達に擦り付けようとしているのだ、ガーランド講師を懐柔しているからこその強気の言葉、私が否定してもガーランド講師が頷けば状況は覆る。
私に残されたのは反論のみ。
「有り得ませんよ、私とガーランド講師に接点はありませんから」
「は!それではガーランド講師に直接聞い!!………………ふが!!」
突然、自信満々に話していたランドルフの顎をアイザックが押し上げ喋れないようにする、その瞳孔は開いており、怒りの表情は背筋に冷えた寒さを感じた。
「ランドルフ、これ以上……デイジーへの侮辱は許さん、貴様の立場など関係ない、彼女の気高さを馬鹿にするようなら王家にさえ剣を向けても構わんぞ」
「き…きざまっ!」
「二度と口を開けなくしてやろか?」
アイザックが激昂した姿を見たのは始めてであった、いつも明快に笑っている彼だからこそ、怒っている姿は何処か怖く、思わず服の裾を掴み引っ張る。
「わ、私は大丈夫ですアイザック………怖いですよ」
彼はランドルフから手を離すと、いつもと変わらぬ笑顔にパッと戻ると言葉を返す。
「すまない、頭に血が上ってしまった………しかし濡れ衣を着せられるのは気に食わん」
「それは私も同意です」
「ガ、ガーランド講師よ!今の話を聞いていただろう!」
アイザックの会場に響く声に反応するように、周囲の生徒達の視線は無言で何処か気まずそうに佇むガーランド講師へと注がれた。
「これから先の言葉は全て真実のみを語ってくれ、虚偽や偽りの言葉は無しだ」
鋭く、睨み付けて言い放つアイザックは講師やランドルフにもまるで怖気ずに、虚偽を許さぬ姿勢を貫く。
その気迫にガーランド講師は冷や汗を流しながら、ゆっくりと口を開き…ぽつぽつと言葉は発する。
「ら、ランドルフの言葉は…す………全て……」
「真実だ…デイジーは俺を脅して演奏曲を変更させた…断ればフィンブル伯爵家に生徒に手を出したと虚偽の報告をし、学園の講師を辞めさせると…」
言ってしまった言葉、アイザックは青筋を浮かべて義憤を溢れさせ…今にもガーランド講師を殴ろうか分かる程に強く拳を握っている。
「ふざけるなぁ!!デイジーがそのような愚劣な交渉をするがない!!!」
「言い訳はいい!!言った通りだ!!ガーランド講師が証言したな!?これが何よりも証拠だろう!」
自信満々に言い放つランドルフに対して、真っ向から進む女性が1人いた。
それは、その場の誰もが予想していなかった……私も含めて…
「ふざけないで!」
「………………モネ…」
叫び、普段の彼女からは考えられない怒りを見せるモネは、平民でありながらも…かつての彼女とは違い、王子や貴族の立場に恐れる事なく、凛として言い放つ姿の裏には、怒髪冠を衝く程の怒り。
「私の友達を、これ以上………侮辱しないで」
そこに立っていたのは、紛れもなく………私の親友だ。
212
お気に入りに追加
5,790
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
王子が主人公のお話です。
番外編『使える主をみつけた男の話』の更新はじめました。
本編を読まなくてもわかるお話です。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる