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10話ー私とあなたの答えー
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ナイフを手に取り、ゆっくりと進む
目の前のヘンリー王子はクズだ、殺してもきっと私の心は揺れ動くことはないだろう
彼を殺せばこの国にとどまれる
迷うことなんてない、私は人を殺すのに…迷いなんてないんだから
むしろ望んでいた事だ
ナイフを握り、目の前には泣き、助けを求めるヘンリー王子
その様子をハイド兄様とハインリッヒ父様は何も言わずに見ていた
冷たいナイフを首筋に当てる
ヘンリー王子はびくびくと怯え、その姿に…私の気持ちは大きくなっていく
クズは…死ぬべきだ…殺しても問題ない
ニヤリと笑みを浮かべ、私はナイフを振り上げた時
「アビゲイル…」
そう呟いたルーク様と瞳が合う
なにを…迷っている、目の前のヘンリーを殺せば彼ともいられる
けど………そうか………
私が殺せばきっと
レブル家の掟はそのために
私はナイフ握りしめて、振り下した
真っ赤な血しぶきが上がる、ヘンリー王子の悲鳴が響いた
殺していない
腕に突き刺したのだ
私は苦しむヘンリー王子より離れる
「私は殺しはしません…殺せば、私はこの王子と同じになってしまう」
人を殺した時、恐らく心には明確な距離ができる
気持ちの距離が、もし私がヘンリー王子を殺せば…もう兄様や父様と一緒に笑い合うことが出来なくなるのだろう
タガの外れた欲望はきっと止まらなくなる…
だから、これが私の答えだ
「本当にいいのか?アビー」
ハインリッヒ父様は私に問いかける
決めたんだ…私達の役目は殺す事ではない
きちんと報いを受けさせて罪を償わせる
それが反逆者の仕事だ…
「はい、父様この先の罰は私達の仕事ではありません」
「そうか……成長したな、アビー」
「お、お父様…止めてください」
嬉しそうに父様が私の頭を撫でる
まるで、子供の頃のようだ…いやお父様にとっては私などまだまだ子供だ
私はルーク様に向き直る
決断した、もう後悔なんてない
「ルーク様、私達の正体も知られてしまう…ここでお別れです…」
言いかけた瞬間、ルーク様が私を抱き寄せた
「君は…殺さないんだねアビゲイル、やっぱり強い人だ」
「ルーク様…私は、貴方と離れるのは悲しいです…ですが私は外道にはなれません」
「そうか………………僕は寂しいよアビゲイル、だから」
「え?」
ルーク様は私から離れ、ゆっくりとヘンリー王子へと歩み寄る
その手には私が身に着けていたナイフを携えて
「ル…ルーク様…?」
ルーク様は振り返らずに話す
「僕は悪魔だって言われていただろ?、それはきっと間違っていないんだ…僕は今も兄を殺すのに少しも躊躇がない…むしろ気分が高揚しているんだよ…」
うそ…
ルーク様は…優しくて…
なにを…言ってるの……
まるで私のように…
「君は言ったよねアビゲイル…生物はいずれ死ぬ…ならそれを決めるのは僕でもいいはずだよ、君と一緒にいれるなら喜んで僕は兄を殺すよ」
ルーク様は、ナイフを振り上げる
「や…やめろ!!おい!ルーク!!」
ヘンリー王子の声も…ルーク様は気にも留めずに話す
「アビゲイル…一つだけ真実を教えるよ、これを聞いても僕を好きでいてくれる?」
「ルーク様!!やめてください!!」
私の叫びも虚しく
彼は、こちらに振り向くこともなく
淡々と話した
「あの雨の日、君と埋めたあの猫は」
「僕が殺したんだよ」
ルーク様は躊躇いなくナイフを振り下ろした
血が飛び散り、彼の綺麗な顔は返り血に染まる
赤黒い液体が悲鳴と共に、流れた
目の前のヘンリー王子はクズだ、殺してもきっと私の心は揺れ動くことはないだろう
彼を殺せばこの国にとどまれる
迷うことなんてない、私は人を殺すのに…迷いなんてないんだから
むしろ望んでいた事だ
ナイフを握り、目の前には泣き、助けを求めるヘンリー王子
その様子をハイド兄様とハインリッヒ父様は何も言わずに見ていた
冷たいナイフを首筋に当てる
ヘンリー王子はびくびくと怯え、その姿に…私の気持ちは大きくなっていく
クズは…死ぬべきだ…殺しても問題ない
ニヤリと笑みを浮かべ、私はナイフを振り上げた時
「アビゲイル…」
そう呟いたルーク様と瞳が合う
なにを…迷っている、目の前のヘンリーを殺せば彼ともいられる
けど………そうか………
私が殺せばきっと
レブル家の掟はそのために
私はナイフ握りしめて、振り下した
真っ赤な血しぶきが上がる、ヘンリー王子の悲鳴が響いた
殺していない
腕に突き刺したのだ
私は苦しむヘンリー王子より離れる
「私は殺しはしません…殺せば、私はこの王子と同じになってしまう」
人を殺した時、恐らく心には明確な距離ができる
気持ちの距離が、もし私がヘンリー王子を殺せば…もう兄様や父様と一緒に笑い合うことが出来なくなるのだろう
タガの外れた欲望はきっと止まらなくなる…
だから、これが私の答えだ
「本当にいいのか?アビー」
ハインリッヒ父様は私に問いかける
決めたんだ…私達の役目は殺す事ではない
きちんと報いを受けさせて罪を償わせる
それが反逆者の仕事だ…
「はい、父様この先の罰は私達の仕事ではありません」
「そうか……成長したな、アビー」
「お、お父様…止めてください」
嬉しそうに父様が私の頭を撫でる
まるで、子供の頃のようだ…いやお父様にとっては私などまだまだ子供だ
私はルーク様に向き直る
決断した、もう後悔なんてない
「ルーク様、私達の正体も知られてしまう…ここでお別れです…」
言いかけた瞬間、ルーク様が私を抱き寄せた
「君は…殺さないんだねアビゲイル、やっぱり強い人だ」
「ルーク様…私は、貴方と離れるのは悲しいです…ですが私は外道にはなれません」
「そうか………………僕は寂しいよアビゲイル、だから」
「え?」
ルーク様は私から離れ、ゆっくりとヘンリー王子へと歩み寄る
その手には私が身に着けていたナイフを携えて
「ル…ルーク様…?」
ルーク様は振り返らずに話す
「僕は悪魔だって言われていただろ?、それはきっと間違っていないんだ…僕は今も兄を殺すのに少しも躊躇がない…むしろ気分が高揚しているんだよ…」
うそ…
ルーク様は…優しくて…
なにを…言ってるの……
まるで私のように…
「君は言ったよねアビゲイル…生物はいずれ死ぬ…ならそれを決めるのは僕でもいいはずだよ、君と一緒にいれるなら喜んで僕は兄を殺すよ」
ルーク様は、ナイフを振り上げる
「や…やめろ!!おい!ルーク!!」
ヘンリー王子の声も…ルーク様は気にも留めずに話す
「アビゲイル…一つだけ真実を教えるよ、これを聞いても僕を好きでいてくれる?」
「ルーク様!!やめてください!!」
私の叫びも虚しく
彼は、こちらに振り向くこともなく
淡々と話した
「あの雨の日、君と埋めたあの猫は」
「僕が殺したんだよ」
ルーク様は躊躇いなくナイフを振り下ろした
血が飛び散り、彼の綺麗な顔は返り血に染まる
赤黒い液体が悲鳴と共に、流れた
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