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9話ー大黒柱ー
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「おい、こっちに来ているぞ…」
「ゴレオン様、どうしますか?」
こちらに杖をついて近づいてくる
黒い面をつけた男性
普段なら警戒すべきだろう
だが今のゴレオンには城内から出てくる者を殺す役目がある
自分が出る必要はないだろう
ゴレオンはそう判断して部下たちに命令する
「お前たちはあの男を始末してこい、ここで見張るのは俺一人で充分だ」
「は、はい!」
数十人の騎士達が男の元に向かいだした
(奴らは俺が鍛えた精鋭騎士…歩くのもままならない一人の男程度簡単に始末できるだろう)
慢心
ゴレオンは欲に固執するあまり、最も危険な相手に油断していた
再び、王城へと向き直る
だが、明らかにおかしい
先程、男の元に向かった騎士団達の音が…全て聞こえなくなっている
数十人の音が全て、無音に…
慌てて振り返った時には既に遅かった
ハインリッヒは目の前にいたのだ、彼の目の前で杖をついて立っていた
そしてその後方には音もなく、刹那の瞬間に倒された騎士達が転がっていた
(な、なにが…起こっている…)
理解が追いつかないゴレオンに目の前のハインリッヒはため息を吐く
「はぁ…目の前に敵がいて理解が追い付かずに棒立ち……騎士団長の名が廃るね…」
ハインリッヒはそう言って挑発するように杖を突かずに歩き出した
ブラフ…
杖をついて無力を演じていたのだ
そのことに気づいたゴレオンは憤慨する、自分は手のひらで踊らされていたのだ
目の前の面をつけた男に
「な…舐めるなぁぁぁ!!!!」
ゴレオンは巨大な斧を構え、薙ぎ払う
一迅の旋風が巻き起こるほどの威力、地面が少し抉れ、砂煙が舞う
怪力による純粋な破壊の力
彼がストレングス国最強の騎士となるのも頷けるその威力
(確実に死んだはず…)
だが
「その獲物だと…足元が隙だらけになるぞ…若造」
ゴレオンは目の前の光景が信じられなかった
懇親の、全力の一撃だった、だが目の前の男は無傷のままだ
「お、お前は何者…だ」
「答える必要もないだろう?ただの道具になり果てた騎士には」
瞬間、目の前を光がきらめいた
白い刃がゴレオンの目を掠める
ハインリッヒの杖だ
仕込み杖となっており、杖から放たれた刃は綺麗な弧を描いた
「あぁぁlがぁぁぁう…腕がぁぁ!!」
ゴレオンの両腕は両断され、斧が大きな音を立てて転がる
「民も守れない、使えない道具には必要ないだろう…処分しておいたよ」
痛みで悶え、倒れていくゴレオンを放置して
ハインリッヒは待つ事にした
愛しい娘と…恐らくその夫となる者を
(娘の初恋の相手か…お父さんは少し寂しいよ……)
ハインリッヒは呻くゴレオンに腰掛けながらそう思った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お父様!やっぱり来てくださったんですね!」
私がルーク様と王城より出ると、大勢の騎士達が倒れており
その中心に父様がいた
「少し、散歩にきただけだよアビー…やっぱり腰が痛いね」
「もう!お父様ったら!」
「うぐっ…」
私が父様の腰をたたくとうずくまっていたがっている…
痛いのは本当だったみたい
ごめんなさい、お父様…
「アビゲイル…この方は」
「ルーク様、あなたの刃は一つではないということです」
「そうでしたか、すいません…我が王家の問題に協力していただき」
ルーク様はそう言って頭を下げようとしたが、それを父様が止める
「おやめください、ルーク様…私達は影、これが仕事なのです…そしてまだ全てが終わってはいませんよ」
父様がそう言ったと同時に
「その通りだ、アビー…そしてルーク様よ、あんた達にはまだ仕事がある」
ハイド兄様が現れ、どさりと縛りつけたヘンリー王子を投げ出す
そして、ハイド兄様は私に告げた
「これだけの人数に俺達の存在が知られた…アビーこれがわかるか?」
「ハイド兄様…」
「記憶処理剤も数はない…だから選べ、顔を知るヘンリー王子とその取り巻きを、レブル家の掟を破り全員殺して今まで通り過ごすか…」
ハイド兄様が言葉を続ける
「掟を守り、この国から出ていくか…」
私の背中を父様が押した
「アビー、お前が…自分で決めるんだ」
私が…選択して…殺す
持ち慣れているはずのナイフが
なぜか少し重く感じた
「ゴレオン様、どうしますか?」
こちらに杖をついて近づいてくる
黒い面をつけた男性
普段なら警戒すべきだろう
だが今のゴレオンには城内から出てくる者を殺す役目がある
自分が出る必要はないだろう
ゴレオンはそう判断して部下たちに命令する
「お前たちはあの男を始末してこい、ここで見張るのは俺一人で充分だ」
「は、はい!」
数十人の騎士達が男の元に向かいだした
(奴らは俺が鍛えた精鋭騎士…歩くのもままならない一人の男程度簡単に始末できるだろう)
慢心
ゴレオンは欲に固執するあまり、最も危険な相手に油断していた
再び、王城へと向き直る
だが、明らかにおかしい
先程、男の元に向かった騎士団達の音が…全て聞こえなくなっている
数十人の音が全て、無音に…
慌てて振り返った時には既に遅かった
ハインリッヒは目の前にいたのだ、彼の目の前で杖をついて立っていた
そしてその後方には音もなく、刹那の瞬間に倒された騎士達が転がっていた
(な、なにが…起こっている…)
理解が追いつかないゴレオンに目の前のハインリッヒはため息を吐く
「はぁ…目の前に敵がいて理解が追い付かずに棒立ち……騎士団長の名が廃るね…」
ハインリッヒはそう言って挑発するように杖を突かずに歩き出した
ブラフ…
杖をついて無力を演じていたのだ
そのことに気づいたゴレオンは憤慨する、自分は手のひらで踊らされていたのだ
目の前の面をつけた男に
「な…舐めるなぁぁぁ!!!!」
ゴレオンは巨大な斧を構え、薙ぎ払う
一迅の旋風が巻き起こるほどの威力、地面が少し抉れ、砂煙が舞う
怪力による純粋な破壊の力
彼がストレングス国最強の騎士となるのも頷けるその威力
(確実に死んだはず…)
だが
「その獲物だと…足元が隙だらけになるぞ…若造」
ゴレオンは目の前の光景が信じられなかった
懇親の、全力の一撃だった、だが目の前の男は無傷のままだ
「お、お前は何者…だ」
「答える必要もないだろう?ただの道具になり果てた騎士には」
瞬間、目の前を光がきらめいた
白い刃がゴレオンの目を掠める
ハインリッヒの杖だ
仕込み杖となっており、杖から放たれた刃は綺麗な弧を描いた
「あぁぁlがぁぁぁう…腕がぁぁ!!」
ゴレオンの両腕は両断され、斧が大きな音を立てて転がる
「民も守れない、使えない道具には必要ないだろう…処分しておいたよ」
痛みで悶え、倒れていくゴレオンを放置して
ハインリッヒは待つ事にした
愛しい娘と…恐らくその夫となる者を
(娘の初恋の相手か…お父さんは少し寂しいよ……)
ハインリッヒは呻くゴレオンに腰掛けながらそう思った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お父様!やっぱり来てくださったんですね!」
私がルーク様と王城より出ると、大勢の騎士達が倒れており
その中心に父様がいた
「少し、散歩にきただけだよアビー…やっぱり腰が痛いね」
「もう!お父様ったら!」
「うぐっ…」
私が父様の腰をたたくとうずくまっていたがっている…
痛いのは本当だったみたい
ごめんなさい、お父様…
「アビゲイル…この方は」
「ルーク様、あなたの刃は一つではないということです」
「そうでしたか、すいません…我が王家の問題に協力していただき」
ルーク様はそう言って頭を下げようとしたが、それを父様が止める
「おやめください、ルーク様…私達は影、これが仕事なのです…そしてまだ全てが終わってはいませんよ」
父様がそう言ったと同時に
「その通りだ、アビー…そしてルーク様よ、あんた達にはまだ仕事がある」
ハイド兄様が現れ、どさりと縛りつけたヘンリー王子を投げ出す
そして、ハイド兄様は私に告げた
「これだけの人数に俺達の存在が知られた…アビーこれがわかるか?」
「ハイド兄様…」
「記憶処理剤も数はない…だから選べ、顔を知るヘンリー王子とその取り巻きを、レブル家の掟を破り全員殺して今まで通り過ごすか…」
ハイド兄様が言葉を続ける
「掟を守り、この国から出ていくか…」
私の背中を父様が押した
「アビー、お前が…自分で決めるんだ」
私が…選択して…殺す
持ち慣れているはずのナイフが
なぜか少し重く感じた
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