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7話ーさぁレブル家のお仕事ですー
しおりを挟む「本当に行くんだね、アビー…お父さんは心配だよ」
屋敷を出ようとした時に
ハインリッヒ父様が心配そうに聞いてくる
お父様は心配症なのだ、優しいという事でもあるが
「もちろんです、お父様…今回は私たちも夜に動く訳には行きません…そうでしょう?」
「そ、それは…そうなのだが…ハイド、お前からも言ってくれんか?」
「旦那様、私もお嬢様には賛成です今日、ケリをつけましょう」
「言っても聞かんか…二人共、母親譲りだな」
「行ってきますね、それに信じていますよ…父様も来てくださるって」
「僕はもう引退したんだよ……腰が痛いし」
「もう!!いいですわ…行ってまいります!」
プリプリと怒りながら出ていくアビゲイルを見送りながら
ハインリッヒはつぶやく
「ハイド、頼めるか?」
「はっ…仰せの通り」
ハイドは途端に姿を消した
1人残ったハインリッヒは空を見て思う、本当によく育ってくれた
亡き母や、彼らの祖父もきっと喜んでいるだろう
「君の娘と息子は立派に育っているよ…僕もこれを最後の仕事にしよう」
ハインリッヒはポケットから黒い面を取り出し
顔につけると小さく微笑んだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヘンリー兄さん、考え直してください!民を脅しの材料にするなんて王家のやり方ではありません」
体調不良で不在の王に変わり王座にふんぞって座る第2王子のヘンリーに向かい
ルーク王子は叫んだ
だが
「わざわざ来たと思えば、それがお前の言葉か…兄はがっかりだよ」
ため息をつきながらヘンリー王子は言葉を続ける
「お前の知恵は使える、だから俺が有効利用してやる…そういったはずだ」
「兄さん、貴方は野盗達に不正に金を渡して国を襲わせ!更には騎士団を私欲のために使っている…許されるはずがない!」
「はっ…お前のたわごとを誰が信じる、悪魔と呼ばれて、さげすまれているお前にな」
「くっ…兄さん…何があなたをそこまで歪ませたんですか」
「歪ませたか…お前は知らないからだよ!病弱で部屋にこもっていたお前には!俺は兄の…第一王子であるライアンにずっと下に追いやられてきた!奴の力に伏せられ、ずっと屈辱を受けてきた」
「ヘンリー…兄さん」
「その時知ったんだ…力は使ってこそ有効だ…ただ持っているだけじゃ何も意味がない!!使わなければゴミと同じだ!!有効活用して何が悪い!」
口調も、息も荒く、ヘンリー王子は話す
「だから…ライアンがあんなことになった時…神の導きだと思ったよ…ようやく俺に力が回ってきたんだ、ようやく有効活用できるってな」
ルーク王子はヘンリー王子に詰め寄り、胸ぐらを掴む
「兄さんは間違ってる!!虐げられてきたからこそ!力は思いやりで使うべきだ」
「お前…なんも分かってないな」
ヘンリー王子は立ち上がり、ルーク王子を殴りつける
「なぁ…さっき言ったよな、力は有効活用しろって…まぁいい、もうお前には教えてやるよなぜお前が悪魔と呼ばれているのか」
「……なにを…」
「いいか?あれを広めたのは俺だ!母さんが亡くなったのもお前のせいにした、父さんを体調不良にしているのも俺が仕組んだ毒のせいさ!!ずっと前からこうなると信じて噂を流した」
「な…なぜそんなこと」
「それが、力の使い方なんだよ!今やこの国で俺以上の権力の持ち主はいない!騎士団も手駒だ、真実を調べようともしない馬鹿な貴族達も右に習えで付いてくる」
ヘンリー王子は拳を握るとルーク王子を殴りつける
何度も、何度も、血が床に飛び散る
「これが力だ!今のお前にはなにもない!なにも持っていない!お前の信じる思いやりとやらで…この圧倒的な力に何ができる!!こびへつらって頭を下げろ!お前には何も変えられないんだよ!誰もついてこない!」
ヘンリー王子が再度、拳を握った瞬間
「それは違いますわ…ヘンリー王子」
思いっ切り蹴りを入れてやった
渾身の力で、スカートなんてお構いなしに
「ガッ!!!ァァ!!」
いきなり蹴り飛ばされ、ヘンリー王子はなすすべもなく転がっていく
「ヘンリー王子、私はルーク様の優しさにひかれております…彼は無力ではありません」
ルーク様は、血を流しながら顔を上げる
「き、君は……アビゲイル…」
「ええ、ルーク様…遅ればせながらあなたの刃が参戦しました」
「刃……ま、まさか…君は…」
私はドレスのスカートを破り裂く、脚には何本ものナイフが付けられていた
そして、同時に黒い面を取り出す
「約束ですよね、ルーク様…今度私を見た時も…好きでいてくださいと」
「ルビー…いや、君が…そうだったんだね」
私はアビゲイル・レブル…
そして、彼に恋をした…反逆者だ
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