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十一話 大嫌いなお姉様
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「なにあれ。なによ、あれ!ずるい!ずるい!ずるすぎるわ!!」
買ってもらっていた品々は全て高級品であり、しかもエスコートしていたジークは、髪や目の色以外は完璧な容姿であった。
ロアンなど、比べるまでもなく、あちらの方がいい男である。
「ロアン様をやっと手にいれたと思っていたのに!お姉様ったら、あんな人を隠していたなんて、なんてズルいの!」
ベッドの上で、枕をバンバンとベッドに叩きつけながらナタリアは声を荒げた。
「ずるい!ずるい!」
枕はすでに、ボロボロになり、控えている侍女はいつ、こちらに被害がでるか分からずびくびくとしている。
「お姉様は、いつもずるい!でも、いいわ。だって、お姉様の物は全部私の物になる運命だもの!」
これまでずっとそうだったのだから、これからだってそうに決まっている。
ナタリアはにっこりと笑みを浮かべると父親の執務室へと向かおうと部屋を出た。
そこで、入口がやけに騒がしことに気付く。
「なによ。どうしたの?」
執事に声をかけると、困った様子で頭を下げて言った。
「どうやら、ルチアーナ様からの贈り物のようですが、どれもこれも素晴らしい品ばかりでして、今旦那様にどうするか確認をとっている所でこざいます。」
「贈り物?見せてちょうだい!」
ナタリアは色とりどりの美しく装飾の施された箱を次々に開けては、その豪華さと、美しさに目を奪われた。
「すごい。何これ。」
そこへ父も現れると、ナタリアと同じように目を輝かせて箱の品々を手に取っていく。
「素晴らしいな・・。」
そこへ母も加わり、一家総出で品々一つ一つ見ては感嘆の声を漏らす。
「素敵。ルチアーナにしては気が利くじゃない。」
母の言葉に、ナタリアはにやりと微笑みを浮かべると言った。
「お母様。違うわ。きっとこれは、ジーク様からの私への貢ぎ物よ。」
「どういう、意味だ?」
父と母の視線を受けて、ナタリアはにこりと可愛らしく微笑みを浮かべると、街でジークとルチアーナに会ったことを伝えた。そして、そこに自分の考えを付け加える。
「きっとジーク様は私に出会って、お姉様より私の方がいいと思ったのだわ。だからこうして贈り物をお姉様名義で送ってきたのよ。きっとそのうち、お手紙でお姉様と私を交換してほしいと言ってくるのではないかしら?」
自慢げに微笑みを浮かべるナタリアに、父と母は慌てたように言った。
「いや、あの男はダメだ。ナタリア。お前にはロアン殿がいるだろう?あの男は戦場の悪魔とも言われる恐ろしい男だ。可愛いお前をそんな男のことろへはやれない。」
「そうよ。ナタリア。あなたにもしものことがあれば、お母様はどうしたらいいの?」
両親の言葉に、ナタリアは不満気に唇を尖らせると言った。
「何で反対するの!?私はきっとジーク様と結婚した方が幸せになれるわ!家にだって、お姉様よりももっとお金を入れてもらうし!」
「いや、だがな。」
「お父様!お母様!大丈夫よ。ふふ。ジーク様にお礼のお手紙を書かなきゃ!そうだ!明日にでもジーク様に会いに行こうかしら?」
楽しげなナタリアの姿に、父も母もどうしたものかと眉間にシワを寄せるが、可愛いナタリアだからあの男も骨抜きになるやもしれないと期待を抱く。
この時、ナタリアがジークに言われた一言を両親に伝えておけばまだ未来は変わったかもしれない。
だが、もしも、を考えたところで後の祭りである。
買ってもらっていた品々は全て高級品であり、しかもエスコートしていたジークは、髪や目の色以外は完璧な容姿であった。
ロアンなど、比べるまでもなく、あちらの方がいい男である。
「ロアン様をやっと手にいれたと思っていたのに!お姉様ったら、あんな人を隠していたなんて、なんてズルいの!」
ベッドの上で、枕をバンバンとベッドに叩きつけながらナタリアは声を荒げた。
「ずるい!ずるい!」
枕はすでに、ボロボロになり、控えている侍女はいつ、こちらに被害がでるか分からずびくびくとしている。
「お姉様は、いつもずるい!でも、いいわ。だって、お姉様の物は全部私の物になる運命だもの!」
これまでずっとそうだったのだから、これからだってそうに決まっている。
ナタリアはにっこりと笑みを浮かべると父親の執務室へと向かおうと部屋を出た。
そこで、入口がやけに騒がしことに気付く。
「なによ。どうしたの?」
執事に声をかけると、困った様子で頭を下げて言った。
「どうやら、ルチアーナ様からの贈り物のようですが、どれもこれも素晴らしい品ばかりでして、今旦那様にどうするか確認をとっている所でこざいます。」
「贈り物?見せてちょうだい!」
ナタリアは色とりどりの美しく装飾の施された箱を次々に開けては、その豪華さと、美しさに目を奪われた。
「すごい。何これ。」
そこへ父も現れると、ナタリアと同じように目を輝かせて箱の品々を手に取っていく。
「素晴らしいな・・。」
そこへ母も加わり、一家総出で品々一つ一つ見ては感嘆の声を漏らす。
「素敵。ルチアーナにしては気が利くじゃない。」
母の言葉に、ナタリアはにやりと微笑みを浮かべると言った。
「お母様。違うわ。きっとこれは、ジーク様からの私への貢ぎ物よ。」
「どういう、意味だ?」
父と母の視線を受けて、ナタリアはにこりと可愛らしく微笑みを浮かべると、街でジークとルチアーナに会ったことを伝えた。そして、そこに自分の考えを付け加える。
「きっとジーク様は私に出会って、お姉様より私の方がいいと思ったのだわ。だからこうして贈り物をお姉様名義で送ってきたのよ。きっとそのうち、お手紙でお姉様と私を交換してほしいと言ってくるのではないかしら?」
自慢げに微笑みを浮かべるナタリアに、父と母は慌てたように言った。
「いや、あの男はダメだ。ナタリア。お前にはロアン殿がいるだろう?あの男は戦場の悪魔とも言われる恐ろしい男だ。可愛いお前をそんな男のことろへはやれない。」
「そうよ。ナタリア。あなたにもしものことがあれば、お母様はどうしたらいいの?」
両親の言葉に、ナタリアは不満気に唇を尖らせると言った。
「何で反対するの!?私はきっとジーク様と結婚した方が幸せになれるわ!家にだって、お姉様よりももっとお金を入れてもらうし!」
「いや、だがな。」
「お父様!お母様!大丈夫よ。ふふ。ジーク様にお礼のお手紙を書かなきゃ!そうだ!明日にでもジーク様に会いに行こうかしら?」
楽しげなナタリアの姿に、父も母もどうしたものかと眉間にシワを寄せるが、可愛いナタリアだからあの男も骨抜きになるやもしれないと期待を抱く。
この時、ナタリアがジークに言われた一言を両親に伝えておけばまだ未来は変わったかもしれない。
だが、もしも、を考えたところで後の祭りである。
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