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十七話 待ちに待った時間
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学園卒業の日。
シャルロッテが待ちに待ったこの日がやってきた。
前の時間軸では、婚約者であったルークに婚約破棄をされ、そして騎士であるオリバーに押さえつけられ、兄であるグレイに罪状を並べたてられた。
リラトは泣きそうな顔で私のことを見つめていた。
並べられた罪は身に覚えのないものばかりで、メリーはうるんだ瞳でルークに寄り添っていた。
「お前の罪は明白! ここに婚約破棄を宣言し、メリーを傷つけ、殺そうとしたお前にふさわしい罪状を言い渡す!」
会場は、不思議なほどに誰一人私の見方はおらず、そして私は牢へと入れられた。
リラトは泣きながら、私の牢へと現れた。
「ごめん……シャルロッテ……ごめん」
何度も謝るリラトに、シャルロッテは首を横に振った。
ただ、何も言わずに。
「お願いだ。シャルロッテ。もうこの世界がどうなってもいい。逃げよう。君の首が跳ねられるのなんて、僕は、僕は見たくない……」
すべての事情を離し終えたリラトはそういったが、シャルロッテは首を横に振った。
「いやよ」
自分の首が撥ねられる瞬間まで、シャルロッテは自分の婚約者が、その騎士が、兄が、自分の首を撥ねることなどないと信じたかった。
けれど、結局は撥ねられた。
簡単に。
メリーは笑っていた。
ルークも、オリバーも、グレイも、シャルロッテの首が撥ねられるのを止めなかった。
そのことを思い出しながら、シャルロッテは真っ赤な衣装を身にまとい、卒業式の舞踏会へと足を踏み入れる。
「綺麗だよ」
横に立つのはルーク。その後ろにオリバーが控えている。
グレイは会場でシャルロッテがルークとそろって入場すると、盛大に拍手を送っていた。
みんなが幸せそうな笑みを浮かべている。
シャルロッテは微笑んだ。
「楽しみですね」
一体何をメリーは仕掛けてくるのだろうか。
シャルロッテはそれが楽しみで仕方がない。
これまで待ったのだ。今日は盛大にメリーの頑張りに拍手を送ろうと思っている。
そして、今の時間軸で彼らはどう動くつもりなのか、それに関してもシャルロッテは楽しみにしていた。
前の時間軸で自分を殺した人たちが、今の時間軸ではどうするのか。
同じ人間でも、性格が変わり、自分とのかかわりが変わると、どうなるのか。
シャルロッテは舞踏会上内で最も美しく輝く。
その時、会場内にあまりにもその場に相応しくないボロボロな姿のメリーが一人で現れる。
さぁ、舞踏会の開演である。
今世では皆がどう舞台で踊るのか、シャルロッテはにこりと微笑んだ。
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「ごめん……シャルロッテ……ごめん」
何度も謝るリラトに、シャルロッテは首を横に振った。
ただ、何も言わずに。
「お願いだ。シャルロッテ。もうこの世界がどうなってもいい。逃げよう。君の首が跳ねられるのなんて、僕は、僕は見たくない……」
すべての事情を離し終えたリラトはそういったが、シャルロッテは首を横に振った。
「いやよ」
自分の首が撥ねられる瞬間まで、シャルロッテは自分の婚約者が、その騎士が、兄が、自分の首を撥ねることなどないと信じたかった。
けれど、結局は撥ねられた。
簡単に。
メリーは笑っていた。
ルークも、オリバーも、グレイも、シャルロッテの首が撥ねられるのを止めなかった。
そのことを思い出しながら、シャルロッテは真っ赤な衣装を身にまとい、卒業式の舞踏会へと足を踏み入れる。
「綺麗だよ」
横に立つのはルーク。その後ろにオリバーが控えている。
グレイは会場でシャルロッテがルークとそろって入場すると、盛大に拍手を送っていた。
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シャルロッテは微笑んだ。
「楽しみですね」
一体何をメリーは仕掛けてくるのだろうか。
シャルロッテはそれが楽しみで仕方がない。
これまで待ったのだ。今日は盛大にメリーの頑張りに拍手を送ろうと思っている。
そして、今の時間軸で彼らはどう動くつもりなのか、それに関してもシャルロッテは楽しみにしていた。
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シャルロッテは舞踏会上内で最も美しく輝く。
その時、会場内にあまりにもその場に相応しくないボロボロな姿のメリーが一人で現れる。
さぁ、舞踏会の開演である。
今世では皆がどう舞台で踊るのか、シャルロッテはにこりと微笑んだ。
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