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七話 騎士矯正

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 ふわふわとしている雰囲気をシャルロッテは身にまといながら、終始可憐な乙女を演じる。

 オリバーは紳士らしくそれをしっかりとエスコートし、シャルロッテと手をつなぎながら庭を回る。

「ふふっ。オリバー様はとても素敵ですね」

「い、いや。そんなことはない」

 シャルロッテは楽しそうに笑みを浮かべながら庭を回り、そしてとある一角の庭で足を止める。

「そうだわ! 私、もっとオリバー様が戦っている姿を見てみたいわ」

「え?」

 突然の無茶ぶりに、オリバーが動揺するが、間髪入れずにシャルロッテは後ろからさりげなくついてきているリラトに言った。

「リラト様! ここのお庭の植物たちに魔法をかけてくださいな。オリバー様! お願いします。戦っている姿が見せたいのです」

「は?」

「ほら、リラト様! 早く!」

「はいはい」

 突然のことに驚いているオリバーの意見など聞かずに、リラトは魔法をかける。その瞬間、一角の庭の植物たちがうねりをあげ、弦を鞭のように扱い、うごめき始める。

 その様子にシャルロッテは悲鳴を上げた。

「きゃぁぁ。怖いわ! オリバー様! さっさと倒してくださいませ!」

 自業自得なこの状況でそうわがままを言ってのけるシャルロッテにオリバーは驚きながらも剣を引き抜いた。

 魔物のような相手と戦ったことなど、あるわけがない。

 しかしそんな中でも戦わなければ危険であると、オリバーは剣をふるう。

「さすがオリバー様! 素敵です!」

 シャルロッテの声援に気をよくしたオリバーだったが、その時、足を弦にからめとられてつかまれ、逆さづりにされてしまう。

「うわぁっ」

 もがきながらも剣をブンブンと振るオリバーであるが、それが当たるわけもなく、空振りを何度もした挙句、弦にいいようにくるくると回されてしまう。

 シャルロッテはその光景を心配そうに見つめながら、心の中でお腹を抱えて大爆笑していた。

 あの、騎士として名高かったオリバーが、手も足も出ずにもがいている。

 シャルロッテは思う。

 彼は驕ってていたのだと。

 彼は自分が強いと理解していた。そして誰も自分には敵わないとそう思っていた。

 だからそんな驕りなど抱かせないように打ち砕き、そしてそれを打ち砕く相手として、可憐でふわふわとした令嬢を演じた。

 見た目で判断するなかれ。

 女とはか弱いばかりではないのだと。

「魔法使い殿! どうにかしてくれ!」

 弦に自身の剣を奪われ、オリバーがそう叫び声をあげた瞬間、シャルロッテは宙に飛び上がった。

 その光景を、オリバーは目を丸くして見つめる。


 
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