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第二百二十九話
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*更新が遅くなり申し訳ありませんでした。
更新再開します。
待ってくださっていた皆様、ありがとうございます。
☆☆☆☆☆☆☆
アルルはカリーやミーガンとわかれて屋敷に帰ろうと箒にまたがった。
なんとなく胸の中のもやもやが晴れず誰かに話を聞いてほしいと思っていると声をかけられた。
「おぉ。久しく会わなかったが来ていたのか。」
「あ、ロドロ先生。」
そこには、荷物を抱えてこちらに笑みを浮かべる魔法歴史学の教師であるロドロが立っていた。
「もしやロッテンベイマー先生の件にアルルさんもかかわっているのかな?」
その言葉にアルルの表情が曇ったことに気がついたロドロは言った。
「研究室で少し話をしないか?」
「いいんですか?」
「もちろん。悩める生徒をそのままにはしておけんよ。おいで。」
アルルは招かれるままにロドロに着いていくと、研究室棟に初めて足を踏み入れた。
薬品の匂いや古い本の匂いがして、アルルは廊下に並べられている瓶や不思議な形をした置物を目のはしで見た。
「ここにはたくさんの物があるが安易に触ってはいけない。いいかの?」
「はい。」
「ほらここがわしの研究室じゃ。入りなさい。」
ロドロの研究室の中はまるでジャンルのようであった。
不思議にきらめく木々が伸び、見たことのない生き物が飛び回っている。
「ほらこっちに座りなさい。」
ロドロが示したのは小さなキノコであった。
すると木が動き場所を開けると枝がまるで手のように動き、カップに紅茶を器用にいれてアルルへと渡した。
「さぁ、話を聞こうか?」
大きなキノコに座ったロドロにアルルはロッテンベイマーの件やニーンに言われたこと、カリーの言葉を伝えた。
自分でも何が言いたいのかわからず、困った様子のアルルにロドロはふむ、とうなずくと言った。
「そのまとまらない気持ちを大事にしなさい。」
「え?」
もやもやを早く晴らしたいと思っていたアルルは驚いた。
そんな様子に、ロドロはアルルを諭すように言った。
「結論とはすぐに出さなくてもいいと言うことじゃな。」
「そう、なんでしょうか?」
「悩んだ方がいい。答えとはな、そう簡単に見つかるものではない。」
ぐるぐるとした自分の感情にアルルがため息をつくとロドロは微笑ましげに目を細めた。
「完全なる正解も完全なる間違いもない。だからこそ人生とは面白い。」
「でも先生。それじゃあずっともやもやしそうです。」
「まあなぁ。お前さんはまだまだひよっ子じゃろ?そう簡単に答えを見つけられたら、わしらはどうしたらいいんじゃ?」
「え?先生でも悩むことがあるのですか?」
その言葉にロドロはおかしそうに笑った。
「当たり前じゃ。まぁ大抵は、どうやったら面白くなるか?や、こうしたらどうなるのだろうという好奇心によるものが多いがな。」
「へぇー。そうなんですね。先生はどんなことで悩むんですか?」
アルルの問いに、ロドロはにこにこと笑みを深めると期待のこもった瞳でアルルを見て言った。
「最近は気になることがあってなぁ。そうだ。少しばかり協力してはくれんか?」
「え?」
「魔力を少しわけてもらえると次の研究にいかせそうなんじゃ?だめか?」
アルルはにこりと笑うと手を差し出した。
「いいですよ?」
「ははっ!助かる。ではこの小瓶に魔力を入れてくれ。」
手渡されたのは七色に輝く魔法瓶であり、アルルはこの中へと魔力をそそいだ。
すると、七色だった魔法瓶が黒色に変わり、星が散りばめられたように所々で銀色に光輝く。
その様子にロドロは笑みを深めると棚から一つの箱を持ってきてアルルへと手渡した。
「ありがとう。これで研究が進む。これはお礼じゃ。アルルさんの悩みは解決できんじゃったがな、音楽とは人をなごませる。」
「これは?」
箱を開くと、美しい音楽とともに仕掛けが動き始め、中の人形達が踊る。
「オルゴールじゃよ。これは、音楽の民が作ったものでな。プレゼントだ。あー。でも、他の者には内緒だぞ?」
「やった!ありがとうございます!大切にしますね。」
アルルはにこにことそれを受け取り、そして紅茶を飲みほすと嬉しそうにロドロの部屋を後にした。
そんなアルルの背中を手を振って見送ったロドロは部屋の扉を閉めると笑い声をあげた。
「ふふ。ははは!こうも簡単に手に入るとは、いやはや、ラッキーだったなぁ。では、楽しむとしよう。」
ロドロはアルルの魔力の入った魔法瓶を見つめながら恍惚とした表情を浮かべるのであった。
更新再開します。
待ってくださっていた皆様、ありがとうございます。
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アルルはカリーやミーガンとわかれて屋敷に帰ろうと箒にまたがった。
なんとなく胸の中のもやもやが晴れず誰かに話を聞いてほしいと思っていると声をかけられた。
「おぉ。久しく会わなかったが来ていたのか。」
「あ、ロドロ先生。」
そこには、荷物を抱えてこちらに笑みを浮かべる魔法歴史学の教師であるロドロが立っていた。
「もしやロッテンベイマー先生の件にアルルさんもかかわっているのかな?」
その言葉にアルルの表情が曇ったことに気がついたロドロは言った。
「研究室で少し話をしないか?」
「いいんですか?」
「もちろん。悩める生徒をそのままにはしておけんよ。おいで。」
アルルは招かれるままにロドロに着いていくと、研究室棟に初めて足を踏み入れた。
薬品の匂いや古い本の匂いがして、アルルは廊下に並べられている瓶や不思議な形をした置物を目のはしで見た。
「ここにはたくさんの物があるが安易に触ってはいけない。いいかの?」
「はい。」
「ほらここがわしの研究室じゃ。入りなさい。」
ロドロの研究室の中はまるでジャンルのようであった。
不思議にきらめく木々が伸び、見たことのない生き物が飛び回っている。
「ほらこっちに座りなさい。」
ロドロが示したのは小さなキノコであった。
すると木が動き場所を開けると枝がまるで手のように動き、カップに紅茶を器用にいれてアルルへと渡した。
「さぁ、話を聞こうか?」
大きなキノコに座ったロドロにアルルはロッテンベイマーの件やニーンに言われたこと、カリーの言葉を伝えた。
自分でも何が言いたいのかわからず、困った様子のアルルにロドロはふむ、とうなずくと言った。
「そのまとまらない気持ちを大事にしなさい。」
「え?」
もやもやを早く晴らしたいと思っていたアルルは驚いた。
そんな様子に、ロドロはアルルを諭すように言った。
「結論とはすぐに出さなくてもいいと言うことじゃな。」
「そう、なんでしょうか?」
「悩んだ方がいい。答えとはな、そう簡単に見つかるものではない。」
ぐるぐるとした自分の感情にアルルがため息をつくとロドロは微笑ましげに目を細めた。
「完全なる正解も完全なる間違いもない。だからこそ人生とは面白い。」
「でも先生。それじゃあずっともやもやしそうです。」
「まあなぁ。お前さんはまだまだひよっ子じゃろ?そう簡単に答えを見つけられたら、わしらはどうしたらいいんじゃ?」
「え?先生でも悩むことがあるのですか?」
その言葉にロドロはおかしそうに笑った。
「当たり前じゃ。まぁ大抵は、どうやったら面白くなるか?や、こうしたらどうなるのだろうという好奇心によるものが多いがな。」
「へぇー。そうなんですね。先生はどんなことで悩むんですか?」
アルルの問いに、ロドロはにこにこと笑みを深めると期待のこもった瞳でアルルを見て言った。
「最近は気になることがあってなぁ。そうだ。少しばかり協力してはくれんか?」
「え?」
「魔力を少しわけてもらえると次の研究にいかせそうなんじゃ?だめか?」
アルルはにこりと笑うと手を差し出した。
「いいですよ?」
「ははっ!助かる。ではこの小瓶に魔力を入れてくれ。」
手渡されたのは七色に輝く魔法瓶であり、アルルはこの中へと魔力をそそいだ。
すると、七色だった魔法瓶が黒色に変わり、星が散りばめられたように所々で銀色に光輝く。
その様子にロドロは笑みを深めると棚から一つの箱を持ってきてアルルへと手渡した。
「ありがとう。これで研究が進む。これはお礼じゃ。アルルさんの悩みは解決できんじゃったがな、音楽とは人をなごませる。」
「これは?」
箱を開くと、美しい音楽とともに仕掛けが動き始め、中の人形達が踊る。
「オルゴールじゃよ。これは、音楽の民が作ったものでな。プレゼントだ。あー。でも、他の者には内緒だぞ?」
「やった!ありがとうございます!大切にしますね。」
アルルはにこにことそれを受け取り、そして紅茶を飲みほすと嬉しそうにロドロの部屋を後にした。
そんなアルルの背中を手を振って見送ったロドロは部屋の扉を閉めると笑い声をあげた。
「ふふ。ははは!こうも簡単に手に入るとは、いやはや、ラッキーだったなぁ。では、楽しむとしよう。」
ロドロはアルルの魔力の入った魔法瓶を見つめながら恍惚とした表情を浮かべるのであった。
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