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第二百二十四話
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アルルはミーガンと共に、ロッテンベイマーの事について調べ始めたのだが、生徒たちに話を聞けば、出てくる出てくる、嫌味、陰湿な叱責、恫喝。
いい話が一個も出てこないと言うのも、ロッテンベイマーのすごい所かもしれない。
アルルとミーガンは、たくさん聞いたロッテンベイマーの行った、教育という名のいじめのような行為に頭が痛くなり中庭でうなだれた。
「ね、アルル。酷いでしょう?」
ミーガンの言葉にアルルは頷くと、大きく息を吐いてから勢いよく、自分を奮い立たせる為に立ち上がった。
「けど、最後に本人の様子も見なくっちゃ。」
「えー。でも、仕方ないわね。分かったわ。」
アルルとミーガンはロッテンベイバーを探すと、薬草園にロッテンベイマーがいると言う話を聞き、そちらへと足を向けた。
草花の咲きほこる薬草園は、ミントのような匂いが漂っていて、アルルとミーガンは少し顔を顰めた。
「臭くはないけれど、すごい匂いだね。」
「ええ。あ、ロッテンベイマーン先生があそこにいたわ。」
「本当だ。」
ロッテンベイマーは薬草をしげしげと観察した後に、何かの記録をつけ、そして終わると、薬草園を育てている薬草部の部室へと足を向けた。
アルルとミーガンは何をするのだろうかと伺っていると、ロッテンベイマーの叱責の声が聞こえてきた。
「貴方方は、薬草の育て方という物が全く分かっておりません。いいですか?そもそも、薬草という物は。」
大きな声で怒鳴り散らしながら、机の上をバンバンと叩くロッテンベイマーに部屋にいた薬草部の子ども達は硬直し、顔を青ざめさせている。
見ていて気分の良い物ではなく、そしてアルルにもミーガンにも、そこまで怒る必要のある事なのかが分からなかった。
だが、どちらにしても、怒られている子は涙を必死に堪えているのが分かるくらいに震えている。
何故そんなにロッテンベイマーは怒鳴り散らして怒るのであろうか。
アルルとミーガンは怖いながらも手を握り合うと、怒られている子を救うべく前へと出た。
本当は二人だって怖い。
あんなにも怒鳴り散らす大人と対峙するのは初めてだし、自分も怒られると思うと怖くてたまらない。
けれど、二人なら、大丈夫。
アルルとミーガンはにっこりと笑いあうと、怒られている子の前へと進み出た。
「ロッテンベイマー先生。何で怒っているんですか?」
「そんなに怒る必要のある事なのですか?」
突然二人が会話に入ってきたことをロッテンベイマーは顔を真っ赤にして怒ると言った。
「何ですか貴方達は!?私は皆さんの為を思って話をしているのです。いいですか、そもそも貴方達はまだまだ未熟なのですから、教師の言うことは聞かなければなりません。」
そこからは嵐のように言葉を並べ立てられ、机をバンバンと叩くものだからアルルとミーガンは言い返すタイミングさえなかった。
貴方達はもっと考えなさい。
何をやっているのですか。
何度も言わせないで。
物覚えが悪いですねぇ。
こんなこともわからないのですか?
一つ一つの言葉が鉛のように重たく、アルルやミーガン、そしてその場にいた皆の心に落ちていく。
胸の中にどんどんとたまっていくようであった。
ロッテンベイマーは延々と喋り続ける。
そして、やっとすっきりしたのか、ロッテンベイマーはため息をつくと言った。
「もう、私は知りませんよ。自分から悪いと思うならちゃんと態度で示して明日来なさい。ふん!」
意味がわからなかった。
自分が悪いと思うなら来なさい?
何で?
こんなにも怒られ続けたのに、まだ怒る気なのだろうか。
アルルとミーガンは手をギュッとお互いに握ると、ロッテンベイマーが歩き去っていくのを見送って話し始めた。
「ニーン先生だったら、絶対にあんなこと言わない。」
「うん。ミーガン。私達は考えなしで物覚えは悪いのよね。」
ミーガンはその言葉に、にやりと笑った。
「ええ。そのようね。」
その日、アルルとミーガンは仲間を集って、ロッテンベイマー先生を見返す作戦を考えるのであった。
いい話が一個も出てこないと言うのも、ロッテンベイマーのすごい所かもしれない。
アルルとミーガンは、たくさん聞いたロッテンベイマーの行った、教育という名のいじめのような行為に頭が痛くなり中庭でうなだれた。
「ね、アルル。酷いでしょう?」
ミーガンの言葉にアルルは頷くと、大きく息を吐いてから勢いよく、自分を奮い立たせる為に立ち上がった。
「けど、最後に本人の様子も見なくっちゃ。」
「えー。でも、仕方ないわね。分かったわ。」
アルルとミーガンはロッテンベイバーを探すと、薬草園にロッテンベイマーがいると言う話を聞き、そちらへと足を向けた。
草花の咲きほこる薬草園は、ミントのような匂いが漂っていて、アルルとミーガンは少し顔を顰めた。
「臭くはないけれど、すごい匂いだね。」
「ええ。あ、ロッテンベイマーン先生があそこにいたわ。」
「本当だ。」
ロッテンベイマーは薬草をしげしげと観察した後に、何かの記録をつけ、そして終わると、薬草園を育てている薬草部の部室へと足を向けた。
アルルとミーガンは何をするのだろうかと伺っていると、ロッテンベイマーの叱責の声が聞こえてきた。
「貴方方は、薬草の育て方という物が全く分かっておりません。いいですか?そもそも、薬草という物は。」
大きな声で怒鳴り散らしながら、机の上をバンバンと叩くロッテンベイマーに部屋にいた薬草部の子ども達は硬直し、顔を青ざめさせている。
見ていて気分の良い物ではなく、そしてアルルにもミーガンにも、そこまで怒る必要のある事なのかが分からなかった。
だが、どちらにしても、怒られている子は涙を必死に堪えているのが分かるくらいに震えている。
何故そんなにロッテンベイマーは怒鳴り散らして怒るのであろうか。
アルルとミーガンは怖いながらも手を握り合うと、怒られている子を救うべく前へと出た。
本当は二人だって怖い。
あんなにも怒鳴り散らす大人と対峙するのは初めてだし、自分も怒られると思うと怖くてたまらない。
けれど、二人なら、大丈夫。
アルルとミーガンはにっこりと笑いあうと、怒られている子の前へと進み出た。
「ロッテンベイマー先生。何で怒っているんですか?」
「そんなに怒る必要のある事なのですか?」
突然二人が会話に入ってきたことをロッテンベイマーは顔を真っ赤にして怒ると言った。
「何ですか貴方達は!?私は皆さんの為を思って話をしているのです。いいですか、そもそも貴方達はまだまだ未熟なのですから、教師の言うことは聞かなければなりません。」
そこからは嵐のように言葉を並べ立てられ、机をバンバンと叩くものだからアルルとミーガンは言い返すタイミングさえなかった。
貴方達はもっと考えなさい。
何をやっているのですか。
何度も言わせないで。
物覚えが悪いですねぇ。
こんなこともわからないのですか?
一つ一つの言葉が鉛のように重たく、アルルやミーガン、そしてその場にいた皆の心に落ちていく。
胸の中にどんどんとたまっていくようであった。
ロッテンベイマーは延々と喋り続ける。
そして、やっとすっきりしたのか、ロッテンベイマーはため息をつくと言った。
「もう、私は知りませんよ。自分から悪いと思うならちゃんと態度で示して明日来なさい。ふん!」
意味がわからなかった。
自分が悪いと思うなら来なさい?
何で?
こんなにも怒られ続けたのに、まだ怒る気なのだろうか。
アルルとミーガンは手をギュッとお互いに握ると、ロッテンベイマーが歩き去っていくのを見送って話し始めた。
「ニーン先生だったら、絶対にあんなこと言わない。」
「うん。ミーガン。私達は考えなしで物覚えは悪いのよね。」
ミーガンはその言葉に、にやりと笑った。
「ええ。そのようね。」
その日、アルルとミーガンは仲間を集って、ロッテンベイマー先生を見返す作戦を考えるのであった。
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