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第二百十一話
しおりを挟む蝋燭の灯る暗闇の中、五人の白い服を身に纏った魔術師が魔法陣の中でひそひそと話しをしていた。
「シュリレが捕まった。」
「あの小娘が下手をしたな。」
「偉大なる大魔法使いアロンも動いているようだ。」
「どうする。やめるか。」
「馬鹿な。やめるなど、もってのほかだ。」
「ならば継続か。」
「そうだな。だが、シュリレからばれないか?」
「シュリレは我らの計画など知らん。あいつはただの我らの金づる。子どもを渡す代わりにあれだけの金を出してくれたのだからよしとしよう。」
「そうだな。」
「準備はどれほどできている?」
「もうほぼ出来ている。」
「やっと、この国を正しき形へと戻せる。」
「あぁ。悪魔などと言う存在など、消し去って見せよう。」
「悪魔に憑りつかれた者達を救う時が来たのだ。」
「そうだな。」
男達は声を上げて笑い、そしてその瞳をぎらつかせた。
悪魔などという存在に魂を売った魔術師。
だが、悪魔という存在を否定して自らを魔術師と名乗るものもいる。
白い服は悪魔を否定した魔術師の証。
「絶対に成功させるぞ。」
「この国を我らが救うのだ。」
「魔術の国を取り戻すのだ。」
「悪魔を消し去る時が来た!」
「やるぞ。」
対話することなどなく、ただその存在を否定し、そして排除しようとするものがいる。
何故そのような事に至るのか。
怖いのだ。
自身の扱い知らぬ存在が、恐ろしく、だからこそ排除しようとする。
それに勝手に正義と名をつけて、自身を正当化する。
それが本当に正しいかどうかなど彼らには関係がないであろう。
魔術の国に、嵐が巻き起ころうとしていた。
★★★★
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