魔法使いアルル

かのん

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第二百四話

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 三人はしばらくの間身動きすることができず、ただただその光景を見つめていた。

 何が起こっているのかは分からないが、皆が穏やかな様子で話をしていた。

 異様ではありながらも、幸せそうな光景であり、三人はどうしようかと視線を合わせた。

 その時であった。

「おやおや、小さなお客さんだな。」

 突然、横から声をかけられ、三人はびくりと肩を震わせると振り返った。

 そこには、一人の背の高い青年が立っていた。

 尻尾を揺らしながら青い髪に青い瞳の青年はこちらとキースの父とを見比べると小さく息を吐いて笑った。

「誰かと思ったら、王の子キースか。よくここまでこられたものだ。とにかく、他の者に見つかるとやっかいだ。こっちへおいで。」

 三人はどうしようかと悩むと、青年は言った。

「俺から詳しい話をしてやるから。そら、こっちだ。」

 青年はそう言うと三人を促し、違う部屋へと誘導した。

 部屋の中に入ると、青年がパチンと尻尾を揺らした。すると机の上に花が飾られ、湯気のたったホットミルクと、チョコチップのたくさん入っている大きなクッキーが現れた。

 三人はそれを見たとたんに空腹を思い出し、思わずお腹に手を当てると顔を見合わせて苦笑を浮かべた。

 青年は笑い声をあげた。

「ほら、毒なんて入っていないから。さぁ、座って食べてくれ。」

 三人は椅子に座ると、青年に進められるままにクッキーに手を伸ばした。

 甘いクッキーはさくさくとしていて歯応えがとてもよくて、口いっぱいに甘味が広がった。

「それにしても、よくここが分かったなぁ。」

 青年は面白そうに頬杖をついている。

 その言葉にアルルは口の中のクッキーをミルクで流し込むと言った。

「貴方はだぁれ?ここは何なの?」

「んー。俺はこの国の始まりの契約をせし悪魔ゼロ。そして、ここの管理者でもある。」

 キースは目を丸くするとその場に前のめりで立ち上がった。

「始まりの悪魔だって?!それに、管理者って。」

 ゼロはくくくっと笑い声をたてるとゆっくりはっきりと言った。

「あー。王の子キース。話を聞くか?いずれ知る話ではあるが。後、そっちの二人は、話を聞くなら他言できないように封じの魔術を結ぶ事になるがどうする?」

 その言葉にアルルとレオはうなずいた。

 ここまで来たのだ。たとえ他人に話せないとしてと知ることができるのならば知りたい。

「知りたい!ここまで来たんだもん。」

「僕も!」

 二人の様子にキースもうなずいた。

「教えてくれ。」

 ゼロは笑いながらうなずくと話を始めた。
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