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第百九十八話
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アルルとレオとキースは地図をもとに歩き始めた。
「俺は父がいるであろう、秘密の部屋を研究室と呼んでいるんだ。仕事が終わった後はどこにあるかもわからないその研究室で、おそらく父は母を蘇らせようとしているんじゃないかと考えている。」
「そうなんだ。あ、次の廊下を左に曲がるよ。さっき曲がる個所には目印を付けたから、ほら、ここ。」
アルルは地図を見ながら廊下を指差すと、その道順に沿って進んでいく。
三人はどんどんと廊下を進み、そして気が付けば地下へと降りてきていた。
地下はじっとりとしていて、薄暗く、明かりも転々としかなくてアルルはレオの手をぎゅっと握りしめ直した。
それを見ていたキースは、アルルのもう片方の手を握った。
「っひゃぁ!」
突然の事にアルルは驚いて声を上げたが、キースは手をにっこりと笑って握りしめていった。
「こっちは俺が繋いでいてやるよ。」
その言葉に、アルルは何となく素直にうなずけず、パッと手を振り払い、すっとレオの後ろへと隠れた。
「キースの事は嫌いじゃないけど、なんか嫌。」
キースはその言葉にショックを受けたようにむっとしたが、それを見ていたレオは嬉しそうににっこりと笑って言った。
「キース。怖いなら僕と手を繋ぐ?」
「繋がねぇよ!」
「遠慮しなくていいよ。ほら。」
レオに手を差し伸べられて、キースは悔しそうにその手を取った。
「レオが怖いみたいだから繋いでやるよ!」
「僕は怖くないけどね。さ、進むよ。」
暗い地下を進んでいくと、キースは言った。
「この地下は、かなり広範囲に広がっているんだ。何のために作られたかは謎だけれどな。」
アルルは苔のはびこる石造りの地下の道を歩きながら呟いた。
「でも、しっかりと作られているね。ドワーフの住んでいるトンネルみたいなところとは大違いだ。」
「そりゃそうだろう。あ、アルル、次の道を右に進むみたいだよ。」
「うん。右ね。」
そう思って三人が一歩進んだ時であった。
「え?」
「あれ?」
「お?」
進んだ先に、地面は無く、三人の足は空を切る。
「お。」
「お。」
「落ちるー!」
三人は声を上げ、暗い穴の中をどんどんと落下していった。
アルルとレオは慌てて魔法の箒を出すとそれに跨り、レオはキースを自分の箒の後ろへと引き上げた。
三人は心臓がバクバクとなる中、どうにか呼吸を整えると真っ暗な穴を見つめた。
「何突然!」
「いきなり地面が無くなるなんて、驚いた。」
「俺も、、、まさか、、、落ちるとは思わなかった。」
その瞬間であった。
頭上からまるで三人を押し付けるようにして風が吹き、三人は一気に下へと押し付けられ、落とされていく。
「な、何この風!」
「これは、ただの風じゃない!」
「うわぁぁぁ!」
三人の体は風に押しやられて、どんどんと真っ暗闇の中へと落とされていったのであった。
「俺は父がいるであろう、秘密の部屋を研究室と呼んでいるんだ。仕事が終わった後はどこにあるかもわからないその研究室で、おそらく父は母を蘇らせようとしているんじゃないかと考えている。」
「そうなんだ。あ、次の廊下を左に曲がるよ。さっき曲がる個所には目印を付けたから、ほら、ここ。」
アルルは地図を見ながら廊下を指差すと、その道順に沿って進んでいく。
三人はどんどんと廊下を進み、そして気が付けば地下へと降りてきていた。
地下はじっとりとしていて、薄暗く、明かりも転々としかなくてアルルはレオの手をぎゅっと握りしめ直した。
それを見ていたキースは、アルルのもう片方の手を握った。
「っひゃぁ!」
突然の事にアルルは驚いて声を上げたが、キースは手をにっこりと笑って握りしめていった。
「こっちは俺が繋いでいてやるよ。」
その言葉に、アルルは何となく素直にうなずけず、パッと手を振り払い、すっとレオの後ろへと隠れた。
「キースの事は嫌いじゃないけど、なんか嫌。」
キースはその言葉にショックを受けたようにむっとしたが、それを見ていたレオは嬉しそうににっこりと笑って言った。
「キース。怖いなら僕と手を繋ぐ?」
「繋がねぇよ!」
「遠慮しなくていいよ。ほら。」
レオに手を差し伸べられて、キースは悔しそうにその手を取った。
「レオが怖いみたいだから繋いでやるよ!」
「僕は怖くないけどね。さ、進むよ。」
暗い地下を進んでいくと、キースは言った。
「この地下は、かなり広範囲に広がっているんだ。何のために作られたかは謎だけれどな。」
アルルは苔のはびこる石造りの地下の道を歩きながら呟いた。
「でも、しっかりと作られているね。ドワーフの住んでいるトンネルみたいなところとは大違いだ。」
「そりゃそうだろう。あ、アルル、次の道を右に進むみたいだよ。」
「うん。右ね。」
そう思って三人が一歩進んだ時であった。
「え?」
「あれ?」
「お?」
進んだ先に、地面は無く、三人の足は空を切る。
「お。」
「お。」
「落ちるー!」
三人は声を上げ、暗い穴の中をどんどんと落下していった。
アルルとレオは慌てて魔法の箒を出すとそれに跨り、レオはキースを自分の箒の後ろへと引き上げた。
三人は心臓がバクバクとなる中、どうにか呼吸を整えると真っ暗な穴を見つめた。
「何突然!」
「いきなり地面が無くなるなんて、驚いた。」
「俺も、、、まさか、、、落ちるとは思わなかった。」
その瞬間であった。
頭上からまるで三人を押し付けるようにして風が吹き、三人は一気に下へと押し付けられ、落とされていく。
「な、何この風!」
「これは、ただの風じゃない!」
「うわぁぁぁ!」
三人の体は風に押しやられて、どんどんと真っ暗闇の中へと落とされていったのであった。
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