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第百九十五話
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アルルとレオはお互いに顔を見合わせた後にすぐに協力すると約束してもいいものだろうかと悩んだ。
願い事とはいえ、事が大きすぎる気がする。
「キース。まずは詳しく教えてくれる?」
「後、出来ればアロン先生にも協力してもらった方がいいと思うんだ。」
その言葉にキースは少し迷うかのように視線を泳がせると言った。
「俺自身、、、父親のしていることに予想はついても、、、、本当のところはどうなのか、、、自信はないんだ。だから、詳細が分かるまでは、それまでは内緒では駄目かな?」
「うーん、、、危なかったり、駄目だって思った時はお父さんに伝えてもいい?」
アルルの言葉にキースはうなずいた。
それを見てアルルとレオはうなずきあうと言った。
「分かった。グリコでキースは勝ったもんね。」
「仕方ないか。」
二人の言葉にキースはほっとしたように息をついた。
その後は一度部屋に戻り、少し遅くなった朝食を済ませた。
アロンは国王と話があるとかで別行動になっており、朝からまだ会ってはいないが王城から出ずに二人は一緒に行動するようにとの連絡があった。
キースは一冊の絵本を片手に持って二人が朝食を済ませると現れた。
そして二人はキースに連れられて午後も王城の中を歩いていく。
「それで、キース、朝の話を詳しく教えてよ。」
アルルがそう言うと、キースは小さくため息をついてから、奥の部屋に入り、そこに飾られている花瓶を手に取るとそれを撫でた。
すると、女の悪魔が現れ、にやりと笑うとその懐から巨大な鏡を取り出した。
「移動しよう。こっち。」
キースは鏡に触れるとその中へと消えた。
アルルとレオは驚きながらもその後に続くように鏡の中へと足を踏み入れた。
体を入れた瞬間に、ぐにゃりとゼリーの中を潜ったような感覚がした。
鏡の中は不思議な時計や古びたがらくたの並ぶ部屋であり、その奥からキースが手招きをしている。
「こっち。」
二人は慌ててキースを追いかけ、手招かれた先の光景を見て目を丸くした。
「わぁぉ!」
「すごいなぁ!」
そこにはキラキラとした宝石で作られたような部屋があり、その真ん中にはきらびやかな光を反射すると虹色に光るお茶会場の準備がなされていた。
三人は席につき、アルルはキラキラ光るコップを眺めながら光に反射されるお茶を眺めた。
机やコップまで全て宝石のようであった。
手に持っているコップもずしりとしていて重たい。
「悪魔達はたくさんの部屋を持っていてね、願えば場所を貸してくれるのさ。ここであれば話しても誰にも聞かれないから。」
そう言うと、勝手に準備されていたお茶を一口キースは飲むと、意を決して話始めた。
「父は、、、亡くなった母を蘇らせようとしているんだ。」
「え?」
「それは、、、。」
思いがけなかった言葉にアルルは目を丸くした。
「人の蘇生は禁忌だ。決してしてはいけないことを父はしようとしているのだと思う。」
アルルは思わず首をかしげた。
蘇生は出来るのだろうか?
出来るのであれば、皆がしているはずだ。
そう思った。
魔法でも人の蘇生は禁忌であり、出来ないとされている。
「人の蘇生なんて、出来ないんじゃない?」
アルルがそう言うと、キースはゴクリと喉をならして言った。
「出来るよ。」
「え?」
レオの顔色は悪くなりながらも、キースをまっすぐ見つめて尋ねた。
「それは、、、魔術の国の絵空事の物語ではないのかい?」
キースはうなずいてから、アルルに一冊の絵本を手渡した。
「この世界の絵本はたまに真実を隠して伝えているんだ。」
表紙には美しいお姫様と悪魔を操る魔術師が描かれている。
「魔術師の始まりの物語だよ。」
手渡された絵本を、アルルはゆっくりと開いた。
願い事とはいえ、事が大きすぎる気がする。
「キース。まずは詳しく教えてくれる?」
「後、出来ればアロン先生にも協力してもらった方がいいと思うんだ。」
その言葉にキースは少し迷うかのように視線を泳がせると言った。
「俺自身、、、父親のしていることに予想はついても、、、、本当のところはどうなのか、、、自信はないんだ。だから、詳細が分かるまでは、それまでは内緒では駄目かな?」
「うーん、、、危なかったり、駄目だって思った時はお父さんに伝えてもいい?」
アルルの言葉にキースはうなずいた。
それを見てアルルとレオはうなずきあうと言った。
「分かった。グリコでキースは勝ったもんね。」
「仕方ないか。」
二人の言葉にキースはほっとしたように息をついた。
その後は一度部屋に戻り、少し遅くなった朝食を済ませた。
アロンは国王と話があるとかで別行動になっており、朝からまだ会ってはいないが王城から出ずに二人は一緒に行動するようにとの連絡があった。
キースは一冊の絵本を片手に持って二人が朝食を済ませると現れた。
そして二人はキースに連れられて午後も王城の中を歩いていく。
「それで、キース、朝の話を詳しく教えてよ。」
アルルがそう言うと、キースは小さくため息をついてから、奥の部屋に入り、そこに飾られている花瓶を手に取るとそれを撫でた。
すると、女の悪魔が現れ、にやりと笑うとその懐から巨大な鏡を取り出した。
「移動しよう。こっち。」
キースは鏡に触れるとその中へと消えた。
アルルとレオは驚きながらもその後に続くように鏡の中へと足を踏み入れた。
体を入れた瞬間に、ぐにゃりとゼリーの中を潜ったような感覚がした。
鏡の中は不思議な時計や古びたがらくたの並ぶ部屋であり、その奥からキースが手招きをしている。
「こっち。」
二人は慌ててキースを追いかけ、手招かれた先の光景を見て目を丸くした。
「わぁぉ!」
「すごいなぁ!」
そこにはキラキラとした宝石で作られたような部屋があり、その真ん中にはきらびやかな光を反射すると虹色に光るお茶会場の準備がなされていた。
三人は席につき、アルルはキラキラ光るコップを眺めながら光に反射されるお茶を眺めた。
机やコップまで全て宝石のようであった。
手に持っているコップもずしりとしていて重たい。
「悪魔達はたくさんの部屋を持っていてね、願えば場所を貸してくれるのさ。ここであれば話しても誰にも聞かれないから。」
そう言うと、勝手に準備されていたお茶を一口キースは飲むと、意を決して話始めた。
「父は、、、亡くなった母を蘇らせようとしているんだ。」
「え?」
「それは、、、。」
思いがけなかった言葉にアルルは目を丸くした。
「人の蘇生は禁忌だ。決してしてはいけないことを父はしようとしているのだと思う。」
アルルは思わず首をかしげた。
蘇生は出来るのだろうか?
出来るのであれば、皆がしているはずだ。
そう思った。
魔法でも人の蘇生は禁忌であり、出来ないとされている。
「人の蘇生なんて、出来ないんじゃない?」
アルルがそう言うと、キースはゴクリと喉をならして言った。
「出来るよ。」
「え?」
レオの顔色は悪くなりながらも、キースをまっすぐ見つめて尋ねた。
「それは、、、魔術の国の絵空事の物語ではないのかい?」
キースはうなずいてから、アルルに一冊の絵本を手渡した。
「この世界の絵本はたまに真実を隠して伝えているんだ。」
表紙には美しいお姫様と悪魔を操る魔術師が描かれている。
「魔術師の始まりの物語だよ。」
手渡された絵本を、アルルはゆっくりと開いた。
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