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第百八十三話
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暗い一室にアルルは入れられると、少女はにこにことしながらアルルを鏡の前に立たせて洋服を当てて着飾っていく。
「あぁ、この髪の色がダメね。」
少女はアルルの髪の毛をグイッと引っ張ると、息をふっとかけた。
するとアルルの髪の色は真っ赤な深紅へと色を変える。
「瞳の色もダメ。」
瞳は紫色に変えられてしまい、鏡に映るのはまるでしらない少女のようであった。
「服はこれにしましょう。ふふ。ほら、この方が好い。」
少女は満足したようにうなずくと言った。
「これでいいわ。おい。お前、この人形を片付けておいてちょうだい。」
「畏まりました。」
少女の横に控えていた赤髪に桃色の瞳をした少年は、少女に命じられアルルの腕を取って歩かせると、暗い廊下をどんどんと進んでいく。
階段を下り、そして、檻の中に入れられた瞬間、アルルの体は先ほどまでの呪縛が解けて体に力が入るようになった。
「何、、、?これ。」
アルルは怖くて、体を震わせながら自分を檻に入れた少年を見た。
少年は自身も檻の中に入ると、大きく背伸びをし、ため息をついた。
「はじめまして。ようこそ。魔術の国へ。」
「魔術の国?」
アルルが目を丸くすると、少年は床に座って言った。
「そうだよ。キミは?買われてきたの?」
アルルは首を横に振り、少年の横にちょこんと座った。
「僕はご主人様に買われて、ずっとここで人形として生活しているんだ。何、悪くないよ?ほら、ベッドはあるし、身ぎれいにさせてもらえるし、ごはんだってちゃんともらえる。」
にこにこと楽しそうに話をする少年にアルルは目を丸くて首を横に振った。
「わ、私は、嫌。早く、、、お父さんの所に帰りたい。」
すっと少年は目を細めると言った。
「無理だよ。僕達は人形だもの。意思は持っちゃいけない。ほら、皆を見てごらんよ。」
「え?」
アルルが少年に言われ周りを見回してぞっとした。
そこには、少年、少女たちが壁にもたれて座っている。
ピクリとも動かず、ただ、そこにいる。
アルルは怖くなって立ち上がると、檻から出ようとしたが、入口には魔術が掛けられているらしく外に出ることが出来ない。
「こ、、怖いよ。お父さん、、、レオ、、、サリー、ルビー。」
いつもはレオが怖い時も、不安な時も手を繋いでいてくれたのに、今、レオはいない。
「レオ、、、怖いよ。」
瞳から大粒の涙が零れ落ち、少年はそれに首を傾げると眠ってしまった。
アルルはどうしたらいいのかが分からず、ただただその場に丸まって涙を流した。
「怖い。怖いよ。レオ。」
体が震える。
けれど、アルルの横には、隣には今は誰もいない。
やっと、温かな自分の居場所が出来たのに。
やっと、家族が出来たのに。
やっと、幸せを手に入れる事が出来たのに。
手から零れ落ちてしまった。
アルルは零れ落ちる涙を流し、静かに嗚咽を漏らした。
「あぁ、この髪の色がダメね。」
少女はアルルの髪の毛をグイッと引っ張ると、息をふっとかけた。
するとアルルの髪の色は真っ赤な深紅へと色を変える。
「瞳の色もダメ。」
瞳は紫色に変えられてしまい、鏡に映るのはまるでしらない少女のようであった。
「服はこれにしましょう。ふふ。ほら、この方が好い。」
少女は満足したようにうなずくと言った。
「これでいいわ。おい。お前、この人形を片付けておいてちょうだい。」
「畏まりました。」
少女の横に控えていた赤髪に桃色の瞳をした少年は、少女に命じられアルルの腕を取って歩かせると、暗い廊下をどんどんと進んでいく。
階段を下り、そして、檻の中に入れられた瞬間、アルルの体は先ほどまでの呪縛が解けて体に力が入るようになった。
「何、、、?これ。」
アルルは怖くて、体を震わせながら自分を檻に入れた少年を見た。
少年は自身も檻の中に入ると、大きく背伸びをし、ため息をついた。
「はじめまして。ようこそ。魔術の国へ。」
「魔術の国?」
アルルが目を丸くすると、少年は床に座って言った。
「そうだよ。キミは?買われてきたの?」
アルルは首を横に振り、少年の横にちょこんと座った。
「僕はご主人様に買われて、ずっとここで人形として生活しているんだ。何、悪くないよ?ほら、ベッドはあるし、身ぎれいにさせてもらえるし、ごはんだってちゃんともらえる。」
にこにこと楽しそうに話をする少年にアルルは目を丸くて首を横に振った。
「わ、私は、嫌。早く、、、お父さんの所に帰りたい。」
すっと少年は目を細めると言った。
「無理だよ。僕達は人形だもの。意思は持っちゃいけない。ほら、皆を見てごらんよ。」
「え?」
アルルが少年に言われ周りを見回してぞっとした。
そこには、少年、少女たちが壁にもたれて座っている。
ピクリとも動かず、ただ、そこにいる。
アルルは怖くなって立ち上がると、檻から出ようとしたが、入口には魔術が掛けられているらしく外に出ることが出来ない。
「こ、、怖いよ。お父さん、、、レオ、、、サリー、ルビー。」
いつもはレオが怖い時も、不安な時も手を繋いでいてくれたのに、今、レオはいない。
「レオ、、、怖いよ。」
瞳から大粒の涙が零れ落ち、少年はそれに首を傾げると眠ってしまった。
アルルはどうしたらいいのかが分からず、ただただその場に丸まって涙を流した。
「怖い。怖いよ。レオ。」
体が震える。
けれど、アルルの横には、隣には今は誰もいない。
やっと、温かな自分の居場所が出来たのに。
やっと、家族が出来たのに。
やっと、幸せを手に入れる事が出来たのに。
手から零れ落ちてしまった。
アルルは零れ落ちる涙を流し、静かに嗚咽を漏らした。
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