魔法使いアルル

かのん

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第百七十一話

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 ノアが消え、アルルとレオとルビーはその場に大きく安堵の息をつきながら座り込んだ。

 アロンとハルは三人に駆け寄ると、周りに残っている炎を消した。

「大丈夫かい?」

「無事でよかったわい。」

 アルルはルルを指差して言った。

「ハル!ルルが!」

 ハルは指の刺された方を見て、身を固くした。

「る、、、ルル?」

 ハルは目を見開くと、ルルの方へと向かって走り出した。

 鳥籠の檻を掴み、その隙間からハルは必死にルルに向かって手を伸ばした。

「ルル!ルル!」

 ルルはゆっくりとハルを見つめ、そして手を伸ばす。

「ハ、、、、ル。」

 苦しそうな声に、ハルは瞳いっぱいに涙をため、流れ落ちるのを堪えながら手を伸ばし続ける。

「ルル!こっちへ来い!ルル!」

 しかし、ルルは伸ばした手を降ろし、大きな瞳から涙をぽたぽたと零しながら言った。

「ダメ。行けない。」

「くそっ!アロン!この鳥籠を壊すぞ!」

 駆け寄ってきたアロンは、鳥籠の周りを見て、それに触れ、眉間にしわを寄せた。

「ハル。待て。この鳥籠は、、、なんじゃ?」

「私も、壊そうとしたけれど、ダメだったわ。それに。」

 ルルが視線を落とし、それにつられるように皆がルルの視線の先へと目を向ける。

「え?」

 ルルの下半身は、まるで水晶のように固まり、輝いていた。

「それは、、、?」

 ハルはルルを呆然とした瞳で見つめた。

「もう、感覚もないの。」

 その場にゆっくりとハルは泣き崩れ、地面をたたくと嗚咽を漏らした。

「ぅ、、ごめ、、、助けに来るのが、、、遅かったから、、、。」

 ルルは泣きながら笑みを浮かべた。

「ふふ。泣かないで。私、嬉しいの。もう一度会えて、嬉しいのよ。」

「これこれ、諦めるでないよ。何かしらの方法はあるはずだ。」

 アルルも涙をこらえながら言った。

「そうだよ!きっと、方法はある!」

 レオもルビーもその言葉に賛同するように頷いた。

「ハル。今はまだへたり込んでいる時ではない。さあ立ち上がれ。ルルを助けるのであろう?」

 アロンの言葉に、ハルは袖で涙をぬぐい、ゆっくりと立ち上がった。

「ああ。すまない。」

 涙はなかなか止まらず、何度も何度もハルは袖で涙をぬぐいながらも考える。

 アルルも鳥籠を見上げながら、必死で頭を働かせて考えた。 
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