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第一章

 第二の試練 74

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 フィリアは、息を吐くと静かに呼吸を整えていく。



 第一の試練はゲームの知識があっても、頭の中に響いてくる声に心を持っていかれそうになった。



 それでも不安や弱さに立ち向かえたのは、自分が一人ではないとわかっているから。



 だが、第二の試練は気合をいれなければいけない。



 フィリアは魔法で二本の剣を出すと二刀流の構えをとった。



 次の瞬間、熱い風圧と共に、炎の剣がフィリアを襲い、フィリアはそれを眼前で剣をクロスさせるように受け止めると弾き返した。



 そこにはカインの姿をしたものがいた。



「さぁ、第二の試練だ。強さを示せ!」



 炎の龍が舞、フィリアに襲いかかる。それを軽やかによけると、打ち消すように氷の龍を魔法で形成し炎の龍へ立ち向かわせる。



 フィリアはカインの姿をしたものに一瞬で間合いをつめると、剣で連続的に攻撃を仕掛けた。



「すごいな!魔法も剣も一流か!」



 嬉しそうな声をフィリアは無視すると小さく詠唱し、後ろから木のつるを生み出すと体の自由を奪い喉に切っ先を向けた。



「ほう!見事だな。だが、これはどうだ?」



 ニヤリと笑われた時、世界は変わり、カインの姿は消えて魔物たちが姿を表す。



 魔物はフィリアめがけて四方八方から襲いかかりフィリアは懸命にそれに立ち向かった。





 魔物を切ってはよけ、魔法を使い吹き飛ばしていく。





 だが、数に押されフィリアは足に食いつかれ、腕を切りつけられる。



 それでもなお、フィリアは戦い続けた。



 恐ろしい魔物の咆哮は光を放ちフィリアを貫こうとするがそれを剣では打ち返す。



 全身傷だらけになりながらもフィリアは諦めずに剣を振るう。



 どのくらいの時間戦い続けているのだろうか。



 足を引きずりながらも剣はおろさない。



 カインの姿をしたものは訪ねた。



「何故、そんなになってまで、諦めずに戦う?」



 ぼろほろになりながらも、フィリアは真っ直ぐな瞳で言った。



「守りたいものを守るためよ。」



「守ろうとするうちにお前が死ぬぞ。」



 フィリアは襲いかかってきた魔物の最後の一匹を打倒した。



「死ぬ前に守りきればいいでしょう。」



 その声に、カインの姿をしたものは笑い声を上げた。



 数百いたはずの魔物を倒し、傷だらけになりながらも絶望に染まらない少女に嬉しくなった。



「それがお前の強さか!天晴!第二の試練、合格だ!」



 表面上だけではない、心の強さ。



 フィリアがほっとしながら膝をつくとカインの姿をしたものはフィリアの額に触れた。



 すると、傷が一瞬で癒えていく。



 そして、喉にそっと触れられる。



「第三の試練も頑張れよ。お前に聖なる歌のかけらをたくそう。」



 フィリアは笑ってうなずいた。



「もちろんよ。ありがとう。」



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