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第一章
王城でのお茶会 13
しおりを挟むこのゲームは、季節をモチーフにした攻略キャラとその婚約者である悪役令嬢が中心となって話が進んでいく。
春はユーリと、その婚約者のエマ様。
夏はカインと、その婚約者のクロエラ様。
秋はロイと、その婚約者のマリア様。
冬はシオン様と、その婚約者のシェーラ様。
ちなみに、わかりやすさからか、攻略キャラとカラーリングは同じだが、髪や目の色は濃ゆめとなっている。
悪役令嬢とは名ばかりで、この令嬢達は正々堂々とヒロインに立ち向かってくる。
そして、自分の婚約者の事を愛しているのだ。
けれど、4人の気持ちは全くと言っていいほどに攻略キャラ達には届いていなかった。
それが歯がゆい。
実際、趣味は会うし、好みも会うはず。後足りないの思いを伝え合う事なのだ。
私が手助けするからね!絶対に幸せになってね!
なんて考えていると、愛しの4人がこちらに目線を向けた。
「大丈夫でして?」
「はっ!、、、はぃ。」
ルーナ子爵令嬢は青ざめると、慌てて声を上げた。
「わ、私はマナーをお教えしていただけですわ!」
すると、クロエラ様が勝ち気な瞳でルーナを見つめ、微笑むと言った。
「それなら私がルーナ様にもマナーをお教えしましょうか?」
明らかな脅しに、ルーナは小さく「ひっ!」と声を漏らし、俯いた。
「い、いいえ。大丈夫ですわ、、、あの、、失礼いたします。」
そういうと、そそくさとルーナは取り巻きと共にその場を後にした。
フィリアは4人に向き合うと、礼を言った。
「皆様、助けていただき、ありがとうございます。」
にっこりと笑みを浮かべエマ様は、こちらに歩み寄ると、首を横に振った。
「こういうお茶会には、どうしてもこういうことを起こす子がいるのよ。」
フィリアは苦笑しつつ頷いた。
「それにしても貴方、その眼鏡すごいわね。」
クロエラ様はからかうのではなく、本気で気になっているようであった。それを、諌めるようにマリア様が口を開く。
「クロエラ失礼よ。でも、よろしければおしゃれな眼鏡屋をご紹介するわ。」
「ふふ。それではマリア様も失礼でしてよ~。」
シェーラ様はのんびりと穏やかな笑みでそう呟いた。
フィリアは、どんな表情でも美少女だなぁと、胸がドキドキとした。
「では皆様いきましょう。それではフィリア様ごきげんよう。」
『ごきげんよう。』
「ぁ。はい。ごきげんよう。」
もうすこし話をしてみたかったが、位の違いが恨めしい。
4人の後ろ姿はすっとしていて、とても美しかった。
フィリアはふぅと息をつくと、なんだか人の輪に戻るのが億劫になり、庭へと歩みを勧めた。
見事な庭で、先に進むと綺麗な池があった。
池の水面には蓮のような可愛らしい花が咲いていて、フィリアは心が和むのを感じた。
「キレイ。」
思わず誰もいないからいいだろうと、ドレスが汚れないようにしゃがみ池を覗いた時であった。
池の中の瞳と目があった。
一度辺りを見回し、もう一度確かめる。
やはり、池の中に目がある。
なんだか、このゲーム。ストーリー外の設定どうなっているんだろうかと、フィリアは思った。
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