【完結】一途な恋? いえ、婚約破棄待ちです

かのん

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二話 完璧ではないです

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 外見がなんか儚げだから、多分、おそらく、皆騙されているけれど私そんなにか弱くない。

 荷物を持っていればすぐに誰かが変わってくれようとするし、転びそうになれば皆が青ざめて手を差し伸べてくれる。

 最近は、婚約者のハリー様の浮気が激しくって周りの皆が本当に心配してくれる。

 ありがたいよ。ありがたいんだけどさぁ、私、そんなにか弱く見える?

 私結構図太いよ?

 公爵家では蝶よ花よと育てられた私だけれど、実のところ前世の記憶持ちであり性格はさばさばとしている。

 両親には幼い頃にカミングアウトしており、これから起こる王国の未来についても話しあり、現在父と国王陛下とで私が知りうる未来については対策が取られたり、取られなかったりしている。

 私が前世を持っている話と、前世でこの世界の物語を見たという話は驚くほどすぐに信用された。たまにそういう子がこの国には生まれるらしい。

 災害とかそういうのは対策が取られているけれど、第一王子が私を断罪し婚約破棄がされるという未来についてはとりあえず様子見とされていた。

 なぜなら、ハリー様が優秀だったから。

 国王陛下も優秀な我が子がまさか男爵家の令嬢に骨抜きにされる未来だけは信じたくなかったらしく、とりあえず教育をしっかりするから様子を見てほしいと願われた。

 ただ、そこからすぐに子作りに励んだのか翌年に第二王子が生まれたのには内心笑った。

 そして、現在まさに第一王子の骨が抜かれている真っ最中である。

 国王陛下は早々に私に謝ってくれた。そして約束していた通り、婚約破棄をハリーが私に告げた時点で、第一王子の王位継承権を剥奪。私は願っていた通りに報奨金とそして憧れの自由を手に入れる手はずとなっている。

 元々公爵家の令嬢というのが、なんとも立場が重たかった。

 私としては、郊外の田舎に一軒家をもってそこでのんびり暮らしていきたい。

 報奨金は結構額出るらしいし、今まで行ってきた化粧品などの事業によって私の資産は現在かなりある。ただ、管理やらなんやらが面倒くさいのですでに特許などは売り払ってしまっている。

 あとは、仲の良い侍女のアンとアンの旦那さんで料理人のジャックさえ一緒にいてくれればのんびり田舎で隠居生活である。

 三人暮らし、もしくはアンとジャックといずれ産まれてくる二人の子どもを養っていけるくらいにはお金はある。おそらく人生三周しても余るくらい、ある。

 だからこそ、私のもっぱらの願いは早く婚約破棄してくれよ。というものであった。

 断罪される卒業式まであと少しだ。

 あと少しで終わるとは思っていても、この周りから憐みの目で見られる期間が案外面倒くさい。

 少し目を離せばマリアに因縁をつけに令嬢たちが行ってしまうし。

 マリアはマリアで私を悪役に仕立て上げようとしてくる。

 いや、いくらマリアが努力して私を悪役にしようとしたとしても、現在マリアは国王陛下の隠密部隊の監視下にあり全てを記録されているので無理なのだが。

 少しだけマリアが哀れに思える。

 どうあがいたって彼女が次期王妃になれることはなく、どんなに努力したって私を悪役令嬢に仕立て上げることはできない。

 だから、一応だがマリアの入学時に声をかけたのだ。

 マリアが破滅するのもかわいそうだと思ったから。

「殿下に手を出しても、王妃にはなれませんし、諦めた方がいいですよ」

 けれど思っていた以上にマリアはバカで、何回言っても私がやきもちを焼いているだけだと思ったらしい。

 だから、私も諦めた。

 マリアも前世の記憶を持っているのか、もっていないのかさえ分からないが、説明しようとしているのに嫌味を言われながら逃げられればなんとも腹が立つ。

 今日も今日とて、マリアとハリーはイチャコライチャコラしている。

「あー。早く婚約破棄したい」

 最近の私はこれが口癖になっている。



 

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