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第二十三話 ユグドラシル・・・?

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 獣人の国にて、ロアン、アレッサンドラ、リディック、ガデオンは顔を合わせた。

 獣人の国エジェンドア王国は歪の国エア皇国と共に帝国へ進軍することを決めており、それにリディックとガデオンを含んだ反乱軍も加わる事となった。

「貴方方も、ユグドラシル様によって引き合わされたのだね。」

 リディックがそう言うと、ロアンとアレッサンドラは頷いた。

「もし彼女、ユシーが居なければ、エジェンドア王国はどうなっていたか分からない。」

「それはエア皇国も同様です。もし、あの時ユグドラシル様が危機を知らせ、そして裏切り者を教えて下さらなければ、恐らく、病気はさらに広がっていたことでしょう。」

 ガデオンはその言葉に、嬉しそうに笑みを深めると言った。

「我が国の姫は大変勇敢な人であるな。」

 それに同意するように三人は頷いた。

「勇敢なばかりではなく、僕をあの暗闇から救い出してくれた。優しさも兼ね備えている。」

 そのリディックの言葉にも同意するように三人は頷いた。

「危険な事であろうと、人の不幸をきっと見過ごせないのだという正義感もある。」

 そのロアンの言葉にも三人は同意するように頷く。

「病気の菌が入っていると知りながらも、それに臆することなく口をつけ、なおかつ、自分にメリットがなくても行動する力も持っていらっしゃる。まるで闇を消し去る光のようなお方。」

 アレッサンドラの言葉にも同意するようにまた、三人は頷いた。

 その場は、ユグドラシルの良い所を言いあう、ユグドラシルに憧れる会のような雰囲気になっていた。

 四人は自分が知り合ったユグドラシルがどんなに素晴らしいのか、どのような事をしたのかをそれぞれに伝え、そして皆が頷く。

 とにかくユグドラシルはすごい少女なのだと。

 どの言葉もユグドラシルを褒め称え、四人の瞳はきらきらと輝いていた。

 その瞳には、尊敬、憧れ、理想、さまざまな色が見える。

 ユグドラシルはその光景を、ルシフェルの力を借りて見ていたのだが、その場に悶絶するように転がりたくなる衝動を必死に堪えていた。

 一体、それは、誰なのだ。

 ユグドラシルは自分とは全く違う、小説の主人公よりも褒め称えられる”ユグドラシル”という幻の少女に身悶えた。

 やめてくれ。

 まるで公開処刑である。

 私はそんな人ではない。

 ユグドラシルは、しばらく悶絶した後に大きく息を吐いて落ち着くとルシフェルに言った。

「私、皆の理想を壊さないで、この戦いを終結へと導けるのか不安でしかないわ。」

 その言葉に、ルシフェルは、理想を壊さないのは無理かもしれないなと、何とも言えない表情を浮かべたのであった。
 

 
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