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十二話 運命
しおりを挟むロラン様との婚約は両家に祝福されて正式に受理された。
私はとても幸せで、ロラン様と一緒に過ごせる日々がとても楽しくて、嬉しく思っていると、ある日ロラン様にカフェで驚きの事実を聞くことになる。
「え……アベル様、魔女様に呪われているんですか?」
「えっと、はい。真実の愛を見つけないと、解けない呪いだとか」
その言葉を聞いて、あのプライドの高いアベル様がなんで泣きついてきたのかがようやく腑に落ちた。
「それは、大変ですね……あの、一体どういった呪いなのですか?」
「あー……えっと、えっとですね、男にとっては一大事というか、その」
顔を赤らめながらあわあわとするロラン様を見て、私はこれは聞かない方がいい話題だなと思い至る。
「魔女様って、呪いもかけるんですね」
そう言って話題をずらすと、ロラン様は安心したように息をついて言った。
「ええ。魔女というものは女性の味方ですから、悪い男は成敗されるようですよ。あ、でも私は成敗されないように、ちゃんとセリーナ嬢だけを見ていますのでご心配なく」
真面目にそういわれ、私はくすくすと笑ってしまう。
真っすぐで、いつも私が安心できる言葉をくれる。
私は愛されることがこんなにも幸福なことなのだと知った。
「あら、真実の愛をつかんだようで安心したわ」
「え?」
振り返ると、そこには魔女様が立っており、にっこりと妖艶に微笑むとロラン様にウィンクをした。
「貴方もよかったわね。私のおかげで本当の運命の糸が結ばれたんだから感謝して頂戴」
私はその言葉に、魔女様から聞いた最初の言葉を思い出し、あぁ、自分に本当に運命はやってきてくれたのだなと感じた。
「えっと、魔女、様。はい。えっと、ありがとうございます」
突然のことに驚きながらもロラン様がそういうと、魔女様は手をひらひらと振って去っていった。
「びっくりしましたね……」
「はい。そうですね」
私とロラン様は顔を見合わせると、また笑いあった。
運命が飛んでやってきたのだと、私はロラン様との出会いを思い出して笑みを深めた。
「私と出会ってくれてありがとうございます」
「こちらこそ。これからもよろしくお願いします」
私たちは一緒にカフェでケーキを食べて、幸福な甘さをかみしめたのであった。
★★★★★
最後まで読んでくださりありがとうございました!
読んでくださった皆様に感謝です。
作者 かのん
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