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一話
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青い鳥が空を飛んでいくのが見えた。美しく空を飛ぶその姿に思わず目を奪われた。
『魔女に選ばれた少女シルビアンヌ。貴方が悪しき魔女になるのも、善き魔女になるも貴方次第。この国の存亡を守る為、ここに招いてしまい申し訳ありません。ですが、国の為、どうか、どうか、お願いします。』
そんな声が聞こえた気がした。
異世界転生。それは、私のような乙女が憧れる、来世への切符。
そして腐女子である私は、いずれ魔女として力を発揮し始める悪役令嬢シルビアンヌへと転生をしたのは良かったのですが、ここで問題が一つ。
このゲーム、乙女ゲームではなくBLゲームなのです。
最初私は歓喜しました。だって憧れのBLゲームでございます。ですがね、ここで一つ問題が。
BLゲームという事は、男性の恋愛の相手は男性の可能性が非常に高いんです。しかも、イケメンになればなるほどに高確率になるのです。
えぇ。最初こそ歓喜していた私ですがやっと問題に気づきました。
私、結婚できるでしょうか。出来るならば愛する人と結婚したいです。そして、出来るならば愛されたいので、男性が恋愛対象ではない方と、出来れば、切に、結婚したいのです。
「はぁ・・・」
「シルビアンヌ様。またため息をついていますよ。」
「まぁ、アリア。主人がため息をついている時には呆れるのではなくて心配するものよ。」
馬車に揺られながら、侍女のアリアに視線をちらりと向ける。
ピンクブロンドの髪に、淡い桃色の瞳。化粧をしなくても美しく見えるその肌と、桜色の唇。
可憐な美少女は、自分とは正反対な印象を受ける。
「あなた、本当に可愛いわね。」
そう言うと、ぽっと頬を赤らめる姿も可愛らしい。けれどそう言うと少し怒ったように頬を膨らませてアリアは言った。
「もう。シルビアンヌ様、私は男ですよ!」
思わずその言葉にため息をついてしまう。
そうなのである。侍女として今は男という事を隠して雇っているが、アリアは正真正銘男であり、そしてこのBLゲームのヒロインちゃんなのである。
悪役令嬢の侍女になっている点については、元々のシナリオでは、もちろん、ない。
七歳の誕生日の時に、孤児院でいるヒロインちゃんを私は男爵家が発見する前に発見し、そして誕生日のプレゼント変わりにと両親にねだって、ねだって、ねだりまくって見事引き取り、自分の侍女としたのである。
それから三年間、ずっと一緒にいてくれる、アリアは大切な侍女である。
現在十歳になった私は悪役令嬢という枠であり、やはり死亡フラグは立つのでそれらを解消するためにもアリアを自分の手の内に収めたのである。
物語の中ではよく、悪役令嬢が幼い頃の攻略対象者のトラウマを解消してやる事で自分へとフラグを立てるというものがある。
だが、思い返してほしい。
この世界はBL。そして攻略対象者達の恋愛対象は男性。
悪役令嬢の私がいくら頑張っても、彼らが愛するのは男性である。
なので私は早々とヒロインを手の内に収めて、四人の攻略対象の幼い頃のトラウマをヒロインちゃんの手で解放してやろうと動いている。
「アリア。頑張ってね。」
「?・・・お嬢様の為ならば?」
小首をかしげるヒロインアリアは、男の子なのに本当に可愛い。
思わずアリアをぎゅっと抱きしめて頭をぐりぐりと撫でまわしてしまう。
「おおおお、お嬢様ぁ!」
「はぁぁぁぁ、可愛いわアリア。さすがヒロインちゃん!」
「お嬢様またわけのわからない事を言って!だから、私は男だって言っているでしょう!軽々しく、いや・・・でもこれはこれで役得・・あぁ悩ましい!」
アリアの悲鳴など無視して、私はヒロインちゃんの手によって攻略対象者のトラウマを解消すべく馬車を走らせた。
『魔女に選ばれた少女シルビアンヌ。貴方が悪しき魔女になるのも、善き魔女になるも貴方次第。この国の存亡を守る為、ここに招いてしまい申し訳ありません。ですが、国の為、どうか、どうか、お願いします。』
そんな声が聞こえた気がした。
異世界転生。それは、私のような乙女が憧れる、来世への切符。
そして腐女子である私は、いずれ魔女として力を発揮し始める悪役令嬢シルビアンヌへと転生をしたのは良かったのですが、ここで問題が一つ。
このゲーム、乙女ゲームではなくBLゲームなのです。
最初私は歓喜しました。だって憧れのBLゲームでございます。ですがね、ここで一つ問題が。
BLゲームという事は、男性の恋愛の相手は男性の可能性が非常に高いんです。しかも、イケメンになればなるほどに高確率になるのです。
えぇ。最初こそ歓喜していた私ですがやっと問題に気づきました。
私、結婚できるでしょうか。出来るならば愛する人と結婚したいです。そして、出来るならば愛されたいので、男性が恋愛対象ではない方と、出来れば、切に、結婚したいのです。
「はぁ・・・」
「シルビアンヌ様。またため息をついていますよ。」
「まぁ、アリア。主人がため息をついている時には呆れるのではなくて心配するものよ。」
馬車に揺られながら、侍女のアリアに視線をちらりと向ける。
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可憐な美少女は、自分とは正反対な印象を受ける。
「あなた、本当に可愛いわね。」
そう言うと、ぽっと頬を赤らめる姿も可愛らしい。けれどそう言うと少し怒ったように頬を膨らませてアリアは言った。
「もう。シルビアンヌ様、私は男ですよ!」
思わずその言葉にため息をついてしまう。
そうなのである。侍女として今は男という事を隠して雇っているが、アリアは正真正銘男であり、そしてこのBLゲームのヒロインちゃんなのである。
悪役令嬢の侍女になっている点については、元々のシナリオでは、もちろん、ない。
七歳の誕生日の時に、孤児院でいるヒロインちゃんを私は男爵家が発見する前に発見し、そして誕生日のプレゼント変わりにと両親にねだって、ねだって、ねだりまくって見事引き取り、自分の侍女としたのである。
それから三年間、ずっと一緒にいてくれる、アリアは大切な侍女である。
現在十歳になった私は悪役令嬢という枠であり、やはり死亡フラグは立つのでそれらを解消するためにもアリアを自分の手の内に収めたのである。
物語の中ではよく、悪役令嬢が幼い頃の攻略対象者のトラウマを解消してやる事で自分へとフラグを立てるというものがある。
だが、思い返してほしい。
この世界はBL。そして攻略対象者達の恋愛対象は男性。
悪役令嬢の私がいくら頑張っても、彼らが愛するのは男性である。
なので私は早々とヒロインを手の内に収めて、四人の攻略対象の幼い頃のトラウマをヒロインちゃんの手で解放してやろうと動いている。
「アリア。頑張ってね。」
「?・・・お嬢様の為ならば?」
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思わずアリアをぎゅっと抱きしめて頭をぐりぐりと撫でまわしてしまう。
「おおおお、お嬢様ぁ!」
「はぁぁぁぁ、可愛いわアリア。さすがヒロインちゃん!」
「お嬢様またわけのわからない事を言って!だから、私は男だって言っているでしょう!軽々しく、いや・・・でもこれはこれで役得・・あぁ悩ましい!」
アリアの悲鳴など無視して、私はヒロインちゃんの手によって攻略対象者のトラウマを解消すべく馬車を走らせた。
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