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十五話 結婚式
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真っ白な純白のドレスを身に纏い、その髪には白い花々が美しく飾られている。
「エミリア。本当に綺麗だね。やっぱり、エミリアには白色が一番よく似合うよ。」
「ダレン様。」
にっこりと嬉しそうに微笑むダレンは、エミリアの髪に優しく触れると言った。
「小さな頃からさ・・エミリアの髪に白い花が飾られるたびに、今日と言う日を待ち遠しく感じていたんだ。」
「え?」
「早く結婚したかったってこと。」
「ダレン様。ふふ。嬉しいです。」
にっこりとほほ笑むエミリアは、可憐で、ダレンは頬を赤らめると言った。
「何度も・・暗闇の中で、エミリアの事を想ったよ。エミリアの温かな光を感じて、だから、僕はここに戻ってくることが出来たんだ。」
「ダレン様・・私は、もうダレン様の横には立てないのだと・・思っていました。だから、今、ここに、貴方の傍に立てて、私は嬉しいです。」
「うん。・・・ずっと傍にいてね。」
「はい。ずっと一緒にいさせて下さい。」
歓声が聞こえた。
国民が聖女が元の世界に帰ってしまった事に落胆することはなかった。なぜならば、王太子の横にこれまでずっと背筋をまっすぐにのばして立っていた光の乙女の存在を知っていたからだ。
世界が闇に包まれた時、国中に、小さいけれど温かな光をもたらした乙女。
少女が知らないだけで、その光は、国民に希望をもたらしていた。
「王太子殿下万歳!王太子妃殿下万歳!」
聖女がいなくても、この国には平穏な時が刻まれていくであろう。
おしまい
★★★★★
最後まで読んで下さった皆様方、本当にありがとうございました。
読んで下さった皆様に感謝を。
作者 かのん
↓
おまけ
聖女レナ。改め、田舎でちょっとだけ粋ってる田中玲奈が日本に帰ってきたのは、高校の卒業式の、校長先生が涙ながらに挨拶をしている時であった。
「我が校では半年前に田中玲奈さんが行方不明になり・・悲しんでいる友人も・・・・彼女も今日が卒業の予定で・・・・・」
ハンカチを手に、涙を流す学生達。
そんな中、校長の頭上から、豪華絢爛なドレスを纏った田中玲奈が落ちてきた。
「きゃぁぁぁぁ!」
「ふぎゃぁぁぁ」
校長はフリルだらけのドレスを身に纏った田中玲奈に押しつぶされて悲鳴を上げ、そしてそのつるつるの頭にかぶさっていたカツラが飛んだ。
シンと静まり返る会場。
田中玲奈は顔を青ざめさせて、舞台の上で皆の視線を集めていた。
ドレスはフリルだらけで、化粧はぶあつめの白塗り。髪の毛にはごてごてしいリボンをこれでもかというくらいにあしらっていた。
「み・・・みないでぇぇぇっぇぇ!」
田中玲奈は、悲鳴を上げた。
彼女がその後どうなったのか、シンファニア王国にはもう、届かない。
おまけ おしまい。
完
「エミリア。本当に綺麗だね。やっぱり、エミリアには白色が一番よく似合うよ。」
「ダレン様。」
にっこりと嬉しそうに微笑むダレンは、エミリアの髪に優しく触れると言った。
「小さな頃からさ・・エミリアの髪に白い花が飾られるたびに、今日と言う日を待ち遠しく感じていたんだ。」
「え?」
「早く結婚したかったってこと。」
「ダレン様。ふふ。嬉しいです。」
にっこりとほほ笑むエミリアは、可憐で、ダレンは頬を赤らめると言った。
「何度も・・暗闇の中で、エミリアの事を想ったよ。エミリアの温かな光を感じて、だから、僕はここに戻ってくることが出来たんだ。」
「ダレン様・・私は、もうダレン様の横には立てないのだと・・思っていました。だから、今、ここに、貴方の傍に立てて、私は嬉しいです。」
「うん。・・・ずっと傍にいてね。」
「はい。ずっと一緒にいさせて下さい。」
歓声が聞こえた。
国民が聖女が元の世界に帰ってしまった事に落胆することはなかった。なぜならば、王太子の横にこれまでずっと背筋をまっすぐにのばして立っていた光の乙女の存在を知っていたからだ。
世界が闇に包まれた時、国中に、小さいけれど温かな光をもたらした乙女。
少女が知らないだけで、その光は、国民に希望をもたらしていた。
「王太子殿下万歳!王太子妃殿下万歳!」
聖女がいなくても、この国には平穏な時が刻まれていくであろう。
おしまい
★★★★★
最後まで読んで下さった皆様方、本当にありがとうございました。
読んで下さった皆様に感謝を。
作者 かのん
↓
おまけ
聖女レナ。改め、田舎でちょっとだけ粋ってる田中玲奈が日本に帰ってきたのは、高校の卒業式の、校長先生が涙ながらに挨拶をしている時であった。
「我が校では半年前に田中玲奈さんが行方不明になり・・悲しんでいる友人も・・・・彼女も今日が卒業の予定で・・・・・」
ハンカチを手に、涙を流す学生達。
そんな中、校長の頭上から、豪華絢爛なドレスを纏った田中玲奈が落ちてきた。
「きゃぁぁぁぁ!」
「ふぎゃぁぁぁ」
校長はフリルだらけのドレスを身に纏った田中玲奈に押しつぶされて悲鳴を上げ、そしてそのつるつるの頭にかぶさっていたカツラが飛んだ。
シンと静まり返る会場。
田中玲奈は顔を青ざめさせて、舞台の上で皆の視線を集めていた。
ドレスはフリルだらけで、化粧はぶあつめの白塗り。髪の毛にはごてごてしいリボンをこれでもかというくらいにあしらっていた。
「み・・・みないでぇぇぇっぇぇ!」
田中玲奈は、悲鳴を上げた。
彼女がその後どうなったのか、シンファニア王国にはもう、届かない。
おまけ おしまい。
完
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エミリアの心の在り方こそ、「聖女」だったのではないでしょうか。
楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます。
王様が胸糞でしたね。
頭が固く、自分で物事を考えない、改めるまでの犠牲が酷過ぎました。
王太子がいなければ、罪のない者を最終的には殺していそうで頼りになりません。
笑いごとではないよ、あんなてっぺん嫌ですね。
最後のざまぁがめちゃ素敵ですw
聖女の性格難アリだし頬を打たれたし下手したら処刑されてただけに腹は立つけど、結果的に未遂だし闇を封印したのは確かっぽいから現代に戻って異世界貴族ならではのゴテゴテドレスや化粧で唐突に現れた行方不明だった少女、平和的解決だし笑えるし最高です(●゚ェ゚))コクコク
校長先生は可哀想ですが笑
ありがとうございます。
現代社会での制裁は、実のところかなり厳しいものだと思います。
校長先生だけが、まきぞえですが。(笑)