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第十二話

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 皆様ごきげんよう。

 はい。

 私は今国王陛下と謁見中です。

 小さな頃から国王陛下に謁見する機会の多かった私はすでに国王陛下から娘のように扱われております。

「今日は一体どうしたんだい?」

「国王陛下、私にも情報は入っております。リリアーナ様をどうするおつもりか聞きに参りましたの。」

 その一言で、国王陛下の表情が変わります。

「ふむ、その事についてか。」

「オーレリア皇女殿下が帝王位を賜わるのであれば混乱が起こる可能性の方が高いでしょう。リリアーナ様が危険ですわ。」

「だが、ここで暗部を動かすわけにはいかない。下手に動けばこちらにも火種が飛び火する。」

「はい。ですから、名代を送りリリアーナ様のご無事を確かめさせてくださいませ。」

 その言葉に、国王陛下はにやにやとした笑みを浮かべてこちらを見ます。まるで私を試しているかのような視線を感じます。

「混乱の中に誰を投じる?名代が殺されればそれも混乱を招くぞ。しかも相手はリリアーナだ。あのじゃじゃ馬は顔も知らぬ相手には会おうともしないだろう。そんな相手誰がいる?」

 リリアーナ様の顔見知りとなると位はある程度高い人となります。この時点で一回の騎士では駄目です。そして領地をいずれ賜るであろう人も駄目でしょう。ヨハン様のような王族も駄目です。

 私はにこりと微笑みました。

 最初から名代に誰を指名するかは決めていました。

 リリアーナとは王家と公爵家と言う事で会う機会も多く、そして騎士のように戦えて、領地を賜らない次男で、そして、オフィリア帝国に行きたくて仕方がないであろう人。

「レスター様は如何でしょうか?」

 国王陛下は満足下に笑みを浮かべて頷いた。

「いいだろう。レスターであれば問題はない。」

 私はにこりと笑みを返すと少しばかり嫌味を込めてお伝えしました。

「私はリリアーナ様にはお手紙を書きましたが、国王陛下は宜しいのですか?」

 その言葉に、国王陛下は苦虫を噛み潰したような顔をされます。

「あれは手紙など喜ばないだろう。」

 リリアーナ様も国王陛下も言葉が足りないのでお互いに関係が捻れております。

「僭越ながら国王陛下、リリアーナ様は例えるならば鏡のようなお方です。」

「何が言いたい?」

「そのままの意味ですわ。手紙は宜しいのですね?」

 国王陛下は、黙ると、静かに立ち上がり何かを書いた後にこちらへと折りたたんで渡してきた。

「そなたの封に一緒に入れてくれ。」

「かしこまりました。では。」

「あぁ。」

 手紙を書いただけまだマシでしょう。関係が改善されればいいのですが。

 国王陛下のお耳が赤くなって、娘に手紙を書くという行為すら恥ずかしがるテレ屋さんなのはここだけのヒミツとしておきましょう。

 さぁ、急いでレスター様に手紙を届けましょう。

 では皆様ごきげんよう!!



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