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第二十六話

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 オーレリアは、その日アルバスからの手紙に息を呑んだ。

 そこには、オランドが体調不良を訴え床に付していること、それに伴い何故か酷く精神が不安定になり荒れ、オーレリア皇女を呼び戻せと命じている事が書かれていた。

 手紙を落としたオーレリアは震える手を握りしめ、ベッドに崩れるように座り込んだ。

 落ちた手紙を見つめた聖獣ランドルフは、フッと笑い、ベッドに飛び乗るとオーレリアの横に座った。

『オランドは我が力を体内にまで満たしていたからな。体からの喪失感は凄いだろうよ。』

「え?、、そうなのですか?」

『ああ。酷く強欲。故に体の喪失感に耐え切れず床に付したのだろう。』

 その言葉に、オーレリアは顔を歪め、額を手で抑えた。

「帰国命令が出るやもしれませんね。」

『いや、それはないだろう。むしろ、出来なくなるやもしれんな。』

「え?」

 その時であった。

 部屋がノックされた。

「はい。」

「失礼いたします。オーレリア皇女殿下。国王陛下がお呼びでございます。」

「かしこまりました。」

 オーレリアは現れた騎士に連れられて国王の元へと歩んでいく。

 突然の呼び出しに、先程の手紙の事が頭をよぎり頭を振った。

 オーレリアの足元にはしっぽを振りながらランドルフが付いてきている。

『面白くなってきたな。』

 オーレリアとしては全く面白くない。

 そしてふと思った。

 ランドルフは普通に付いてきているが、そう言えば一緒に暮らすという事を報告も何もしていなかったが、大丈夫なのだろうかと。

 ちらりと騎士を見るが、騎士はランドルフについてはなにも言わなかった。

 付いてきても問題はなさそうだな、と、オーレリアは寛大な国だなぁと思っていた。

 だが通された部屋に入ったオーレリアは思わず目を見張った。

 部屋の中には国王と宰相、それにレスターと見知らぬ男性がいた。

 今日はレスターは妖精と一緒ではないのだなと思う。

 何故に呼び出されたのかわからぬままではあったが、オーレリアは優雅に挨拶を述べた。

「皆様方おはようごさまいます。」

 すると、国王はにこりと笑みを浮かべるとちらりと男の方を見た。

 男は目を丸くしている。

 国王は訝しげに見ながらもオーレリアに言った。
 
「おはよう。オーレリア皇女。実は確かめたい事があり来てもらったのだ。」

「はい。なんでございましょうか。」

「この男は聖者アンサム。この者からの質問に、全て、偽りなく答えてもらいたい。」

 少し厳しいその口調に、オーレリアはただ事ではない雰囲気を感じると、小さく呼吸を整えると、にこやかに微笑んで頷いた。

「私で答えられる事であれば、お答えいたします。」

 その言葉に、聖者アンサムは、ゆっくりと、ちらりとランドルフの方を見てから言った。

「お初にお目にかかります。先程ご紹介にあずかりました聖者アンサムと申します。」

「オフィリア帝国皇女オーレリアでございます。」

「オーレリア皇女殿下。では、まず第一に、、、あの、そちらの方は?」

 オーレリアは首を傾げ、そして言った。

「あぁ、申し訳ありません。ご紹介をしておりませんでしたわ。こちらは聖獣ランドルフと申します。」

 その場が凍る。

 オーレリアは一瞬首を傾げそうになるが、確かに、紹介ははじめにするべきだったのに怠ったから皆が不快に思ったのだと感じた。

「ラルフ。皆様にご挨拶をしてくれますか?」

『我はオーレリア王のモノ。敬語は要らぬと申しただろう?』

「ふふ。ありがとう。」

『ふん。仕方がないから見せてやろう!我は聖獣ランドルフ。オーレリア王に仕えるモノだ。』

 威風堂々といった様子のランドルフは神々しい光をまとって姿を現し、オーレリアは微笑みを浮かべ、皆を見た。

 皆の目が見開いたまま固まっていた。







 
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