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八話 真実
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第一王子殿下、第二王子殿下、リック、そして私の四名は、別室にて向かい合って座っていた。
私がちらりと横目でリックの方を見ると、リックはにこりと微笑みを返してくる。さりげなく私の手を握り占めてくる姿に、王族二人を前にして大丈夫だろうかと手を離そうとするが、リックは離す気が無いようでしっかりと手は握られている。
第一王子殿下は私の方を見ると、ゆっくりと頭を下げた。
「今回シェリー嬢には本当に申し訳ない事をした。」
「え?第一王子殿下、どうか頭を上げて下さいませ!」
驚いてそう言うと、リックが今回の一件について話し始めた。
リックは私の様子がおかしい事から、リックのお父様と共に私の周りについて調べ始め、そしてアンダーソン侯爵家の国家転覆を狙う計画に行きついたのだという。
計画では第二王子を篭絡後に私を断頭台に送る事が第一段階。第二段階としてラナかステファニーのどちらかが第二王子殿下の結婚相手となる。第三段階として第二王子殿下を持ち上げ、第一王子殿下を殺害する計画となっていたようだ。
またアンダーソン家は隣国とも通じていたようで、最近の国内の情報を隣国へと流していたことなども分かっていると言う。
何という事が起こっていたのだろうと、シェリーが目を丸くし驚いていると、第一王子殿下は微笑を浮かべて言った。
「アンダーソン家の今回の件に関して証拠をつかむのが遅くなり、君には嫌な思いをさせてしまったな。けれど君が悪役を演じアンダーソン家の関心を引き付けてくていたおかげで、我々はとても動きやすかった。」
自分の行動がそんな事に繋がっていたとはつゆ知らず、シェリーは驚きで何も言えずにいると、第一王子殿下の横で小さくなっていた第二王子殿下が今にも泣きそうな顔で言った。
「俺は・・・そんな事なんて何も知らずに・・・騙されていたのか・・シェリー嬢、本当に申し訳ない事をした。兄上はどうして教えてくれなかったのですか!」
その言葉に、第一王子殿下は笑顔で言った。
「お前は昔からバカだからね。うん。囮としてそのままにしておく方が言いと思ったんだ。今回の一件で、少しは人を疑うという事を覚えろ。あぁ、もちろん罰も用意してある。」
「・・兄上・・・」
「お前をこのままにしておくのは恐ろしいからね。お母様の出身国である国へしばらく留学と言う名の修行に出てもらうよ。」
「・・え・・・」
「大丈夫。死にはしないさ。」
王妃様の出身国と言えば、極寒の要塞軍事国家であり、かなり厳しい国である。我が国とは友好国であるが、軽々しく遊びに行けるような、そんな楽しい場所ではない。
「ね・・年数は・・」
顔面蒼白となっている第二王子殿下に、第一王子殿下は満面の笑顔で言った。
「お前が賢くなるまでだよ。さぁ、お前は一度部屋に帰っていてくれ。連れて行け。」
力の抜けた第二王子殿下を騎士達が支えながら連れて行く。
第一王子殿下は私の方へと向き直ると言った。
「さて、シェリー嬢。リックからは君は自らアンダーソン家を引き付ける役割を果たしていたと聞いている。それが何故か・・先ほどからの君の様子を見ていて、君がアンダーソン家の目論見を知っていたとは思わない。では何故か、それを教えてもらえるかな?」
真実以外は信じないと言った様子の第一王子殿下の言葉に、私は身を固くすると、どうするか視線を泳がせた。
信じてもらえるようなことではない。
そう思った。けれど横にいるリックがぎゅっと手を握って言った。
「シェリー。ずっと隠している事があるよね?」
リックの言葉に私は驚く。
「ちゃんと信じるよ。だから、話して。」
あぁ、ずっと隠し事をしていたことなどばれていたのだ。私は小さく息をつくと、真実を語る為に口を開いた。
私がちらりと横目でリックの方を見ると、リックはにこりと微笑みを返してくる。さりげなく私の手を握り占めてくる姿に、王族二人を前にして大丈夫だろうかと手を離そうとするが、リックは離す気が無いようでしっかりと手は握られている。
第一王子殿下は私の方を見ると、ゆっくりと頭を下げた。
「今回シェリー嬢には本当に申し訳ない事をした。」
「え?第一王子殿下、どうか頭を上げて下さいませ!」
驚いてそう言うと、リックが今回の一件について話し始めた。
リックは私の様子がおかしい事から、リックのお父様と共に私の周りについて調べ始め、そしてアンダーソン侯爵家の国家転覆を狙う計画に行きついたのだという。
計画では第二王子を篭絡後に私を断頭台に送る事が第一段階。第二段階としてラナかステファニーのどちらかが第二王子殿下の結婚相手となる。第三段階として第二王子殿下を持ち上げ、第一王子殿下を殺害する計画となっていたようだ。
またアンダーソン家は隣国とも通じていたようで、最近の国内の情報を隣国へと流していたことなども分かっていると言う。
何という事が起こっていたのだろうと、シェリーが目を丸くし驚いていると、第一王子殿下は微笑を浮かべて言った。
「アンダーソン家の今回の件に関して証拠をつかむのが遅くなり、君には嫌な思いをさせてしまったな。けれど君が悪役を演じアンダーソン家の関心を引き付けてくていたおかげで、我々はとても動きやすかった。」
自分の行動がそんな事に繋がっていたとはつゆ知らず、シェリーは驚きで何も言えずにいると、第一王子殿下の横で小さくなっていた第二王子殿下が今にも泣きそうな顔で言った。
「俺は・・・そんな事なんて何も知らずに・・・騙されていたのか・・シェリー嬢、本当に申し訳ない事をした。兄上はどうして教えてくれなかったのですか!」
その言葉に、第一王子殿下は笑顔で言った。
「お前は昔からバカだからね。うん。囮としてそのままにしておく方が言いと思ったんだ。今回の一件で、少しは人を疑うという事を覚えろ。あぁ、もちろん罰も用意してある。」
「・・兄上・・・」
「お前をこのままにしておくのは恐ろしいからね。お母様の出身国である国へしばらく留学と言う名の修行に出てもらうよ。」
「・・え・・・」
「大丈夫。死にはしないさ。」
王妃様の出身国と言えば、極寒の要塞軍事国家であり、かなり厳しい国である。我が国とは友好国であるが、軽々しく遊びに行けるような、そんな楽しい場所ではない。
「ね・・年数は・・」
顔面蒼白となっている第二王子殿下に、第一王子殿下は満面の笑顔で言った。
「お前が賢くなるまでだよ。さぁ、お前は一度部屋に帰っていてくれ。連れて行け。」
力の抜けた第二王子殿下を騎士達が支えながら連れて行く。
第一王子殿下は私の方へと向き直ると言った。
「さて、シェリー嬢。リックからは君は自らアンダーソン家を引き付ける役割を果たしていたと聞いている。それが何故か・・先ほどからの君の様子を見ていて、君がアンダーソン家の目論見を知っていたとは思わない。では何故か、それを教えてもらえるかな?」
真実以外は信じないと言った様子の第一王子殿下の言葉に、私は身を固くすると、どうするか視線を泳がせた。
信じてもらえるようなことではない。
そう思った。けれど横にいるリックがぎゅっと手を握って言った。
「シェリー。ずっと隠している事があるよね?」
リックの言葉に私は驚く。
「ちゃんと信じるよ。だから、話して。」
あぁ、ずっと隠し事をしていたことなどばれていたのだ。私は小さく息をつくと、真実を語る為に口を開いた。
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