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第十六話
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「我は世界を闇で包むのを止めよう。そのかわり、ワイアットを育てたい。」
勇者は、しばらくの間動かず、頭の中で思案しているようであった。
そして、ゆっくりと出された茶を飲むと息をついて言った。
「条件として、俺もここで暮らす。」
その言葉に混沌の闇は少し顔をしかめたが、にやりと笑った。
「勇者として活躍しなくていいのか?」
「あぁ。教会には混沌の闇を側で監視すると伝えよう。それでもいいならば、子育てをすればいい。」
混沌の闇はじっと勇者を見つめた。
「もしやお前、母親役をするつもりか?!」
的はずれな言葉に、勇者は眉間にシワを寄せた。
「いや、俺の外見で母親はないだろう。」
「父親の座には我がついている。譲らぬぞ。」
「そんなつもりはない。」
「ふむ。まぁ、子には母親も必要というからな。仕方ない。母親の座に座ることを許そう。」
勇者は、ため息をつくと頷いた。
「もうそれでいい。ここに住むぞ。部屋はあるか?」
「ふむ。では増設するか。」
「木を伐ってこよう。アンリエッタ。お前は俺が監視役になることを教会に伝えろ。下手なことはするなと教会には念を押しておけよ。今はこんなだが、混沌の闇の恐ろしさを教会に忘れさせるな。」
アンリエッタは動揺しながらも頷いた。
「え?え?あ、はい。分かりました。」
その後勇者は山へ木を伐りに、アンリエッタは教会への伝令へ向かったのであった。
ここから混沌の闇と、何だかんだで手伝う勇者によるワイアットの子育ては進んでいく。
その様子を見ていたアンリエッタは、思った。
普通の子どもは、そこまで強くはならない。
その後ワイアットが勇者や混沌の闇と本気を出して互角に戦えるようになるのは、また別のお話。
「お父さん!勝負しよう!あ、お母さんは審判ね!」
「我に勝てると思うなよ?」
「ワイアット、倒してしまえ。」
「いっくよぉーー!」
ワイアットは知らない。
自分が今世界最強に最も近いという事実を。
おしまい
ファンタジーは難しいと思いながらここまで書き進めて参りました。
読んでくださりありがとうございます。
これで完結となります。
最後までお付き合い、ありがとうございました!
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「勇者として活躍しなくていいのか?」
「あぁ。教会には混沌の闇を側で監視すると伝えよう。それでもいいならば、子育てをすればいい。」
混沌の闇はじっと勇者を見つめた。
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勇者は、ため息をつくと頷いた。
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「木を伐ってこよう。アンリエッタ。お前は俺が監視役になることを教会に伝えろ。下手なことはするなと教会には念を押しておけよ。今はこんなだが、混沌の闇の恐ろしさを教会に忘れさせるな。」
アンリエッタは動揺しながらも頷いた。
「え?え?あ、はい。分かりました。」
その後勇者は山へ木を伐りに、アンリエッタは教会への伝令へ向かったのであった。
ここから混沌の闇と、何だかんだで手伝う勇者によるワイアットの子育ては進んでいく。
その様子を見ていたアンリエッタは、思った。
普通の子どもは、そこまで強くはならない。
その後ワイアットが勇者や混沌の闇と本気を出して互角に戦えるようになるのは、また別のお話。
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「ワイアット、倒してしまえ。」
「いっくよぉーー!」
ワイアットは知らない。
自分が今世界最強に最も近いという事実を。
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