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第十一話
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混沌の闇はアンリエッタがワイアットのことを可愛いと言ったことで気をよくすると、彼女を家へと招き入れた。
アンリエッタは硬直しながらも、断れば命がない気がして家の中へと入った。
家の中は無駄なものはなく、質素な生活ぶりが感じられた。
「おもちゃなどはないのですね。」
「?おもちゃとは?」
アンリエッタは目を丸くすると言った。
「おもちゃですよ。その、子どもが使って遊ぶ道具です。」
「なんだと?そんなものがあるのか。」
「え?」
「それはどのような物だ?」
「え?そうですね、くまのぬいぐるみであったり、木馬であったり、積み木なんてものもありますね。」
「ほうほうほう。なるほどな。よし、分かった。」
混沌の闇はニヤリと笑うとワイアットの頭を撫でた。
「我がおもちゃを作ってやるからな!」
「うー!」
にこにこと笑顔を交わし会う姿は本物の親子のようであり、アンリエッタはその様子にぽりぽりと頬を掻くと少しばかり安心した。
先程は何だかんだと恐怖に負けてしまったが、こうしてみればただの親子。
アンリエッタは混沌の闇のだしたお茶を一口飲むと、混沌の闇が戸を開けて外に出ると、すぐに帰ってきてワイアットに言った。
「ワイアット!おもちゃを作ったぞ!」
「だぁ!」
混沌の闇はにこにことしながらワイアットを抱き抱え、アンリエッタの事など忘れてしまっているのかそのまま外へと出てしまった。
家主がいなくなりアンリエッタは気まずくて自身も外に出てから目を丸くした。
そこには岩で作られたくまの石像と、木で作られたやけにりあるな木馬、そして丸々一本の木が何本か積み重ねられていた。
「どうだワイアット。くまに馬に木だぞ。初めてのおもちゃだな!」
ワイアットは嬉しそうにきゃっきゃと歓声をあげ、そのおもちゃと呼ばれたそれに駆け寄ると抱き着いていた。
アンリエッタはいつの間に準備したのだろうと顔色を悪くしながら言った。
「いえ、その、少しスケールが大きすぎるかと。その子どのの大きさに合った、小さなものでないと、持ち上げたり、、、、え。」
「おぉ。ワイアット。嬉しいか。」
「あぃ。」
「ウソでしょ。」
ワイアットは軽々と岩で作られたくまを持ち上げて、きゃっきゃと言いながら遊び始めている。
アンリエッタはそれを呆然とした瞳で見つめていると、今度はワイアットが軽くジャンプして巨大な木馬に飛び乗ると、楽しそうにしている。
アンリエッタは異形の姿をしていたとしても、このような力を持った子どもに今まであったことはなかった。
「普通ではない。」
アンリエッタのその呟きに、同意するように混沌の闇は頷いた。
「もちろんだ。我の子は、天才だからな。」
そう言う問題ではないとアンリエッタは思った。
アンリエッタは硬直しながらも、断れば命がない気がして家の中へと入った。
家の中は無駄なものはなく、質素な生活ぶりが感じられた。
「おもちゃなどはないのですね。」
「?おもちゃとは?」
アンリエッタは目を丸くすると言った。
「おもちゃですよ。その、子どもが使って遊ぶ道具です。」
「なんだと?そんなものがあるのか。」
「え?」
「それはどのような物だ?」
「え?そうですね、くまのぬいぐるみであったり、木馬であったり、積み木なんてものもありますね。」
「ほうほうほう。なるほどな。よし、分かった。」
混沌の闇はニヤリと笑うとワイアットの頭を撫でた。
「我がおもちゃを作ってやるからな!」
「うー!」
にこにこと笑顔を交わし会う姿は本物の親子のようであり、アンリエッタはその様子にぽりぽりと頬を掻くと少しばかり安心した。
先程は何だかんだと恐怖に負けてしまったが、こうしてみればただの親子。
アンリエッタは混沌の闇のだしたお茶を一口飲むと、混沌の闇が戸を開けて外に出ると、すぐに帰ってきてワイアットに言った。
「ワイアット!おもちゃを作ったぞ!」
「だぁ!」
混沌の闇はにこにことしながらワイアットを抱き抱え、アンリエッタの事など忘れてしまっているのかそのまま外へと出てしまった。
家主がいなくなりアンリエッタは気まずくて自身も外に出てから目を丸くした。
そこには岩で作られたくまの石像と、木で作られたやけにりあるな木馬、そして丸々一本の木が何本か積み重ねられていた。
「どうだワイアット。くまに馬に木だぞ。初めてのおもちゃだな!」
ワイアットは嬉しそうにきゃっきゃと歓声をあげ、そのおもちゃと呼ばれたそれに駆け寄ると抱き着いていた。
アンリエッタはいつの間に準備したのだろうと顔色を悪くしながら言った。
「いえ、その、少しスケールが大きすぎるかと。その子どのの大きさに合った、小さなものでないと、持ち上げたり、、、、え。」
「おぉ。ワイアット。嬉しいか。」
「あぃ。」
「ウソでしょ。」
ワイアットは軽々と岩で作られたくまを持ち上げて、きゃっきゃと言いながら遊び始めている。
アンリエッタはそれを呆然とした瞳で見つめていると、今度はワイアットが軽くジャンプして巨大な木馬に飛び乗ると、楽しそうにしている。
アンリエッタは異形の姿をしていたとしても、このような力を持った子どもに今まであったことはなかった。
「普通ではない。」
アンリエッタのその呟きに、同意するように混沌の闇は頷いた。
「もちろんだ。我の子は、天才だからな。」
そう言う問題ではないとアンリエッタは思った。
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