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第十四話 思い出
しおりを挟むただ好きだというだけでは通用しない現実が目の前に見えて、絶望を感じた。
この偏見だらけの世界に、世界で一番好きな人を巻き込んでもいいのだろうか。
何度も、何度も考えた。
けれど、何回考えても、諦めきれない気持ちがあって、だから覚悟を決めた。
気持ちを素直に伝えよう。
そして、もし、受け入れてもらえなかったら見守っていこう。
母さんに、その気持ちを伝えると、久しぶりに抱きしめられて恥ずかしくなった。
「あんたが決めたならもう何も言わない。」
その言葉だけで十分注意だった。
「ありがとう母さん。」
「まぁ、豊は昔からあんたに甘いからね。最終的には折れると思うよ。」
その言葉に驚くと、母さんは笑った。
「ま、頑張ってみなさいな。」
そして、俺は就職先を豊の暮らす場所から近いところに決めた。
玄関のチャイムを鳴らした時は、久しぶりに会えることへの期待でドキドキしっぱなしだった。
豊は、物腰とか笑顔とか昔と変わってなくてすごく嬉しかったし、一緒に暮らすうちにますます好きになっていくのが分かった。
告白を受け入れてもらった時は、嬉しくて嬉しくて歯止めがきかなくなって後から散々怒られたけど、悔いはなかった。
布団で自分に寄り添うように寝ている姿が可愛くて仕方がない。
首筋につい、自分のものだとキスマークをつけてしまった。
きっと後で怒られるだろうなとは思うが、それすら楽しみになる。
「愛してる。」
額にキスをおとすと、へらりと笑っていて愛しさがあふれる。
唇にキスをし、舐めると甘い。
舌を唇の間からすりこませ、ゆっくりと舌を絡めていく。
歯列をなぞると、豊の体がぴくりと跳ねるのがわかり、何度も執拗に絡めてはなぞった。
溢れ出したよだれが、口元からたらりと溢れるのが艶かしくてついやめられない。
「ふ、、、、ん、、、んぅ、、、ふぅ、、」
何度も舌を絡めると、反応が返ってくるようになり、嬉しい。
豊は年を言い訳にして逃げようとすることがあるけれど、自分は足りないからご相手を願おう。
「愛してる。」
何度も何度もこれから繰り返して君に伝えていこうと思う。
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