4 / 14
第四話 ガッツリ肉が食べたい。
しおりを挟むあ、肉がガッツリ食べたい。
こう何と言うか、肉ーって感じの肉の塊を食べたい。
よし、今日は肉を焼こう。
そうと決まれば肉と焼肉のたれを買いに行こう。
大抵の肉は焼肉のたれさえあればとても美味しくなる。
そう思ってエコバッグと財布と携帯を持って玄関を出ると、目の前に巨大な鋭い牙の口が大きく開いていた。
そのまま口の中に包まれて、生臭い臭いに包まれてしまう。
体には唾液が絡みつき、ねばねばとしていて非常に気持ちが悪い。
喉の奥に流されてはたまったものではないと近くにあった歯にしがみつくと、同じように歯にしがみついているトゲトゲとした生き物が目にはいった。
そのトゲトゲとした生き物のしがみついている所は赤く腫れ上がっており、巨大な口の主の悲鳴が聞こえた。
「頼むから口の中にいる変な奴を取ってくれ!」
「そしたら口から出してくれる?」
「もちろんだ!」
泣き出しそうな声に、溜め息をつきながらもそのトゲトゲとした生き物の所へと行き声をかける。
「ねぇ、一緒に外へと出ましょう?」
すると、トゲトゲとした生き物はプルプルと震えながら言った。
「食べられるのは嫌だ!」
「大丈夫よ。そとに出してくれるって。」
「そんな言って飲み込まれたらどうするんだ!」
「その時は胃の中でそのトゲトゲで攻撃をしたらいいよ。」
その言葉に、口の主は悲鳴を上げた。
「痛い事を想像させないでくれ!飲み込まないから頼む!」
「ほら、ね?」
トゲトゲとした生き物は、頷くとゆっくりとトゲを納めた。
私は抱き上げると声の主に言った。
「ほら、出して?」
口の主は、ゆっくりと口を開いた。
外へと出ると、そこは森の中で、目の前には巨大な口の毛むくじゃらの生き物がいた。
「ありがとう。救世主よ。本当に感謝する。」
「いえ、私はただの主婦なので。」
「主婦様!僕も感謝します。」
まんまるはコロコロと動いた。
「野の草を食べていた時そいつを間違えて食べてしまってな。すまなかったな。」
「そうだったの?てっきり、食べられるかと思った。」
「いや、わしは草食だ。」
「良かった!仲間だ!主婦様は?」
「私は雑食です。」
すると少し驚いた顔で見られて心外です。
でも、今は肉食な気分なんですが、草食の方を前にそうは言えず困りますね。
「主婦様、お礼にわしのとっておきのキノコをプレゼントいたしましょう。こちらへ。」
「僕は美味しいモチモチの実をあげるよ!」
えー。私は大変今は肉の気分なんですが、お礼って断るに断れない。
仕方がないのでついていくと、目の前にはきのこの群生が現れた。
その中の一つを毛むくじゃらは持ってくると言った。
「生で食べるのが上手い。そら、どうぞ。」
えー。本当かなぁなんて思いながらゆっくりと一口かじって衝撃を受けた。
ほどよく弾力のある食間。口の中で溢れる液体
。
「肉だ。」
「いえ、きのこです。」
「モチモチの実を取ってきたよ!はい!」
「きのこと一緒に食べると美味しいですぞ。」
そう言われてきのこと一緒に口に入れて衝撃を受ける。
「なんて!なんて濃厚なソース!!」
焼肉のたれを超えた。
こいつら草食って嘘だろう。これを好んでるなら絶対に肉食だと思った。
その後他にも色々木の実とか草とか貰って帰って美味しそうに並べてみた。
「わぁ、、、なんか今日は野菜尽くしだね。」
少しがっかりとした顔に私はにこりと笑みを浮かべて言った。
「食べたら、分かるよ。」
「えー?何それ。ちょっと怖いね。では、いただきます。」
「どうぞ召し上がれ。」
一口食べた瞬間の恍惚とした表情に私はにやりと笑った。
今日もお仕事お疲れ様。
今日は野菜三昧(にくさんまい)といきましょう。
0
お気に入りに追加
275
あなたにおすすめの小説
異世界でも頼りになるのはやっぱりお前だけだ〜転移者2人で頑張ります〜
杜薛雷
ファンタジー
ある、日地球から2人の子供が姿を消した。
両親がおらず高校まで施設で育った2人。
涼都(りょうと)と秋華(しゅうか)は自宅の玄関を出た途端姿を消した。
2人はどこへ行ったのか。そして、2人はどうなったのか。
*****************************
超気まぐれ投稿です
内容がハッキリとしてないためなかなか進みません
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
筋肉大好きな聖女と隠れマッチョな呪われた公爵様!
かのん
恋愛
筋肉大好きな煩悩と戦う聖女ユーリーン。国王陛下の内密な命令にて、呪われた公爵様の元へと呪いを解きに行くことに。
部屋の中にこもっていた公爵様は頭から毛布をかぶっており、ユーリーンは呪いの全容を見るために全裸になることを求めるのであった。
筋肉大好き聖女と呪われた公爵様とのラブコメディ。
【完結】結婚式当日に婚約破棄されましたが、何か?
かのん
恋愛
結婚式当日。純白のドレスを身に纏ったスカーレットに届けられたのは婚約破棄の手紙。
どうするスカーレット。
これは婚約破棄されたスカーレットの物語。
ざまぁありません。ざまぁ希望の方は読まない方がいいと思います。
7話完結。毎日更新していきます。ゆるーく読んで下さい。
【完結】それは何かの勘違い~恋愛物語短編集~
かのん
恋愛
【それは何かの勘違い】
地味な令嬢は、可愛さよりも勉強、可愛さよりも本、可愛さよりも真面目さを優先して励んできた。
だが、たまたま王大使殿下と廊下でぶつかり、たまたま毎日のように本を貸し借りし、たまたま一緒に勉強をするようになった。
これは、勘違いは絶対にしないと心に砦を作る令嬢と、勘違い故に恋に落ちた王大使殿下の物語。
そのほかにも短編をいくつか挙げていきたいと思います。
死神と呼ばれた公爵は転生した元巫女を溺愛する
冬野月子
恋愛
サラは仕事の最中、突然異世界へ飛ばされる。
前世、その世界で女神の声を聞く巫女として二百年以上の長きを生きていたサラは、戦争の終結と共に役目を終えその命を終えた。
そして今は特別な能力を持たない別の世界の人間として生まれ変わったはずなのに。
サラは元の世界で弟のように可愛がっていた、かつて戦場で『死神』として恐れられた元王太子の公爵フィンと再会する。
幼い時から巫女サラを愛していたフィンは、生まれ変わったサラとの結婚を望むが、王位を巡る周囲の思惑に巻き込まれていく。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる