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第179章:神の番デス
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エウレスが振るうバイデントは、霧状の八岐大蛇を捉えられない。
幾ら斬りかかったところで、空を裂くのみ。
「カハハハハ!!!イセイダケカ?タイソウナヤリガナキヌルワ!!!」
「…」
エウレスはそれでも八岐大蛇に斬りかかり続ける。
「…ウットウシイ…イイカゲンニ…」
スヒンッ!!
「……」
「コノッ…!!…イイカゲ…」
スヒンッ!!
「キサマッ!!ワノセリフヲ…」
スヒンッ!!
「ガアアアアアア!!!!!」
ゴウッ!!!
八岐大蛇が神威を解放する。それを受けたエウレスは、たまらず弾き飛ばされる。
「…!!」
「コシャクナガキガ!!!ワニカナウドウリモナカロウニ、ナニヲムダニキリカカル!!キサマノチカラデハ、イクラヤッテモワニ死ヲ…」
スヒンッ!!
「ヲヲッ…!!」
「オマエガ、死ッテ、言ウナ。」
「カッ…カカッ……」
八岐大蛇にはなんのダメージも入っていない。
しかし、その心中はマグマのように煮えたぎっていた。
人間の、しかもガキに、何度も何度もオマエ呼ばわりされ、最初は笑い飛ばしていたものの、我慢が効かなくなっていたのだ。
「………キサマ、ナニカカンチガイシテイルヨウダナ。」
「…?」
「ニンゲンフゼイ、ヒトヒネリヨ。
"ヤマタノリョウイキ"」
ブワァァァァァ!!!
八岐大蛇がその霧状の体を拡散させる。辺りが黒に包まれる。
「ナニコレ…?」
エウレスはどうすればいいか分からず、立ち尽くしている。
「…ウッ!?」
「カハハハハ…ヒトノコヨ。イクラカミヲマネタトコロデ、キサマニハイタレヌリョウイキガアル。
ヒトニハサンソガヒツヨウ。ワニハサンソナドフヒツヨウ。
ワノリョウイキニ、サンソハナイ。」
八岐大蛇の神威は、生物を絶滅させる事に長けている。
酸素をそこら中の空間から消し去る領域は、植物も枯れ果てさせ、土をも殺していく。
「サァ!!サァサァ!!!死ヌガ…」
ドシュッ!!!
「ガ…ガ…??」
しかしエウレスは、その程度の苦しみを、今更顧みなかった。
「オマエ……ガ…死ヲ…」
バイデントは、今までかすりもしなかった、八岐大蛇の魂に、真正面から突き刺さっていた。
バイデントは神の槍。死の器と言っても、エウレスは人の子。
神の槍の本質を引き出すことは出来なかった。
だが、最後の最後。
エウレスはバイデントを投げた。
「オマエガ…おまえがハデスおじさんを…」
エウレスの意識は、消える寸前だった。
「使うなっ……!!!!」
そして、エウレスの体から、命が離れていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「カハハハハ…カハハハハハハハハ!!!バカナニンゲン!!!ケッキョク死ニヌルカ!!!カハハハハ!!!!」
ドガッ!!ベキッ!!!
八岐大蛇は、エウレスの死体を弄ぶ。
その身を何度も尾で叩き、爪で裂き、牙で突く。
「カハハハハハハハハ!!!」
エウレスの体は、抗いようもなく、鞠のように転がる。
バキャッ!!ブシュッ!!!
「サンザンナメタクチヲキイテクレタナ!!!ニクノヒトカケラマデイジクッテヤロウ!!!死ネ死ネシネシネシネシネ!!!!」
八岐大蛇は狂喜していた。
だからだろう。
いつの間にか、死がシになっていることにも気付かなかった。
我輩が抜けている事にも気付かなかった。
「カハハハハハハハハ……!!!!」
ズブシュッ…!!!!
最後に八岐大蛇は、角でエウレスの腹を貫いた。
「ハァ…ハァ……ドレ、ミジメナシニガオヲミテヤロウゾ…」
八岐大蛇が、意気揚々とエウレスの顔を覗き見る。
それは、
「気は済んだか?阿保蜥蜴。」
「エッ、ナッ」
まさしく阿保面。
シュインッ……!!!!
「我輩、エウレスほど甘くは無いぞ?」
「カハッ…!!!!」
振り抜かれる真のバイデント。
斬り裂かれる八岐大蛇の魂。
そして、地に軽く降り立つ、穴の空いたエウレスの肉体。
中には我輩の魂。
「全く、散々やってくれたものだな。
これは礼をせねばならん。
フハハハ…なぁ?エウレス。」
最後の最後。エウレスは怒りを振り払っていた。そしてバイデントを手放し、八岐大蛇の魂を穿ち、我輩の抜け出す通り道を作り出した。
それは、死ぬ最中の偶然か、はたまたエウレスの心の強さなのか。
「まぁ、そんなことはどうでも良い。我輩、お前を信じていたぞ。エウレス。良くやった。褒めてやろう。」
我輩の手中には、肉体から離れかけていたエウレスの魂が、確と収まっている。
「ここから先は我輩の番だ。中から見ているがいい。神の名を語る蜥蜴が…」
「ガアアアアアア!!!!コノクソガキ」
シュバッ!!!
バイデントが伸び、八岐大蛇の首根を抑える。
「ギュアアアアアア!!!!イタイ!!イタァァァァイ!!!!」
「_____この阿保蜥蜴が死ぬ所をな。」
さぁ、死の授業だ。
幾ら斬りかかったところで、空を裂くのみ。
「カハハハハ!!!イセイダケカ?タイソウナヤリガナキヌルワ!!!」
「…」
エウレスはそれでも八岐大蛇に斬りかかり続ける。
「…ウットウシイ…イイカゲンニ…」
スヒンッ!!
「……」
「コノッ…!!…イイカゲ…」
スヒンッ!!
「キサマッ!!ワノセリフヲ…」
スヒンッ!!
「ガアアアアアア!!!!!」
ゴウッ!!!
八岐大蛇が神威を解放する。それを受けたエウレスは、たまらず弾き飛ばされる。
「…!!」
「コシャクナガキガ!!!ワニカナウドウリモナカロウニ、ナニヲムダニキリカカル!!キサマノチカラデハ、イクラヤッテモワニ死ヲ…」
スヒンッ!!
「ヲヲッ…!!」
「オマエガ、死ッテ、言ウナ。」
「カッ…カカッ……」
八岐大蛇にはなんのダメージも入っていない。
しかし、その心中はマグマのように煮えたぎっていた。
人間の、しかもガキに、何度も何度もオマエ呼ばわりされ、最初は笑い飛ばしていたものの、我慢が効かなくなっていたのだ。
「………キサマ、ナニカカンチガイシテイルヨウダナ。」
「…?」
「ニンゲンフゼイ、ヒトヒネリヨ。
"ヤマタノリョウイキ"」
ブワァァァァァ!!!
八岐大蛇がその霧状の体を拡散させる。辺りが黒に包まれる。
「ナニコレ…?」
エウレスはどうすればいいか分からず、立ち尽くしている。
「…ウッ!?」
「カハハハハ…ヒトノコヨ。イクラカミヲマネタトコロデ、キサマニハイタレヌリョウイキガアル。
ヒトニハサンソガヒツヨウ。ワニハサンソナドフヒツヨウ。
ワノリョウイキニ、サンソハナイ。」
八岐大蛇の神威は、生物を絶滅させる事に長けている。
酸素をそこら中の空間から消し去る領域は、植物も枯れ果てさせ、土をも殺していく。
「サァ!!サァサァ!!!死ヌガ…」
ドシュッ!!!
「ガ…ガ…??」
しかしエウレスは、その程度の苦しみを、今更顧みなかった。
「オマエ……ガ…死ヲ…」
バイデントは、今までかすりもしなかった、八岐大蛇の魂に、真正面から突き刺さっていた。
バイデントは神の槍。死の器と言っても、エウレスは人の子。
神の槍の本質を引き出すことは出来なかった。
だが、最後の最後。
エウレスはバイデントを投げた。
「オマエガ…おまえがハデスおじさんを…」
エウレスの意識は、消える寸前だった。
「使うなっ……!!!!」
そして、エウレスの体から、命が離れていく。
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「カハハハハ…カハハハハハハハハ!!!バカナニンゲン!!!ケッキョク死ニヌルカ!!!カハハハハ!!!!」
ドガッ!!ベキッ!!!
八岐大蛇は、エウレスの死体を弄ぶ。
その身を何度も尾で叩き、爪で裂き、牙で突く。
「カハハハハハハハハ!!!」
エウレスの体は、抗いようもなく、鞠のように転がる。
バキャッ!!ブシュッ!!!
「サンザンナメタクチヲキイテクレタナ!!!ニクノヒトカケラマデイジクッテヤロウ!!!死ネ死ネシネシネシネシネ!!!!」
八岐大蛇は狂喜していた。
だからだろう。
いつの間にか、死がシになっていることにも気付かなかった。
我輩が抜けている事にも気付かなかった。
「カハハハハハハハハ……!!!!」
ズブシュッ…!!!!
最後に八岐大蛇は、角でエウレスの腹を貫いた。
「ハァ…ハァ……ドレ、ミジメナシニガオヲミテヤロウゾ…」
八岐大蛇が、意気揚々とエウレスの顔を覗き見る。
それは、
「気は済んだか?阿保蜥蜴。」
「エッ、ナッ」
まさしく阿保面。
シュインッ……!!!!
「我輩、エウレスほど甘くは無いぞ?」
「カハッ…!!!!」
振り抜かれる真のバイデント。
斬り裂かれる八岐大蛇の魂。
そして、地に軽く降り立つ、穴の空いたエウレスの肉体。
中には我輩の魂。
「全く、散々やってくれたものだな。
これは礼をせねばならん。
フハハハ…なぁ?エウレス。」
最後の最後。エウレスは怒りを振り払っていた。そしてバイデントを手放し、八岐大蛇の魂を穿ち、我輩の抜け出す通り道を作り出した。
それは、死ぬ最中の偶然か、はたまたエウレスの心の強さなのか。
「まぁ、そんなことはどうでも良い。我輩、お前を信じていたぞ。エウレス。良くやった。褒めてやろう。」
我輩の手中には、肉体から離れかけていたエウレスの魂が、確と収まっている。
「ここから先は我輩の番だ。中から見ているがいい。神の名を語る蜥蜴が…」
「ガアアアアアア!!!!コノクソガキ」
シュバッ!!!
バイデントが伸び、八岐大蛇の首根を抑える。
「ギュアアアアアア!!!!イタイ!!イタァァァァイ!!!!」
「_____この阿保蜥蜴が死ぬ所をな。」
さぁ、死の授業だ。
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