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第160章:不安デスヨネ
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『ゲブゥッ……ブハァ。ナカナカビミ。ソウオウニワノチカラモモドッタカ。
ゲニキニクワヌハウツワノヨワサ。
コンダイノリュウオウハドコゾ…』
八岐大蛇の魂が、今にもはち切れそうなその竜の体から抜け出て行ったことに、その場の誰も気づかなかった。
病は八度目の猛威を奮い始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ぶっ…ぶっ…ぶひゃあ!!』
どしゃああああっ!!
オデは足が悪いから、ちょっとした段差にすぐつまずいちまう。
今も砂利に足を取られて転んじまった。神なのに…情けねえ…
『でも、エウレスは落とさなかった…へへへ…オデ、やるな…』
アテナは大丈夫かな…無理はしないよう言ったから、大丈夫だよな…絶対…
ゴンゴンゴン…
ん?オデの作った鉄球の中からエウレスがノックしてきた。
『鉄よう、地にお帰り。』
オデがそう言うと、鉄はみんな地面に染み込んでく。
いい鉄達だった。
「どうなってるの…イストスおじさん…ハデスおじさん達は…!?」
『え、エウレス、落ち着け。おじさんとアテナはきっと、あ、や、絶対大丈夫。
エウレスがあ、危なくねーようにここまで逃げてきたんだ。オデ、す、凄えだろ?』
「そうなの?…ありがとう。イストスおじさん…でも…でもね、ハデスおじさんもアテナさんも、大丈夫じゃないかも…」
『えっ…』
「あのね…分かるんだ…ハデスおじさんとはずっと一緒だったし、アテナさんには腕輪がついてるからかな…あのね、あの…
おじさん達…のっ…気持ちが分からないっ…」
うああっ…エウレスの目からみるみる水が溢れてくる…!
『どどど、どう言うことなんだっ?き、気持ちって…!?』
「おじさんやアテナさんや、イストスおじさんが、大丈夫かどうか、な、なんとなく分かるんだけど、それが分からなくなっちゃった、どうしよう、どうしようぅう……」
『ぶひゃああ!!な、泣くな泣くな!!エウレス!!だ、だ、大丈夫だ!!』
「でもね、でも、うぅぅうぅう…こんなのはじめてで、う、こ、怖いよおぉおぉ…」
『だ、大丈夫!!エウレス!!オデがいる!!オデ、お、おじさん達を助ける!!』
「うっ…えぇっ…?」
『オデだって、お、オリュンポスの十二神の、い、一柱だ!!ハデスおじさんやアテナと同じ、け、気高い神なんだ!!
だから大丈夫!た、多分…いやいやいや!ぜ、ぜ、ぜ、絶対…』
「……」
『だから、な。な。泣くな。
大丈夫だ。大丈夫。』
「…うん…ふぐっ…ありがとう。
イストスおじさん。
泣いて、ごめんなさい…」
しゃくり上げながら、エウレスが抱きついてくる。ちっちゃくてあったかくて震えてる。…そうだ。アテナも言ってたけど、しっかりしててもまだ2歳半なんだよなぁ…
『う、うんうん。大丈夫大丈夫。
よしよし。』
「…イストスおじさんあったかいね。ぽかぽかする…」
『お、オデの血はマグマだから、ち、地熱と一緒なんだ…』
「そっか…」
エウレスは涙を拭いながらオデから離れて、深呼吸する。
やっぱししっかりしすぎてんなぁ…普通の2歳児が泣いてごめんとか言わねえよ。
『大丈夫か…?』
「…うん!平気!!イストスおじさん!一緒にハデスおじさん達を助けよう!」
『う、おう!ま、任せとけ!オデに!鉄船に乗ったつもりでいろ!』
「重くて沈んじゃいそうだね!」
『ぶひゃああ!!ご、ごめん!!!』
「あははは!大丈夫だよ!!
ありがとう!おじさん!」
『う、おおう…』
良かった…笑ってくれた…
「…それにしても、ここはどこだろ…建物の裏、みたいだね…」
『おう。この建物の側なら、あ、安心だと思う。この建物、かなりの神威がか、感じるからな。』
「そうなんだ…立派な建物だもんね…」
『…入ってみるか?』
「…うん。そうしよう。竜の人に事情を話して、助けてもらえたら…』
『ほ、本当は助けなんかいらないけど、こ、心強いな。』
「そうだね。」
オデとエウレスは、ひとまず建物の表側に周ることにした。
砂利が歩きにくいなあ…
ゲニキニクワヌハウツワノヨワサ。
コンダイノリュウオウハドコゾ…』
八岐大蛇の魂が、今にもはち切れそうなその竜の体から抜け出て行ったことに、その場の誰も気づかなかった。
病は八度目の猛威を奮い始めた。
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『ぶっ…ぶっ…ぶひゃあ!!』
どしゃああああっ!!
オデは足が悪いから、ちょっとした段差にすぐつまずいちまう。
今も砂利に足を取られて転んじまった。神なのに…情けねえ…
『でも、エウレスは落とさなかった…へへへ…オデ、やるな…』
アテナは大丈夫かな…無理はしないよう言ったから、大丈夫だよな…絶対…
ゴンゴンゴン…
ん?オデの作った鉄球の中からエウレスがノックしてきた。
『鉄よう、地にお帰り。』
オデがそう言うと、鉄はみんな地面に染み込んでく。
いい鉄達だった。
「どうなってるの…イストスおじさん…ハデスおじさん達は…!?」
『え、エウレス、落ち着け。おじさんとアテナはきっと、あ、や、絶対大丈夫。
エウレスがあ、危なくねーようにここまで逃げてきたんだ。オデ、す、凄えだろ?』
「そうなの?…ありがとう。イストスおじさん…でも…でもね、ハデスおじさんもアテナさんも、大丈夫じゃないかも…」
『えっ…』
「あのね…分かるんだ…ハデスおじさんとはずっと一緒だったし、アテナさんには腕輪がついてるからかな…あのね、あの…
おじさん達…のっ…気持ちが分からないっ…」
うああっ…エウレスの目からみるみる水が溢れてくる…!
『どどど、どう言うことなんだっ?き、気持ちって…!?』
「おじさんやアテナさんや、イストスおじさんが、大丈夫かどうか、な、なんとなく分かるんだけど、それが分からなくなっちゃった、どうしよう、どうしようぅう……」
『ぶひゃああ!!な、泣くな泣くな!!エウレス!!だ、だ、大丈夫だ!!』
「でもね、でも、うぅぅうぅう…こんなのはじめてで、う、こ、怖いよおぉおぉ…」
『だ、大丈夫!!エウレス!!オデがいる!!オデ、お、おじさん達を助ける!!』
「うっ…えぇっ…?」
『オデだって、お、オリュンポスの十二神の、い、一柱だ!!ハデスおじさんやアテナと同じ、け、気高い神なんだ!!
だから大丈夫!た、多分…いやいやいや!ぜ、ぜ、ぜ、絶対…』
「……」
『だから、な。な。泣くな。
大丈夫だ。大丈夫。』
「…うん…ふぐっ…ありがとう。
イストスおじさん。
泣いて、ごめんなさい…」
しゃくり上げながら、エウレスが抱きついてくる。ちっちゃくてあったかくて震えてる。…そうだ。アテナも言ってたけど、しっかりしててもまだ2歳半なんだよなぁ…
『う、うんうん。大丈夫大丈夫。
よしよし。』
「…イストスおじさんあったかいね。ぽかぽかする…」
『お、オデの血はマグマだから、ち、地熱と一緒なんだ…』
「そっか…」
エウレスは涙を拭いながらオデから離れて、深呼吸する。
やっぱししっかりしすぎてんなぁ…普通の2歳児が泣いてごめんとか言わねえよ。
『大丈夫か…?』
「…うん!平気!!イストスおじさん!一緒にハデスおじさん達を助けよう!」
『う、おう!ま、任せとけ!オデに!鉄船に乗ったつもりでいろ!』
「重くて沈んじゃいそうだね!」
『ぶひゃああ!!ご、ごめん!!!』
「あははは!大丈夫だよ!!
ありがとう!おじさん!」
『う、おおう…』
良かった…笑ってくれた…
「…それにしても、ここはどこだろ…建物の裏、みたいだね…」
『おう。この建物の側なら、あ、安心だと思う。この建物、かなりの神威がか、感じるからな。』
「そうなんだ…立派な建物だもんね…」
『…入ってみるか?』
「…うん。そうしよう。竜の人に事情を話して、助けてもらえたら…』
『ほ、本当は助けなんかいらないけど、こ、心強いな。』
「そうだね。」
オデとエウレスは、ひとまず建物の表側に周ることにした。
砂利が歩きにくいなあ…
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