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第124章:ヒュドラデスカ?
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「考えてもみよ。偶然といえば王があの場に居合わせた事の方がよほど偶然ではないか?」
『『『………』』』
3バカ蜥蜴は黙って我輩を睨みつける。やられ足りんか?
その意を込めて睨み返すと、3バカ揃って目を伏せた。ふん、脆弱な。
「そもそも貴様らの王は、得体の知れん我輩のような小童を見下しにわざわざ翼を広げるような小器の王なのか?」
『『『…』』』
ふるふる…
3バカは揃って首を振る。
「ならば尚のこと有り得ぬ事態だ。大方、自ら理由をつけて城から抜け出たのだろう?」
我輩は竜王に目を向ける。3バカもつられて竜王を見る。
「…ガロロロロロ…一つ問おう、ノバーン殿。トリックジジイとはどういう意味かね?」
「ある国にロキという悪神がいる。彼奴は悪戯神とも呼ばれ、人はおろか神々にすら疎まれていたのだ。…"トリックスター"と呼ばれてな。」
「トリックスター…」
「そのロキの神威と貴様の醸す気配はよく似ている。故にトリックジジイだ。」
「なるほど…合点がいった…ノバーン殿の言う通りよな。某が今回の首謀よ。」
『『『……!!!』』』
「理由は某主体の体制を変えるため。ノバーン殿の言った通り。
…早急に対応する必要があった。なぜなら…」
その時だった。
ドガァアアアアアン!!!
凄まじい爆音が木々を震わせ、我輩達を貫いた。
『!?』
『!!!』
『…!…!!』
「…そうか…この近くだったか…済まぬがノバーン殿。ついてきてはくれまいか。」
「なんだ今のは…まるで…」
「頼む。黙ってついて来てくれ…」
「…よかろう。乗ってやろうではないか。」
我輩が竜王に随行しようとすると、蜥蜴どもがヨロヨロと立ち上がってくる。
「お前たちは待っていろ。」
『…!!』
『!!!』
『…!』
「…待っていなさい。」
『『『…!!!!』』』
竜王の言葉によりねじ伏せられた蜥蜴どもは力なくこうべを垂れ、我輩達を見送った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「先程はただの魔力を込めた言葉と言ったが…某の放った言葉は"龍宣"という…竜の王のみが放てる絶対強制力を持つ言葉だ。」
しばらく歩くと、竜王が語り始めた。やはり神言に似た力だったか。
「しかして、ノバーン殿が時折放つあの言葉…あれは龍宣よりも遥かに重く強く暗い。ノバーン殿…貴公は一体…」
そうか。こいつはまだ我輩の中身に確信を持てていないのか。確かに我輩も自分については語っていない。
だが、我が力の端々から、可能性は感じていたのだろう。だからこそ、今こうして話しかけて来たのだ。
「…我輩の言葉は"神言"。すなわち神の言葉だ。生きとし生けるもののみならず、死せるものや下位神に対する絶対強制力を持つ言葉だ…本来ならばな。今の我輩にそこまでの強制力は無いが。」
「やはり…やはり貴公は…」
「それ故に我輩は聞いている。竜の王よ。あの音…いや、声はなんだ?
あれは紛れも無く神言だった。お前は何を隠している。」
「…もうじき着く。見れば分かる。」
「なに…?」
ゾクッ!
我輩の背筋に走り得ぬ寒気が走る。なんだこれはっ…!!
「…!!」
視界が開け、日が差してくる。しかし視界は黒ずみ、腐る。
その黒ずみの中心。そこにいた。
「まさか…ヒュドラだと…?」
多数の頭を持つ竜が、目の前に横たわっていた。
『『『………』』』
3バカ蜥蜴は黙って我輩を睨みつける。やられ足りんか?
その意を込めて睨み返すと、3バカ揃って目を伏せた。ふん、脆弱な。
「そもそも貴様らの王は、得体の知れん我輩のような小童を見下しにわざわざ翼を広げるような小器の王なのか?」
『『『…』』』
ふるふる…
3バカは揃って首を振る。
「ならば尚のこと有り得ぬ事態だ。大方、自ら理由をつけて城から抜け出たのだろう?」
我輩は竜王に目を向ける。3バカもつられて竜王を見る。
「…ガロロロロロ…一つ問おう、ノバーン殿。トリックジジイとはどういう意味かね?」
「ある国にロキという悪神がいる。彼奴は悪戯神とも呼ばれ、人はおろか神々にすら疎まれていたのだ。…"トリックスター"と呼ばれてな。」
「トリックスター…」
「そのロキの神威と貴様の醸す気配はよく似ている。故にトリックジジイだ。」
「なるほど…合点がいった…ノバーン殿の言う通りよな。某が今回の首謀よ。」
『『『……!!!』』』
「理由は某主体の体制を変えるため。ノバーン殿の言った通り。
…早急に対応する必要があった。なぜなら…」
その時だった。
ドガァアアアアアン!!!
凄まじい爆音が木々を震わせ、我輩達を貫いた。
『!?』
『!!!』
『…!…!!』
「…そうか…この近くだったか…済まぬがノバーン殿。ついてきてはくれまいか。」
「なんだ今のは…まるで…」
「頼む。黙ってついて来てくれ…」
「…よかろう。乗ってやろうではないか。」
我輩が竜王に随行しようとすると、蜥蜴どもがヨロヨロと立ち上がってくる。
「お前たちは待っていろ。」
『…!!』
『!!!』
『…!』
「…待っていなさい。」
『『『…!!!!』』』
竜王の言葉によりねじ伏せられた蜥蜴どもは力なくこうべを垂れ、我輩達を見送った。
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「先程はただの魔力を込めた言葉と言ったが…某の放った言葉は"龍宣"という…竜の王のみが放てる絶対強制力を持つ言葉だ。」
しばらく歩くと、竜王が語り始めた。やはり神言に似た力だったか。
「しかして、ノバーン殿が時折放つあの言葉…あれは龍宣よりも遥かに重く強く暗い。ノバーン殿…貴公は一体…」
そうか。こいつはまだ我輩の中身に確信を持てていないのか。確かに我輩も自分については語っていない。
だが、我が力の端々から、可能性は感じていたのだろう。だからこそ、今こうして話しかけて来たのだ。
「…我輩の言葉は"神言"。すなわち神の言葉だ。生きとし生けるもののみならず、死せるものや下位神に対する絶対強制力を持つ言葉だ…本来ならばな。今の我輩にそこまでの強制力は無いが。」
「やはり…やはり貴公は…」
「それ故に我輩は聞いている。竜の王よ。あの音…いや、声はなんだ?
あれは紛れも無く神言だった。お前は何を隠している。」
「…もうじき着く。見れば分かる。」
「なに…?」
ゾクッ!
我輩の背筋に走り得ぬ寒気が走る。なんだこれはっ…!!
「…!!」
視界が開け、日が差してくる。しかし視界は黒ずみ、腐る。
その黒ずみの中心。そこにいた。
「まさか…ヒュドラだと…?」
多数の頭を持つ竜が、目の前に横たわっていた。
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