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第91章:疑問デスネ

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 我輩は、姉を学院に置き、報告を頼んだ。

 学院長が死んだのだ。

 あの学院の根幹に関わる事態である。

 「あの…私…エウレス…」

 「しっかりしろ。僕は…あの女が残した置き土産を、武器にしてくる。」

 「…エウレス…」

 「それが僕にできることだ。
 …あの女の死を無駄にせんためにもな。」

 「…分かった。後は任せて…」

 そして現在、我輩は空の上だ。

 正確には、空の上を走るケルベロスの上…

 そこで手紙を開いていた。

 ケルベロスには、ゆっくり走らせている。

 「…」

 手紙の内容は、我輩達に話した昔話がほぼだった。

 しかし、最後に付け加えがしてあった。

 …血と魔力で刻まれた付け加えが。

 "この世界は貴方を否定する。
 でも、私はそんなことはしない。
 貴方を愛して、貴方を受け入れる。
 貴方の許しを得ず、死ぬことを許して。それと、残した授業…魔法と国の話は、ミレスさんに教えてもらって。
 ごめんなさい。さようなら。"

 …訳がわからん。

 この手紙はおそらく前々から準備していた物なのだろう。
 でなければ書き加えを血でする筈がない。

 しかし、何故わざわざ今なのだ?

 何故今、自害しなければならなかった…?

 やはり我輩が世界樹の武器を作りたいと願ったからか…?

 「…む、もうじきか。」

 「「「クゥーン…」」」

 ケルベロスは細い声を上げると、地上に降りた。

 深夜も更けているというのに、ダンジョン前は相変わらず賑やかだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 誰にも気づかれぬよう、気配を消し、静かにダンジョンの門をくぐる。

 ダンジョン内は、外とは違い静まり返っていた。

 我輩は誰もいないのを確認し、セーフ地点からゴブリンの隠れ里へ入った。

 ゴブリンどもの出迎えもなく、我輩は真っ直ぐにヘパエストスの元へ向かった。

 『ん?ああ!おじさんこんな__』

 ガイン!!

 『ぶひやぁ!!!』

 我輩の投げつけた世界樹の化石は、振り向いたヘパエストスの顔面に直撃した。

 『な…なにするんだよう!!?』

 「黙れ。貴様、謀りおったな。」

 『な…何がだよ!?
 …あ!あのお嬢さんのこと!?
 …まさかもう死んだの?』

 「やはり知っていて黙っていたか。
 愚かな阿保め。」

 『だぁって!!あのお嬢さんにあんな目で見られたら言えないよ!!
 必死にオデを脅して…
 可愛かったなぁ…なのに勿体ない…』
 
 「あぁ?」

 『ひっ!!
 お、おじさんは可愛くないよ…!
 怖い…!!その目やめてよ!!』

 「…ふん。貴様に何を言ってもせんなきこと…とっととその石でバイデントを作れ。」

 『わ…分かったよ…』

 小癪な脂豚を脅し、我輩は壁にもたれかかるのだった。

 
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