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第87章:純白のナイフデス
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『…はうはあ!!』
ヘパエストスはそれから一刻ほどで目を覚ました。
『こ、ここは何!?どこ!?
…はあ!!そっかゴブリンの住処だ!』
「起きて早々にやかましい奴だ。」
『ご、ご主人~…』
「大丈夫…?」
「鉄像ちゃん…?」
ヘパエストスを見下す我輩の背後から、姉と似非淑女が顔を出す。
『!!!!』
ヘパエストスはまたも昏倒しそうになる。
「させるか。」
ゴイーーーン!!
『ぶひゃあああ!!』
我輩は立て掛けてあった金槌で、ヘパエストスの頭を打つ。
「この女が貴様の腕を見たいそうだ。」
『ええっ!?オ、オデの!?』
ヘパエストスはそう言うと、腕をかざしてくる。
「その腕では無い阿保め。
貴様の鍛冶の腕前だ愚かもの。」
『ああ!あ~。なんだぁ…』
ヘパエストスは腑に落ちた顔をし、立ち上がる。
「あなたが鍛冶師の魔物かい?…
早速だけど、見せてくれないかい?」
『うん!いいよ!!何を作ろうか?
オデ、装飾品とかは苦手なんだけど…』
「…エウレスくん。この粉、貰っていい?」
似非淑女は我輩に紙の包みを見せる。
「…良かろう。」
「それじゃ…むう……!」
似非淑女は紙…正確には紙包の中の、世界樹の粉に力を込め始める。
「~~~…!!…よし。
出来上がり。」
すると、紙包の中身は小石ほどの大きさに固まっていた。
『へえ…魔力であの石碑の粉を固めたのかい?器用なことをするね。』
「そう…?あなたにもできるんじゃ無いの…?」
『オデは不器用だから、消滅させちまうよ…へへへ。
ご主人ならできるかもな…』
「無駄口を叩くな。」
『ぶひゃあ!!』
「それで?似非淑女よ。
貴様はそれで何を作って欲しいと言うのだ?」
「…ナイフを。」
「ナイフだと?」
『良いよ!任せなよー!!
おいで!メイロ!!』
「ブヒョー。」
ヘパエストスに呼ばれて、炉豚がどこからか現れた。
ヘパエストスは道具を取り出し、金床を設置する。
『ぶひひ…お嬢さん。その鉱石を…』
「…はいどうぞ…」
ヘパエストスは気持ち悪い顔で似非淑女と鉱石を交互に見つつ、顎に触る。
ジョリジョリと気色悪い髭の音が響く。
『なるほどねえ…このナイフは敵を屠るために使うんじゃない……
…もっと大切な、重要なことに使うんだね…?』
「…どうして分かったんだい…?」
『分かるよ…オデは今から、このナイフの片親になる…
もう片親は、お嬢さんだよ。』
「親…」
キィン!キィン!キィン!!
ヘパエストスは鉱石を熱し、鍛え始める。
全ての作業を途切れぬよう、1人で武器を練り上げていく。
「凄い…本当に武器にしていく…」
「綺麗だね…エウレス…」
「…そうだな。」
キィン!キィン!キィン!
….キィィィィィン!
『…良し。できた。』
「凄い…綺麗だね…」
出来上がったナイフは、純白を呈していた。
何物にも染まりそうな、純白…
世界樹とは武器にするとこうなるのか。
『はい、どうぞ。
大事にね…』
「…ありがとう。」
似非淑女はヘパエストスからナイフを受け取ると礼を言う。
ともあれ…これでようやく世界樹の在り処がわかるな。
似非淑女が案内する条件は満たした筈だ。
ヘパエストスはそれから一刻ほどで目を覚ました。
『こ、ここは何!?どこ!?
…はあ!!そっかゴブリンの住処だ!』
「起きて早々にやかましい奴だ。」
『ご、ご主人~…』
「大丈夫…?」
「鉄像ちゃん…?」
ヘパエストスを見下す我輩の背後から、姉と似非淑女が顔を出す。
『!!!!』
ヘパエストスはまたも昏倒しそうになる。
「させるか。」
ゴイーーーン!!
『ぶひゃあああ!!』
我輩は立て掛けてあった金槌で、ヘパエストスの頭を打つ。
「この女が貴様の腕を見たいそうだ。」
『ええっ!?オ、オデの!?』
ヘパエストスはそう言うと、腕をかざしてくる。
「その腕では無い阿保め。
貴様の鍛冶の腕前だ愚かもの。」
『ああ!あ~。なんだぁ…』
ヘパエストスは腑に落ちた顔をし、立ち上がる。
「あなたが鍛冶師の魔物かい?…
早速だけど、見せてくれないかい?」
『うん!いいよ!!何を作ろうか?
オデ、装飾品とかは苦手なんだけど…』
「…エウレスくん。この粉、貰っていい?」
似非淑女は我輩に紙の包みを見せる。
「…良かろう。」
「それじゃ…むう……!」
似非淑女は紙…正確には紙包の中の、世界樹の粉に力を込め始める。
「~~~…!!…よし。
出来上がり。」
すると、紙包の中身は小石ほどの大きさに固まっていた。
『へえ…魔力であの石碑の粉を固めたのかい?器用なことをするね。』
「そう…?あなたにもできるんじゃ無いの…?」
『オデは不器用だから、消滅させちまうよ…へへへ。
ご主人ならできるかもな…』
「無駄口を叩くな。」
『ぶひゃあ!!』
「それで?似非淑女よ。
貴様はそれで何を作って欲しいと言うのだ?」
「…ナイフを。」
「ナイフだと?」
『良いよ!任せなよー!!
おいで!メイロ!!』
「ブヒョー。」
ヘパエストスに呼ばれて、炉豚がどこからか現れた。
ヘパエストスは道具を取り出し、金床を設置する。
『ぶひひ…お嬢さん。その鉱石を…』
「…はいどうぞ…」
ヘパエストスは気持ち悪い顔で似非淑女と鉱石を交互に見つつ、顎に触る。
ジョリジョリと気色悪い髭の音が響く。
『なるほどねえ…このナイフは敵を屠るために使うんじゃない……
…もっと大切な、重要なことに使うんだね…?』
「…どうして分かったんだい…?」
『分かるよ…オデは今から、このナイフの片親になる…
もう片親は、お嬢さんだよ。』
「親…」
キィン!キィン!キィン!!
ヘパエストスは鉱石を熱し、鍛え始める。
全ての作業を途切れぬよう、1人で武器を練り上げていく。
「凄い…本当に武器にしていく…」
「綺麗だね…エウレス…」
「…そうだな。」
キィン!キィン!キィン!
….キィィィィィン!
『…良し。できた。』
「凄い…綺麗だね…」
出来上がったナイフは、純白を呈していた。
何物にも染まりそうな、純白…
世界樹とは武器にするとこうなるのか。
『はい、どうぞ。
大事にね…』
「…ありがとう。」
似非淑女はヘパエストスからナイフを受け取ると礼を言う。
ともあれ…これでようやく世界樹の在り処がわかるな。
似非淑女が案内する条件は満たした筈だ。
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