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第86章:ヘパエストスは不慣れデスッテ
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ケルベロスは夕陽の中をひた走る。
もうじき夜だ。こんな時間にダンジョンまで行くのは初めてだな。
「そう…ミレスさんは防壁を張るのが上手いですね…」
「あ…ありがとう…ございます…
でもこれ…難しいしきつい…」
「同じ強度の防壁を張り続けるには、高度な集中力と魔力操作力が必要…
慣れること…」
似非淑女と姉は、我輩とともにケルベロスの背に跨り、防壁を張る訓練をしている。
流石は教育者というべきか、抜け目の無いことだ。
「…えへへ…それ程でも…」
褒めてはいない。
「ちぇ…」
「じきにダンジョンだ。
授業もそこまでにしろ。」
「早い…凄い子…ケルベロス…」
「あの…
学院長先生、魔獣苦手なんじゃ…」
「ううん…大好き…大好き過ぎて先生じゃいられないくらい…」
「そ、そうなんですか…」
「学院を魔獣だらけにするからって、副学長に禁止にされた。
あの堅物…」
「あはは…」
ふん。くだらんな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ダンジョンは久々だな…」
「学院長先生も、ダンジョンに来てたんですか…!?」
「うん…昔、冒険者だったから…」
「そうなんですか!?
初めてお聞ききしました!!
冒険者だったなんて…」
「冒険者の仕事は、魔法を鍛えるには丁度良いから…
私の魔法理論のほとんどが、冒険者時代に構築されたものなんだ…」
「へええ!!そうなんですね…!」
女がかしましいというのは、どこも変わらんな…
「ここだな。」
ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
我輩がセーフ地点の壁をなぞると、壁が動き、穴が現れた。
「凄い…こんなの初めて…」
似非淑女は表情こそ変えぬものの、驚き震えている。
「ついて来い。鍛冶師に会わせる…
それと、この場所については他言無用だ。もし漏らせば殺す。」
「こら!エウレス!!」
「……わかった。神に誓う。」
それを確認し、我輩達は穴を降りて行くのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヨウコソ、神サマ…」
いつも通りに老ゴブリンが我輩を出迎える。
これにも似非淑女は驚いていた。
いかに知能ある魔物と言えど、言葉を話すなどまずあり得ないそうだ。
そして我輩達は石碑を解析しているヘパエストスの元へ向かった。
「ヘパエストス!貴様に客だ。」
『なぁに?おじ…ご主人。
改造ならまだ…』
ヘパエストスは似非淑女を見た。
『ぁ…』
「これが…鍛冶師…?
アイアンゴーレム…?
…太っちょの…」
『ごごごごご主人…こここここの人は…だ、誰?』
「はあ…やはりこうなるか…」
「…この石碑は……?!」
似非淑女が石碑に近寄りヘパエストスに触れる。
その瞬間…
『ぶひいいいいいいいいい!!?』
「なに…?」
「きゃっ!!?」
スガシャーーーン!!!
ヘパエストスは紅に染まり倒れた。
これだから嫌だったのだ。
女…特に美人に免疫の無い此奴は、美人と同じ空間にいると過呼吸になり、触られでもすればこうなるに決まっている。
立ち直るには暫く掛かるだろうな…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほう…これはこれは。
この街のダンジョンにこんな場所があったとは…」
我は、部下の1人に遠隔監視魔法を使わせ、あのガキを監視していた。
隠し部屋に入ったところで、魔法は強制的に解除されたが、確定だ。
あの学院長も、ガキに丸め込まれていたのだ。
「くっくっく…これで奴らを貶めることができる…あのガキの力も我が団の物だ…!!」
あとは秘密を晒すタイミングだな…
我はあのガキの苦汁を舐める顔を想像しつつ、酒を飲むのだった。
もうじき夜だ。こんな時間にダンジョンまで行くのは初めてだな。
「そう…ミレスさんは防壁を張るのが上手いですね…」
「あ…ありがとう…ございます…
でもこれ…難しいしきつい…」
「同じ強度の防壁を張り続けるには、高度な集中力と魔力操作力が必要…
慣れること…」
似非淑女と姉は、我輩とともにケルベロスの背に跨り、防壁を張る訓練をしている。
流石は教育者というべきか、抜け目の無いことだ。
「…えへへ…それ程でも…」
褒めてはいない。
「ちぇ…」
「じきにダンジョンだ。
授業もそこまでにしろ。」
「早い…凄い子…ケルベロス…」
「あの…
学院長先生、魔獣苦手なんじゃ…」
「ううん…大好き…大好き過ぎて先生じゃいられないくらい…」
「そ、そうなんですか…」
「学院を魔獣だらけにするからって、副学長に禁止にされた。
あの堅物…」
「あはは…」
ふん。くだらんな。
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「ダンジョンは久々だな…」
「学院長先生も、ダンジョンに来てたんですか…!?」
「うん…昔、冒険者だったから…」
「そうなんですか!?
初めてお聞ききしました!!
冒険者だったなんて…」
「冒険者の仕事は、魔法を鍛えるには丁度良いから…
私の魔法理論のほとんどが、冒険者時代に構築されたものなんだ…」
「へええ!!そうなんですね…!」
女がかしましいというのは、どこも変わらんな…
「ここだな。」
ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
我輩がセーフ地点の壁をなぞると、壁が動き、穴が現れた。
「凄い…こんなの初めて…」
似非淑女は表情こそ変えぬものの、驚き震えている。
「ついて来い。鍛冶師に会わせる…
それと、この場所については他言無用だ。もし漏らせば殺す。」
「こら!エウレス!!」
「……わかった。神に誓う。」
それを確認し、我輩達は穴を降りて行くのだった。
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「ヨウコソ、神サマ…」
いつも通りに老ゴブリンが我輩を出迎える。
これにも似非淑女は驚いていた。
いかに知能ある魔物と言えど、言葉を話すなどまずあり得ないそうだ。
そして我輩達は石碑を解析しているヘパエストスの元へ向かった。
「ヘパエストス!貴様に客だ。」
『なぁに?おじ…ご主人。
改造ならまだ…』
ヘパエストスは似非淑女を見た。
『ぁ…』
「これが…鍛冶師…?
アイアンゴーレム…?
…太っちょの…」
『ごごごごご主人…こここここの人は…だ、誰?』
「はあ…やはりこうなるか…」
「…この石碑は……?!」
似非淑女が石碑に近寄りヘパエストスに触れる。
その瞬間…
『ぶひいいいいいいいいい!!?』
「なに…?」
「きゃっ!!?」
スガシャーーーン!!!
ヘパエストスは紅に染まり倒れた。
これだから嫌だったのだ。
女…特に美人に免疫の無い此奴は、美人と同じ空間にいると過呼吸になり、触られでもすればこうなるに決まっている。
立ち直るには暫く掛かるだろうな…
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「ほう…これはこれは。
この街のダンジョンにこんな場所があったとは…」
我は、部下の1人に遠隔監視魔法を使わせ、あのガキを監視していた。
隠し部屋に入ったところで、魔法は強制的に解除されたが、確定だ。
あの学院長も、ガキに丸め込まれていたのだ。
「くっくっく…これで奴らを貶めることができる…あのガキの力も我が団の物だ…!!」
あとは秘密を晒すタイミングだな…
我はあのガキの苦汁を舐める顔を想像しつつ、酒を飲むのだった。
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