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第76章:ダンジョン新発見デス

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 我輩はとりあえずゴブリンどもにセーフ地点まで案内させた。

 落ち着ける場所で話をと言う姉の提案に乗ったのだ。

 「何故貴様らにはセーフ地点が分かる?
 ダンジョンの地形は常に変わるのだろう?」

 「コチラデゴザイマス…」

 老ゴブリンは腰に括り付けた淡く光る石を示した。

 「なんだそれは。」

 「指針石デゴザイマス…」

 老ゴブリンの差し出したその石を手に取る。

 見た所、なんの変哲も無い石のようだが…

 「コノ石ノ光ガ迷宮内ノ特定ノ場所ヲ示スノデゴザイマス。」

 よく見ると、確かに位置によって光線の向きが違う。

 一方向を指しているな。

 「他ニモ、衝撃ヲ加エルト色ガ変ワリ、指シ示ス場所ヲ変エマスル。」

 「ほう。」

 我輩が石を叩くと、色が淡い青から緑、赤へと変わった。

 「この二色は何を示すのだ。」

 「赤ハ階下ヘノ通路ヲ…緑ハ祭壇ヲ示メシマスル…」

 「祭壇だと?
 密教でも潜んでいるのか?」

 「分カリマセヌガ…祭壇二触レル人間ガ消エル所ヲ見タ事ガアリマスル…
 恐ラクハ迷宮ガ用意シタ神ヘノ捧ゲ物カト。」

 神?人間など欲しがる神がいるのか?

 確かにゼウスやポセイドンなどは、神も人間も関係無く、美しき者どもに種をばら撒いていたが。

 「凄え石だな!!そんな石があるなんざ知らなかったぜ!!
 大発見だ!!それがありゃあ、ダンジョンの探索が捗る!!」

 「確かに凄いわね…
 地図スキル要らずだもの…」

 「ゴブリンよ。これを3つ寄越せ。」

 「ハ。仰セノママ二。」

 ゴブリンは指針石を3つ差し出して来た。

 「お前たちも持っておけ。
 役に立つだろう。」

 「やったぜ!!
 師匠にも教えてやらねえと!!」

 「ありがとう…でもいいの?
 こんな凄い石…」

 「構イマセヌ。神ノ僕ヨ。ソノ石ハイクラデモ作ラレマスル。
 好キナダケオ持チクダサイ。」

 「1つで良い。そんなに要らん。」

 「折角だから師匠の分もっと…!」

 「私も1つでいいかな…」

 しかし祭壇か…
 
 気になったので兄に聞く。

 「兄よ。
 ダンジョンには祭壇があるのか?」

 「いや、多分触れて消えるってんなら転移地点だと思うぜ。」

 「転移地点?」

 「ああ。ダンジョンの各階には転移地点があってな。
 うまく見つけられれば、地上に一瞬で帰れるんだよ。
 まぁ、探索はまた最初からやり直しだけどな。」

 なるほどな…人間が消えるのは地上に戻るからか。

 ゴブリンどもは喋る程度の知能はあっても、考察力は無いようだな。

 そうこうしていると、拓けた場所に出た。

 「到着デゴザイマス…神サマ…」

 ここがセーフ地点か。

 確かに安全そうな雰囲気に包まれているな。

 「コチラカラ隠レ里へ行ケマス。
 人間ガイナイ安全ナ場所デス。」

 「なに?」

 「うお!?壁が…!!」

 「何これ…?!」

 老ゴブリンが壁をなぞると、壁がずれ、階下へ続く穴が現れた。

 隠れ里…これが門の言う、隠された道のことなのか…?
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