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第67章:雷槍?いえ、静電気デス

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 「なぜ隷属首輪が効かんのじゃ!!
 不良品じゃ!!
 爺!この首輪の売り店を潰しておけ!!」

 「は。姫様。」

 「兵ども!!
 まだジュエルは見つからんのか!?
 妾はあの犬を持って国に帰る!!
 捕らえるまで帰れんと思え!!!」

 「「「「「御意!!!」」」」」

 「アンドル!!お前は早くあの下民どもを見つけろ!!処刑するのじゃ!!」

 「…は。」

 俺は姫に跪き、了承の意を示す。

 あの子供の言葉を伝えた姫は大いに怒り、このダンジョンの入り口を、莫大な資金を持って封鎖した。

 伝えないこともできたはずだが…何故か伝えずにはいられなかったのだ。

 あの言葉には、逆らえない何かがあった。

 「よお!役立たず!!
 姫の機嫌取りに必死か!?」

 その時、背中を強く叩いてくる奴がいた。

 兵長のカーロスだ。

 金にがめつい現物主義者で、何かと俺に突っかかってくる。

 「まぁ今回はテメェの尻拭いだな!!何の得にもならねえが、点数稼ぎだ!!
 テメェは精々足を引っ張らねえように…」

 その時だった。

 あの犬の気配が…

 ドン!

 「ぎゅぶ!!」

 「「「ガルゥ…!!」」」

 あの三つ首犬そのものが降って来た…

 カーロスの上に。

 「苦しゅうない。楽にせよ若僧。
 我輩自ら出向いてやったぞ。」

 あの子供はさらにその上…三つ首犬の上に立っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 何やら1人、人間を踏んだようだが、それ以外は何の損壊も出さずに、優雅に着地した。

 「 …久方ぶりでございます。
 まさかそちらからお伺いいただけるとは…」

 「くだらぬ前置きは良い。我輩を探していたのだろう?貴様の主人とやらはどこだ。」
  
 「…少々お待ちを。
 今直属の上司を…」

 我輩は周囲を見回す。

 狼狽える兵ども、堅牢そうな櫓や天幕…居た。

 あの矮小な気配…

 「あれか。」

 「「「ガルゥア!!」」」

 「は?…お、お待ちを!!
 兵たち!!この犬を止め…」

 バゥッ!!

 ケルベロスはひと蹴りで一番巨大な天幕に向けて突進する。

 あそこに矮小な者がいる。

 折檻だ。

 「そこまで。」

 ビシャアアアアン!!!

 あと一歩の所で、天から電撃が降り注いできた。

 ケルベロスは敏感に気配を察知し、余裕で飛び退く。

 「おや…我が雷槍を躱すとは、姫が欲しがるはず。
 しかしいきなりの目通りが叶う訳もありますまい。」

 「雷槍だと?今のを雷と言い張るか?
 静電気かと思ったわ。」

 本物の雷槍は、全宇宙を焼き尽くす。死の神すら貫き屠る。

 「ほほほ…では幾らでもご堪能くださいませ、お客様。」

 柔和な笑みを浮かべた老人が、黄色をした、巨大な羽の生えた蜥蜴に立ち、空より舞い降りた。

 どこぞの全知全能神を思い出す、非常に胸糞悪い見た目だな。

 



 
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