42 / 189
第41章:細工は流々…デスカ?
しおりを挟む
それからの動きは早かった。
この兄姉と来たら、先程までしょげていた癖にやたらハキハキと事後処理を始める。
まずは役所に行方不明者届けとやらを出していた。
そうしておけば、父の職場に役所から連絡が行くらしい。
便利なことだ。
母に関しては仕事はしていなかったが、近所の友達とやらに一応のあらましを伝えたようだ。
我輩も連れられていたのだが、どいつもこいつもえらく親身な顔をし、「頑張って」だの「気落ちしちゃダメよ」だのとのたまっていた。
所詮他人事だろうに、あの数々の言葉も表情も疑わしいものだ。
そして夜のうちに旅の準備をしていた時だ。
「…あっ!」
「なんだ。」
「どうしたの?兄さん。」
「エウレスをどうしよう…」
「あ…」
「なんだと?」
こいつらは…この期に及んで我輩を忘れていたのか。
戯けにも程がある。
「貴様ら…馬か鹿なのか?
えらく順調に身辺処理をしたかと思えば…僕を忘れていたとはな。」
「いや!忘れてねえよ!ただ…」
「ただ、なんだ?」
「ミレスは学院寮に住んでるだろ?となると必然的に俺と住むことになるんだが…
俺の家は師匠の家なんだよ。」
「それがどうした。」
「いや、だからな…部屋は俺一人分でいっぱいだし…他の弟子連中もいるし…
何より師匠が許すかどうか…」
「ふん。
部屋など寝床があれば十分。
寝床も無ければお前と寝ればいいだけだ。」
「え!!!!?」
「なんだ…不満があるのか?」
「いや…逆に良いのか?」
「なぜだ。兄弟は寝床を共にするくらい良くあると本で読んだことがあるぞ?
あれは間違いか?」
「いやいやいや!良いんだ!
合ってる!合ってるぞよ!!」
「は?」
「エフンエフンッ…!!!」
ゾッ。
背中を冷感が駆け抜ける。
なんだこいつは。気持ちの悪い。
にやけて口元を押さえている。
この我輩が寒気を感じるなど、元世でつい魔が差して浮気をしてしまったことがペルセポネにバレた時ぐらいだ。
あの時は怖かった…浮気相手の精霊・メンテを踏み潰し、草へと変えてしまったのだ。
それ以降、その独特の香りを放つ呪われた草は地上で「ミント」と呼ばれるようになったのだが…
我輩も草に変えられてしまうと思い、必死に謝ると許してもらえた。
あの事がきっかけで、ペルセポネは我輩を夫として見てくれるようになったのだ。
それ以来浮気はしていない。
…会いたいぞ。愛しきペルセポネ…
「え…べ…別に私も寮だけど…申請すればエウレスくらい置いとけるよ?」
「そうなのか。」
「いやいや!ミレス!1ヶ月とかだろ!!?それなら俺と一緒にいた方が良いって!!」
「延長できるもん!!
兄さんだけズルイ!!」
「はあ!?何がだよ???」
「とぼけないでよ!!あからさまに喜んでたじゃない!!エウレスと寝れるからって!!」
「よ、喜んでねーよ!バカヤロウ!
兄弟なんだし当然だろ!!?
なあエウレス!!?」
「知らん…どっちでも良い…」
「なにい!?」
「ほら~!!」
ぎゃあぎゃあと随分元気の出た事だ…
だが…我輩は違うようだ…
この体の活動限界……夜9時…………
おねむの時間だ。
すぴー…_____
この兄姉と来たら、先程までしょげていた癖にやたらハキハキと事後処理を始める。
まずは役所に行方不明者届けとやらを出していた。
そうしておけば、父の職場に役所から連絡が行くらしい。
便利なことだ。
母に関しては仕事はしていなかったが、近所の友達とやらに一応のあらましを伝えたようだ。
我輩も連れられていたのだが、どいつもこいつもえらく親身な顔をし、「頑張って」だの「気落ちしちゃダメよ」だのとのたまっていた。
所詮他人事だろうに、あの数々の言葉も表情も疑わしいものだ。
そして夜のうちに旅の準備をしていた時だ。
「…あっ!」
「なんだ。」
「どうしたの?兄さん。」
「エウレスをどうしよう…」
「あ…」
「なんだと?」
こいつらは…この期に及んで我輩を忘れていたのか。
戯けにも程がある。
「貴様ら…馬か鹿なのか?
えらく順調に身辺処理をしたかと思えば…僕を忘れていたとはな。」
「いや!忘れてねえよ!ただ…」
「ただ、なんだ?」
「ミレスは学院寮に住んでるだろ?となると必然的に俺と住むことになるんだが…
俺の家は師匠の家なんだよ。」
「それがどうした。」
「いや、だからな…部屋は俺一人分でいっぱいだし…他の弟子連中もいるし…
何より師匠が許すかどうか…」
「ふん。
部屋など寝床があれば十分。
寝床も無ければお前と寝ればいいだけだ。」
「え!!!!?」
「なんだ…不満があるのか?」
「いや…逆に良いのか?」
「なぜだ。兄弟は寝床を共にするくらい良くあると本で読んだことがあるぞ?
あれは間違いか?」
「いやいやいや!良いんだ!
合ってる!合ってるぞよ!!」
「は?」
「エフンエフンッ…!!!」
ゾッ。
背中を冷感が駆け抜ける。
なんだこいつは。気持ちの悪い。
にやけて口元を押さえている。
この我輩が寒気を感じるなど、元世でつい魔が差して浮気をしてしまったことがペルセポネにバレた時ぐらいだ。
あの時は怖かった…浮気相手の精霊・メンテを踏み潰し、草へと変えてしまったのだ。
それ以降、その独特の香りを放つ呪われた草は地上で「ミント」と呼ばれるようになったのだが…
我輩も草に変えられてしまうと思い、必死に謝ると許してもらえた。
あの事がきっかけで、ペルセポネは我輩を夫として見てくれるようになったのだ。
それ以来浮気はしていない。
…会いたいぞ。愛しきペルセポネ…
「え…べ…別に私も寮だけど…申請すればエウレスくらい置いとけるよ?」
「そうなのか。」
「いやいや!ミレス!1ヶ月とかだろ!!?それなら俺と一緒にいた方が良いって!!」
「延長できるもん!!
兄さんだけズルイ!!」
「はあ!?何がだよ???」
「とぼけないでよ!!あからさまに喜んでたじゃない!!エウレスと寝れるからって!!」
「よ、喜んでねーよ!バカヤロウ!
兄弟なんだし当然だろ!!?
なあエウレス!!?」
「知らん…どっちでも良い…」
「なにい!?」
「ほら~!!」
ぎゃあぎゃあと随分元気の出た事だ…
だが…我輩は違うようだ…
この体の活動限界……夜9時…………
おねむの時間だ。
すぴー…_____
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~
骨折さん
ファンタジー
なんか良く分からない理由で異世界に呼び出された独身サラリーマン、前川 来人。
どうやら神でも予見し得なかった理由で死んでしまったらしい。
そういった者は強い力を持つはずだと来人を異世界に呼んだ神は言った。
世界を救えと来人に言った……のだが、来人に与えられた能力は壁を生み出す力のみだった。
「聖剣とか成長促進とかがよかったんですが……」
来人がいるのは魔族領と呼ばれる危険な平原。危険な獣や人間の敵である魔物もいるだろう。
このままでは命が危ない! チート【壁】を利用して生き残ることが出来るのか!?
壁だぜ!? 無理なんじゃない!?
これは前川 来人が【壁】という力のみを使い、サバイバルからのスローライフ、そして助けた可愛い女の子達(色々と拗らせちゃってるけど)とイチャイチャしたり、村を作ったりしつつ、いつの間にか世界を救うことになったちょっとエッチな男の物語である!
※☆がついているエピソードはちょっとエッチです。R15の範囲内で書いてありますが、苦手な方はご注意下さい。
※カクヨムでは公開停止になってしまいました。大変お騒がせいたしました。
【完結】「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
月白ヤトヒコ
ファンタジー
よその部署のヘルプという一仕事を終えて帰ろうとしたら、突然魔法陣が現れてどこぞの城へと『女神の化身』として召喚されたわたし。
すると、いきなり「お前が女神の化身か。まあまあの顔だな。お前をわたしの妻にしてやる。子を産ませてやることを光栄に思うがいい。今夜は初夜だ。この娘を磨き上げろ」とか傲慢な国王(顔は美形)に言われたので、城に火を付けて逃亡……したけど捕まった。
なにが不満だと聞かれたので、「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」と言ってやりました。
誘拐召喚に怒ってないワケねぇだろっ!?
さあ、手前ぇが体験してみろ!
※タイトルがアレでBLタグは一応付けていますが、ギャグみたいなものです。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる