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第41章:細工は流々…デスカ?

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 それからの動きは早かった。

 この兄姉と来たら、先程までしょげていた癖にやたらハキハキと事後処理を始める。

 まずは役所に行方不明者届けとやらを出していた。

 そうしておけば、父の職場に役所から連絡が行くらしい。

 便利なことだ。

 母に関しては仕事はしていなかったが、近所の友達とやらに一応のあらましを伝えたようだ。

 我輩も連れられていたのだが、どいつもこいつもえらく親身な顔をし、「頑張って」だの「気落ちしちゃダメよ」だのとのたまっていた。

 所詮他人事だろうに、あの数々の言葉も表情も疑わしいものだ。

 そして夜のうちに旅の準備をしていた時だ。

 「…あっ!」

 「なんだ。」

 「どうしたの?兄さん。」

 「エウレスをどうしよう…」
 
 「あ…」

 「なんだと?」

 こいつらは…この期に及んで我輩を忘れていたのか。

 戯けにも程がある。

 「貴様ら…馬か鹿なのか?
 えらく順調に身辺処理をしたかと思えば…僕を忘れていたとはな。」

 「いや!忘れてねえよ!ただ…」

 「ただ、なんだ?」

 「ミレスは学院寮に住んでるだろ?となると必然的に俺と住むことになるんだが…
 俺の家は師匠の家なんだよ。」

 「それがどうした。」

 「いや、だからな…部屋は俺一人分でいっぱいだし…他の弟子連中もいるし…
 何より師匠が許すかどうか…」

 「ふん。
 部屋など寝床があれば十分。
 寝床も無ければお前と寝ればいいだけだ。」

 「え!!!!?」

 「なんだ…不満があるのか?」

 「いや…逆に良いのか?」

 「なぜだ。兄弟は寝床を共にするくらい良くあると本で読んだことがあるぞ?
 あれは間違いか?」

 「いやいやいや!良いんだ!
 合ってる!合ってるぞよ!!」

 「は?」

 「エフンエフンッ…!!!」

 ゾッ。

 背中を冷感が駆け抜ける。

 なんだこいつは。気持ちの悪い。

 にやけて口元を押さえている。

 この我輩が寒気を感じるなど、元世でつい魔が差して浮気をしてしまったことがペルセポネにバレた時ぐらいだ。

 あの時は怖かった…浮気相手の精霊・メンテを踏み潰し、草へと変えてしまったのだ。

 それ以降、その独特の香りを放つ呪われた草は地上で「ミント」と呼ばれるようになったのだが…

 我輩も草に変えられてしまうと思い、必死に謝ると許してもらえた。

 あの事がきっかけで、ペルセポネは我輩を夫として見てくれるようになったのだ。

 それ以来浮気はしていない。

 …会いたいぞ。愛しきペルセポネ…

 「え…べ…別に私も寮だけど…申請すればエウレスくらい置いとけるよ?」

 「そうなのか。」

 「いやいや!ミレス!1ヶ月とかだろ!!?それなら俺と一緒にいた方が良いって!!」

 「延長できるもん!!
 兄さんだけズルイ!!」

 「はあ!?何がだよ???」

 「とぼけないでよ!!あからさまに喜んでたじゃない!!エウレスと寝れるからって!!」

 「よ、喜んでねーよ!バカヤロウ!
 兄弟なんだし当然だろ!!?
 なあエウレス!!?」

 「知らん…どっちでも良い…」

 「なにい!?」

 「ほら~!!」

 ぎゃあぎゃあと随分元気の出た事だ…

 だが…我輩は違うようだ…

 この体の活動限界……夜9時…………

 おねむの時間だ。

 





 すぴー…_____

 




 
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