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第13章:上下をはっきりさせるのデス

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 「あ…そ…そうなの…お姉ちゃん、自己紹介してもらえて…嬉しい…」

 「…母さん…この子…」

 「あらまぁ?
 どこでそんな言葉を覚えたのかしら?
 やっぱり難しい本ばかり読ませ過ぎたのかしら…」

 「母よ。僕は僕だ。逃げも隠れもする気は無いし、何を言い訳にもしない。」

 「あらまぁ…どうしましょう…」

 皆一様に呆れた顔をしている…

 何故だ?ゼウスなどより余程マシのはずだ。

 奴は出会い頭で全知全能を名乗った痛ましき神だ。

 解せぬ…。

 まぁ良い。些事だ。
 
 「そんなことより、母よ。
 空腹に悶え苦しみのたうち回りそうだ。
 我が胃臓の呻きを治めてはくれんだろうか。」

 「あら!もうそんな時間!?
 分かったわ!すぐご飯作るわね!」

 「「…」」

 自称・兄姉は、揃いも揃って同じような阿保顔をこちらに向けている。

 なんだ…?
 
 我輩を馬鹿にしているのか…?

 我輩は手始めに、自称・兄の足元に近寄り、脛を蹴る。

 ボクッ。

 「いてぇ!!?」

 「やかましい。手加減はした。
 いつまでその素っ頓狂な顔をわが…僕に向けるつもりだ?
 お前もだ。その顔を止めねばお前の脛も蹴り上げるぞ。」

 すると、ようやく奴らは真顔に戻り、顔を我輩から背けた。

 だが、やはりチラチラと視線を感じる…

 「貴様ら…殺されたいのか?」

 「「うわ!?」」

 いかん。思わず殺気が漏れた。

 そうだ。子供を作れなかった理由はこれもあった。

 我輩は子供が苦手なのだ。

 睨めば泣き喚くし、無邪気を盾にすればなんでも許されると思っている傲慢な生き物…

 ある意味ゼウスと同じくらい恐ろしい。

 そして、今目の前にいるこいつらは、正しく子供だ。

 多少は大きく育っているようだが、中途半端な子供…。

 「(ね、ねぇ…今の…)」

 「(いくらなんでも違うだろ…
 だって俺たち…)」

 「おい貴様ら。」

 「「ひっ!?」」

 なにやら声を潜めて話しているようだが知ったことか。

 我輩はこいつらの目の前の机に仁王立ち、顔を交互に睨みつける。

 「確かに貴様らは僕より先に生まれ、僕より年上なのだろう…
 だが、貴様らは明らかに子供である。」

 「「えっ…」」

 「女。貴様は自分の立ち位置がよく分かっていないようだな?
 それはこの場だけでなく普段からそのようだ。魂が浮ついている!
 男。貴様は何も見えていないな?
 自らの器でしか物事を測れぬ。そんなことだから魂が器から離れ、虚ろになっているのだ!!」

 「「た…たましい…??」」

 「良いか。
 わがは……僕は子供が苦手だ。
 この家は貴様らの家でもある。居続けるのは構わんが、僕の邪魔だけはするな…僕の周りをちょろちょろするな…
 良いな?」

 「「…」」

 「返事は?」

 「「は、はい…」」

 「よろしい…では、朝食の時間だ…
 我が兄姉よ……フフフフフ…
 フハハハハハ!!!」

 我輩はぴょんと机から椅子に飛び移り、前掛けを装着して食事の支度をする。

 ガチャッ。

 「はぁ~い。みんな。できたわよ~。
 …あらまぁ。
 どうしたの?ミレス、ジャッジ。
 早く座りなさい。2人のすきなアップルパイも焼いてるわよ。」

 丁度母が部屋に入って来た時には、我輩は準備万端だった。

 
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