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第8章:母・マリアンの視点デス

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 私はエウレスだけは守らなければと、胸に抱き、体を丸め縮めていた。

 ジョーが守ってくれているとは言え、いつどこから盗賊が来るか分からないからだ。

 体が震えて、言い知れぬ不安に胸が締め付けられる。

 こんな経験は初めてだ…

 「ジョー!大丈夫!?」

 「大丈夫だ!!神使様は…」

 「それが…」

 神使様は胸に刃物を受け冷たく横たわっていた。

 かろうじて息はしているようだが、このままでは"し"…

 「えっ…し…?」

 「ギャハハハハ!!
 やっちまえお前らぁ!!」

 「「「ひゃーはぁ!!!」」」

 ジョーに向かって大勢の男達が群がる。

 ジョーは剣なんて持っていないし、防具も身につけていない。

 それなのに…

 「どうしてこんな…酷い…!!」

 「うおおおおおお!!!」

 ジョーの体は傷つき、肉がえぐれて血が滴り落ちている。

 盗賊はお構いなしに、そこに傷を重ねていく。

 「「「ギャハハハハ!!!」」」

 ドガッ!バキバキッ!ブシュアッ!!

 目をつぶっても耳は聞こえる。

 この音は…刃物の音じゃない。

 ジョーが勝ったの…?

 ポスッ。

 肩に優しく手が置かれる。

 薄眼を開けて見ると、見慣れた指輪を付けた手。

 「あ…あなた!!」

 「ヒヒヒヒ…は~あ~い。」

 そこには…

 腹を刺し貫かれて倒れるジョーと、そのジョーの右手をプラプラと振り、下卑た笑みを浮かべる盗賊の頭がいた。

 「あっ……!!!」

 ジョー!!

 頭が熱く白くなる!

 いや!!嫌よ!!

 このままじゃ"し"んでしまう…!!!

 「いやあああああ!!!
 ジョー!ジョー!!!」

 「ヒヒャハハハハハ!!!
 おいお前ら!!押さえとけ!!
 前祝いだ!!」

 「あっ…やめて!!エウレス!!!」

 ビリィッ…!!!

 エウレスを奪われ、両腕を押さえつけられる。

 服は破られ、裸に近い姿になる。

 「はなして!!いやぁ!!やめ…」

 バチィッ!!

 頬を思い切り叩かれて、口の中が切れ、血の味がする。

 「ヒヒヒヒ…大人しくしろ…
 そしたら"し"なずに済むからよ…」

 「ひぃっ…
 エウレス!エウレスだけは…!!」

 盗賊達は下半身を露出させ、獣のように私の体に這い寄ってくる。

 暴れるが、私の力では振りほどけない。

 バキッ!!ベチィッ!!

 今度は殴られた。両頬がジンジンと痛み、全身から抗う気力が抜ける。

 でも…

 「あの子だけは…」

 「んん?」

 「あの子だけは助けて…
 私はどうなってもいいから、あの子だけは……」

 「はっは…お~い。
 そのガキは男か?女か?」

 「へい!男ですねえ!!
 付いてやすもん!!」

 「じゃあ要らねえ。」

 「まっ…」

 ズブッ…!!

 そして盗賊は…

 私の目の前で……

 エウレスをつらぬいた。

 えうれすをころした。

 えうれすが…"し"んだ。

 「あっ……い…や……がっ…かっ…」

 「ん?なんだ。
 やる前に壊れやがったか。
 ガキなんざこれから幾らでも産めるぜ~。
 お前はそれを自分から望むようになんだからよ~。」

 おとこのモノがわたしにちかづく。

 もうわたしにはなにもない。

 ていこうするちからも…

 「このガキどうする!!?」

 「捨てとけ!汚ねえ!!」

 ドシャッ。

 エウレス…

 ごめんなさい…

 守れなくて…………

 ダメなママを…ゆるせなくても…

 ごめんねえ………

 『死とは気高く安らかなものである。
 その前には貧富の差はなく皆一様に無に等しい。』

 目の前に突然男の人が現れた。

 私はその人を見て温かさを覚えた。

 "し"…いや…"死"の化身のような黒いその人を…。



 『…なんだ女。死ぬならば安らかに。
 でなければ死ぬために生きろ。』

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