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異世界生活2日目の話をしよう。5
しおりを挟むマージさん姉弟の正直な態度に、僕は眉をハの字にしてレニーさんの腕の中でいじける。
「やだ、ごめんなさい!だって、とてもそんな風に見えないから、まさかマーゴと同い年だなんて思わなくて…!」
マージさんは申し訳なさそうな表情で謝ってくれるのだが、言ってることはわりと辛辣なので僕のショックがより大きい。
「俺と同い年…?だったら、尚更俺の方がイクの番に相応しいだろ!」
「…あのなぁ、年が近けりゃいいってもんじゃねぇだろが」
マーゴさんとエルさんは何やらわぁわぁと騒いでいたが、傷心な僕はもはやそれどころではない。
レニーさんの胸に身を寄せてしょんぼりしていると、上からレニーさんの優しい声が降ってきた。
「イク、そんなにしょげなくても大丈夫だ。背なんてすぐに大きくなる」
背が大きくなると言われて、僕はその言葉にそっと顔を上げる。
「……ほんと?」
「…あぁ。…だが、大きくなる為には栄養が必要だ。だから食事はしっかりと摂らないとな?」
レニーさんはそう言いながら目の前のテーブルに視線を移した。
その目線の先には大皿に盛られた大量のパンと山盛りの肉。
…そっか。
確かにレニーさんの言う通り、二人は昨日の夜もすごくたくさん食べていたな、と昨晩の食事の様子を思い返す。
朝からこんなに食べられるなんて二人はすごいなぁと思っていたけれど、大きくなる為なら僕も見習わなくちゃ!
すると、意気込んだばかりの僕の目の前にフォークに刺されたレタスような葉野菜が差し出された。
「?」
見ると、レニーさんが僕の口許に葉野菜を差し出しているところだった。
「イクは昨日、野菜をよく食べていた…好きなのだろう?」
これは…
つまり、食べろっていうことかな?
僕は目の前に差し出された野菜をぱくりと食べる。
味付けが、うっすらとふりかけられた塩味だけなのが少し残念なところだが、葉野菜自体はシャキシャキしていてとても新鮮だった。
「ん…新鮮で美味しい、です」
「そうか」
食べさせて貰った葉野菜をシャクシャクと咀嚼して飲み込むと、レニーさんはふっと笑みを溢す。
だから僕はテーブルの上のフォークに手を伸ばし、お返しにとばかりにレニーさんの口許にお肉を差し出す。
「はい。レニーさんはお肉…ですよね?」
「!…あぁ」
一瞬驚いた顔をしたレニーさんだったが、目許を綻ばせると、僕が差し出したお肉をそのまま一口で食べてしまった。
わ、すごい。
今のおっきなお肉が一口で入っちゃうんだ。
すごく優雅に食べてたのに…不思議だなぁ。
僕がレニーさんの大きな一口に驚いていたら、今度は左側から、僕の目の前にパンが差し出された。
「!」
見ると、いつの間にか椅子ごと移動してきたエルさんが、丁度僕の一口サイズくらいに小さく千切ったパンを、僕の口許に差し出してくれているところだった。
「…この大きさなら、食えるだろ?」
「ふふ、はい」
僕は笑って頷き、エルさんの手からパンをぱくりと頬張ると、ザクザク、もきゅもきゅと咀嚼し、こくりと飲み込む。
「……どうだ?」
昨日の店でもそうだったのだが、異世界のパンは前世で例えるなら全体的に味の薄いフランスパンのようだ。
表面は固くて歯応えはあるが、パンの香ばしさはあまりなく、中は小麦粉そのままの風味に近い感じでかなりなんていうか…残念な味だ。
だけど、エルさんに食べさせて貰ったからか、昨日よりほんの少しだけ美味しく感じた。
「ん…まだ、慣れないんですけど、昨日より美味しい、です。エルさんに食べさせて貰ったから、でしょうか…?」
「は?そ、そうか…なら良かったな」
それから、やっぱり同じようにエルさんの口許にお返しのお肉を差し出すと、レニーさん同様に目許を綻ばせたエルさんによって、大きなお肉は瞬く間に一口でなくなってしまう。
僕もたくさん食べて、早く二人みたいに大きくならなくちゃ。
そうして、その後も僕達はお互いに食べさせ合いを繰り返しては、和やかな朝の食事時間を楽しんだ。
時折、二人はお肉も食べないと駄目だと言っては、小さめに切られたお肉を双方から差し出してくるので、僕も二人にお返しの葉野菜や根菜を食べさせたりした。
しかし、二人の口にお肉を差し出すという行為は、存外大変な作業だった。
当然と言えば当然なのだが、二人は僕に対して二人で差し出すのだから手数は二分の一で済むが、僕は二人に差し出す為、二倍の手数になるわけで。
だから二人の口にお肉を運ぶのに一生懸命になっていた僕は、その光景を見ていた周りの人達が、羨ましがったり、悔しがったり、呆れ返って見ていたことなど、全く気が付いていなかったのだった。
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更新が大変遅くなってしまってすみませんm(_ _)m
ここ、二~三ヶ月前から最近よく気が付くと仕事中にすごく眠くなったり、家に帰ってくると食事の途中とかでも気絶するように寝入っていて、疲れてんのかな?と思うことが多かったのですが、実家に久々に帰って家族が気が付いたのですが、ホントに気絶していたらしくてびっくりしましたw
診て貰ったところ、どうやら軽度の睡眠障害のようです。
睡眠って大事。
ストレス溜めないって大事だなぁと実感した作者でした。
皆さんも気を付けて下さい!
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