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第ニ章

盲目⑥

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「昨日少し話したけど、今日山岸が接触してくると思う。大丈夫だった?とか、心配の言葉だと思うけど、その時に返す言葉は‥」

「分かってます!変な人に絡まれたけど大丈夫だった、ですよね?」

「あぁ、それと」

「あの時、山岸くんはどこにいってたの?ですね!」

昨日言っていたポイントをしっかりと押さえている。

あなたがいない間にタイミング悪くトラブルに巻き込まれた。その時あなたはどこに?
こう言っても山岸は何も言わず誤魔化すだろう。だが、今はそう言うしかない。

山岸の尻尾は俺が掴んでやる。

「それで、きっとまた誘ってくると思うけど、ついて行かないように」

「はい!もう付いていきません」

元気と返事はいいのだが。

鼻歌を歌うアイを見て、どうしても聞きたいことが聞けなかった。

彼女はなんで観覧車でパニックに陥ったのだろう。


学校に着いたが、全く集中出来ていなかった。
授業中も休み時間も、どれも頭の中にはアイと山岸の事で頭がいっぱいだ。

少しの休憩時間に山岸が会いにいくとは考えにくい。
会うとしたら、きっと昼食を食べる時間帯のはずだ。

俺もその時を狙って、アイの教室に向かおう。
少し離れた席にいる金木からが心配そうに俺を見ていた。


午前中の授業を終え、俺は教室を出る。
アイのクラスの前に着くと、教室内にはもうアイの姿は見られなかった。

丁度教室をどようとする女子生徒に「ねぇ、アイ、藍良ってどっか行った?」と聞くと

「藍良さん?あー、授業のチャイムが鳴ってからすぐに教室を出て行ったよ」

くそ!一足遅かったか。
俺は礼を言い教室を出る。

どこだ。
体育館、校舎裏、別館の隅‥。

大方山岸が手紙か何かで呼び出したのだろう。アイは今携帯を持っていない。これがそんなひ不便だなんて。
てか、もし手紙で呼ばれても軽々しく行くなよ!

山岸が接近してきたらこう対処しろ、なんて事前に言ってたけど、無理に会いに行くことなんて無いんだよ。

無茶苦茶言っている自分が何がしたいのか分からず、とにかく走り回る。

闇雲に走っている最中で、スマホが鳴る。

「‥なにっ」

今忙しい、と電話相手の金木に言おうとしたが、『ちょっと、今藍良さんと山岸くんいるけど!』と早口で言うので急ブレーキでその場を止まる。

「どこ!」

『体育館裏!』

その場所を聞いた俺は通話を切る。

何をそんなに慌てて走ってるんだ。
学校で山岸が何かをするわけないだろう、と頭でわかってはいるが、走らずにはいられなかった。


言われた体育館裏が見える物陰には既に金木がいた。

手招きし、指で静かにジェスチャーをしている。

「今、山岸が何か言ってるよ」

「何かって、何だよ」

「聞こえないの。でも、頭を下げてるよ」

少し離れた所にアイと山岸はいる。山岸は確かに申し訳なさそうな顔で何かを言っており、アイがそれに対して一瞬空を見て言葉を返している。
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