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第ニ章

盲目②

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「父と母は反対したが、有無を言わせなかった。お金は自分で工面したからね」

「え?大学って高いんですよね」

「そんなものは取るに足らない。ここでの生活費も私は自分で払っている」

アルバイト?いやいや、的射さんが働いている姿なんて想像できない。

何か、如何わしい方法で‥。

「人と直接関わるだけが収入を得る方法ではない。私にはコイツがある」

机の中から取り出したのはミニノートパソコンだった。
一見するとおもちゃのようにも見える。

それで盗撮、今流行りのフェイク動画なんて物を‥

「何やら勘違いをされているような気がするがまぁいい。本題に入ろう。何があった」

的射さんが居住まいを正してそう聞いて来た。

「俺って、そんな顔に出やすいタイプですかね。親父にも言われました」

苦笑をして答える。
帰って来てから早々に親父にそう聞かれた俺は、首を振るしかできなかった。

的射さんにことの流れを説明する。
信じてもらえない覚悟で、憑依アプリの存在も。

「そのアプリを、見せてくれないか」

ズレた眼鏡を掛け直し手をこちらに伸ばしてくる。

少し迷いながらも、俺は憑依アプリを起動し的射さんに渡した。

「‥ふむ」

刑事が事件を追うような真剣な目でアプリを見ていく。

「なるほど。興味深い」

「信じてもらえないかもしれないですが、事実なんです」

「信じよう、と言いたいが、にわかには任じれないのが本音だ。しかし君がこんな嘘をつく理由もない。それで、私に何か期待しているのかね」

期待なんて大それたものは無い。単純に、一人では抱えきれなかっただけだ。

「君は何がしたい。これが本当だとして、二人の魂を成仏させたい?」

スマホを僕に手渡して的射さんが尋ねてくる。

「それは、そうです」

「厄介だな、それは」

「厄介?」

「元来、人の未練を断ち切る等というものは、時間が掛かるものなのだよ。何年、何十年、果ては断ち切ることすら出来ないかもしれない。ましてや死後、成仏できないほどの未練となるとね」

そんな‥。だったら、藍良と哲也くんは。

「成仏させた後も厄介だとは思うが‥。まぁ今はいい。微力ながら、私も協力しよう」

「え、本当ですか?」

「何ができるかは分からないがね。ただし、条件が二つある。一つ目は、藍良くんを連れて来てほしい」

「藍良を、ここへ?」

「藍良くんと最後にあったのは中学生の頃だが、私は人を見る目には自信がある。彼女が彼女でないかは一目瞭然だろう。それをもって、君の言う話が本当かを見極めよう」

なるほど。

「分かりました。もう一つは?」

「もう一つは、少し難しいかもしれないが‥」

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