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第四章

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「どうだい、凄いだろう」

いつの間にか隣にいた木本先生が楽しそうに話しかけて来た。右手にはビデオカメラを持っている。

カメラ?

「あの、先生」

「ん?あぁ、作品を撮ってるんだ」

僕の名前を覚えてくれていることに驚き、それが少し嬉しかった。
何だろう、話したことも初めての筈なのに、木本先生には親近感を感じる。

「いや、その」

「彼らが何故あんなことをしているのかって?やだなぁ真中くん。君は知ってるだろう。催眠だよ」

「催眠?」

「あ、いやいや。そうか、記憶を飛ばしたんだった」

優しく肩に手を置き頷いてくる。

その間も目の前でも信じられない事が起こっている。

「お姉ちゃん、ウブだねぇ。私が教えてあげる」

下着まで下ろされた二人は、悔しそうに目を逸らしている。

体育館で起こっている異様な状況。

「ほら、こうやるんだよぉ」

そして、多部くんのアレを、咥えた。

「‥え」

じゅぼ、じゅぼと卑猥な音が聞こえてくる。

「姫歌、やっぱり、恥ずかしいよ」

「はぁにひってるのぉ。んちゅ。ほら、試合に勝ちたく無いの?」

妹の真剣な眼差しと言葉を受け、意を決したように姉の方も、顔を真っ赤にしながら山之内くんのモノを咥えた。

「彼らは催眠暗示に従って行動しているだけだよ」

上目遣いで顔を前後に動かす安生姫歌と、舌を出し控えめに舐めている姉。

喉が渇き、唾を飲み込んだ。

木本先生は、催眠暗示なんて言葉を使った。

この非現実的な状況は、全て、それによるものだと。

「さ、催眠って、あの心の中にある悩みとかを解決する‥」

「違う違う。君が言っているそれは心理療法の事だろ」と楽しそうに否定する。

確かに僕が思い浮かべたのは、催眠療法だ。
暗示をかけて、自分の内面と向き合い解決策を模索するというもの。映画か漫画で見た事があった。

「いや、まぁ的外れでは無いか。心に作用させるという部分では一緒だ。しかしこの催眠アプリは、治療を目的としていない」

催眠、アプリ?

「目的は、内なる自分の心の解放だよ。人間誰しもが持っている性欲。理性というストッパーを強制的に外し、解放させる」

そんな、馬鹿な話。
頭では分かっていても、そうでなければ説明できない事が現実で起こってる。

「真面目ぶっているあそこの二人もそうだ」

動きは激しく、山之内くんと多部くんは吐息を荒くして身悶えている。

校内でも有名な女子バスケット部の姉妹。
全国で発行されている月間バスケットボールの雑誌に載るほどの有名人。

二人の容姿とルックスを求めて、学校まで取材が来たくらいだ。

その二人が、こんな事をしているなんて誰が信じるのだろう。

ぴちゃぴちゅ、と姉の方も慣れて来たのか動きが早くなっている気がする。

「優等生ぶってても、ストッパーを外したらこの通り、単なる雌だ。一緒なんだよ、どいつもこいつも」

その言葉には憎しみが込められていた。

「今、彼らにかけてる暗示は二つ。安西姉妹には、性に関する行為は全てスポーツに繋がると認識させた。その行為をすればするほど、実力が上がる。もうすぐ大会前だ。何としても勝ちたい二人だからこそ有効だと思ってね」

なんて事だ。
もし、そんな事が出来るんだったら、彼女達の今行っている行為の説明がつく。

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