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第四章

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その線は段々と太くなっていき、更に緑、赤、黄色と細い線が現れ、回っている。

あ、れ‥。
なんだ、ろう

『姉の方は催眠深度が大きいな。さては、人を疑う事を知らないな』

遠くから木本の声がする。
振り向きたくても、画面から目を離す事が出来ない。

『対して妹の方は‥駄目だな。これじゃあ身体と意識の硬直くらいしか期待できないね。俺に信頼なんて皆無だろうから当たり前だが。まぁ、いいや。やりようはいくらでもあるし』

色が重なり茶色になり、その色も重なって更に変化する。
段々と、多色に増え混ざり合う。

『もしもし、真野先生?』

画面から強い光が発せられ、私の意識は途切れた。

ーーー
ーー


キーン コーン カーン コーン

校内のチャイムの音で我に帰る。

体育館の時計を見ると、時刻は下校時間を指していた。

帰るか。

僕はズボンを履き、乱雑に置かれた鞄も手に取った。
スマホの画面が割れている。

「うっ、うっ‥」

なんで僕がこんな目に。
いくら考えても答えが出ない。
涙で視界が滲む。

見られた安西姉妹が助けてくれるとは思えない。
どうせ、この学校の生徒は自分のことで精一杯だ。

でも、それはいい。

何事もなかったかのように、無関心でいてくれたらそれでいい。

でも、妹の姫歌がどんな奴なのか僕は知ってる。
自分が面白いと思った事を周りに風潮する人間。
そして、僕がやられていた事を面白いと思うタイプだ。

実際、悲鳴を上げたのは姉の方で、妹はうっすら笑みすら浮かべていたかのように見えた。

そんな奴が黙っているはずも無い。
明日から、僕は悪い意味で注目されることになるだろう。
どう生きていけばいいんだ。

キュッ、キュッと体育館を歩く複数の音がした。

誰か来た。
ま、まさか、多部くん達じゃ‥

「いたいた」

聞こえて来た声は、意外な人物だった。

「あれ?なんだ、履いてるのか」

不気味に笑うその大人は、木本先生だった。
そして、その後ろに綺麗に二列に並んでいる四人の生徒達。

「あ、あの」

「まだ帰ってなかったんだな。良かった」

状況が飲み込めない。

もしかして、木本先生が事情を聞いて、山之内くんと多部くんが謝りに来てくれた?

いや、間違ってもそれはない。
二人は木本先生を虐める立場の人間だ。

それに、謝りに来たという雰囲気でもない。
というよりも、四人とも呆然と立っており、生気を感じられなかった。

木本先生は後ろを振り向き、さぁ、始めるか、と手を叩いた。

バチンっ!

両手で力強く叩いた音は体育館に響き、四人とも目を覚ました。

「あれ、おれ」
「ここって」

山之内くんと多部くんは小さな声でそう呟いている。

「お、おい!何してんだよ!」

二人の焦る声。

無理もない、僕も信じられない光景を目の当たりにしている。

「ふふっ。さぁ、お姉ちゃん、始めよっか」

「う、うん。でも私、初めてで‥」

「え、彼氏にしてあげてないの?」

「だって、こんなの、恥ずかしい」

嬉々としてズボンを脱がし始める妹と対照的に顔を赤らめながら脱がす姉。

「ふ、ふざけんなよっ」

「やめろよ!」

そしてそれをとても嫌そうに抵抗しようと言葉を発する二人。

何が、起こってるんだ。
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