79 / 133
第四章
権力者は思うがままに命ずる⑦
しおりを挟む
「想定外だ」
背後から聞き覚えのある声。
この声は。
そうだ、何故忘れていたのか。
ついさっきまで、この男もいたというのに。
「なんだ、これ?まるで、駄作」
駄作、駄作、駄作と繰り返す。
怒りが込められたその声は、狂気じみていた。
チラリと見える真野君は、殺意の籠った目で彼を見ている。
「ランク1の人間は、どんな命令にも従う」
話しかけながら、私の前に立つ。
「つまり、君の事だよ。そして、ランク3の人間であっても繰り返す事で暗示は深まる」
真野君の元へ行き、彼女の頭を優しく撫でている。
彼女は睨みながら小さく「やめて」と口にしている。
何がどうなっている。
一つだけハッキリしているのは、今目の前にいる男が、私の知っている大門入人とは別人という事だ。
彼は溜息をつきながら続けた。
「今日は理性が無くなった校長にお前を犯させる予定だった。それが、台無しだ。催眠深度が浅かったか?いや、人間の理性が機械を超えたと喜ぶべきか」
クックックと楽しそうに笑う。
「まぁ、いい。理性が完全に勝ったわけではない。校長、俺の言った言葉を覚えてますか?」
また私の前に立ち、目線を合わせてくる。
「誰しもが欲を持っている。欲の前では忠実。現にほら、理性を取り戻したかのように思えるあなたの息子は元気いっぱいだ」
「や、やめろ」
「欲情してるんでしょう?分かりますよ。清廉潔白に見える養護教諭の淫らな姿。さぞかし興奮するでしょう」
そんな事を、言わないでくれ。
「このまま無理やり操り人形にしてしまうこともできるが‥それだと、心が先に壊れてしまうな」
それは今じゃない、と天を仰ぐ。
「まぁいい。暗示は完全に解けていない。意識はそのまま、行動を操作しようか」
手に持っていたスマホが、また、私の前に。
これだ。これが、原因。しかし、その怪しげな画面から目を背ける事は出来ない。
「あ、あぁ」
ぐるぐると、回る。
「校長。意識はそのままに、真野を絶頂させろ」
「ば、ばかな」
言葉とは裏腹に、私の足は真野君の方へと進む。
恐怖で埋め尽くされたその顔に、私も自身の気持ちが揺らぐのが分かった。
しかし、動きは止まらない。
彼女の胸を、両手で揉む。
「や、やめてっ、いやっ」
「こんな、こんなことは間違っている!今すぐ止めるんだ」
「いやいや、校長。カメラから見ると貴方が自分の意思で揉んでいるんですよ」
あははは!
「はぁ。しかしそうですねぇ。無いとは思うが、また校長の理性が勝って萎えても困る。少しテイストを変えましょう。【白衣の乱れ】」
小さな声が漏れ、真野君はまた人形のように固まった。
「そうだな。自分の意識は残しておくとして‥。真野、お前は今から自分の感情とは反対の言葉を口にする。止めて、は続けて。気持ち悪い、は気持ちいいという具合にな。心の中で思った事も口にする、必ずそうなる」
3.2.1‥。
音がして、真野君は目を覚ます。
「こ、校長‥」
困惑しながらも、彼女は、「お願い、」と言葉を切り、そしてあろうことか予想外な言葉を口にした。
背後から聞き覚えのある声。
この声は。
そうだ、何故忘れていたのか。
ついさっきまで、この男もいたというのに。
「なんだ、これ?まるで、駄作」
駄作、駄作、駄作と繰り返す。
怒りが込められたその声は、狂気じみていた。
チラリと見える真野君は、殺意の籠った目で彼を見ている。
「ランク1の人間は、どんな命令にも従う」
話しかけながら、私の前に立つ。
「つまり、君の事だよ。そして、ランク3の人間であっても繰り返す事で暗示は深まる」
真野君の元へ行き、彼女の頭を優しく撫でている。
彼女は睨みながら小さく「やめて」と口にしている。
何がどうなっている。
一つだけハッキリしているのは、今目の前にいる男が、私の知っている大門入人とは別人という事だ。
彼は溜息をつきながら続けた。
「今日は理性が無くなった校長にお前を犯させる予定だった。それが、台無しだ。催眠深度が浅かったか?いや、人間の理性が機械を超えたと喜ぶべきか」
クックックと楽しそうに笑う。
「まぁ、いい。理性が完全に勝ったわけではない。校長、俺の言った言葉を覚えてますか?」
また私の前に立ち、目線を合わせてくる。
「誰しもが欲を持っている。欲の前では忠実。現にほら、理性を取り戻したかのように思えるあなたの息子は元気いっぱいだ」
「や、やめろ」
「欲情してるんでしょう?分かりますよ。清廉潔白に見える養護教諭の淫らな姿。さぞかし興奮するでしょう」
そんな事を、言わないでくれ。
「このまま無理やり操り人形にしてしまうこともできるが‥それだと、心が先に壊れてしまうな」
それは今じゃない、と天を仰ぐ。
「まぁいい。暗示は完全に解けていない。意識はそのまま、行動を操作しようか」
手に持っていたスマホが、また、私の前に。
これだ。これが、原因。しかし、その怪しげな画面から目を背ける事は出来ない。
「あ、あぁ」
ぐるぐると、回る。
「校長。意識はそのままに、真野を絶頂させろ」
「ば、ばかな」
言葉とは裏腹に、私の足は真野君の方へと進む。
恐怖で埋め尽くされたその顔に、私も自身の気持ちが揺らぐのが分かった。
しかし、動きは止まらない。
彼女の胸を、両手で揉む。
「や、やめてっ、いやっ」
「こんな、こんなことは間違っている!今すぐ止めるんだ」
「いやいや、校長。カメラから見ると貴方が自分の意思で揉んでいるんですよ」
あははは!
「はぁ。しかしそうですねぇ。無いとは思うが、また校長の理性が勝って萎えても困る。少しテイストを変えましょう。【白衣の乱れ】」
小さな声が漏れ、真野君はまた人形のように固まった。
「そうだな。自分の意識は残しておくとして‥。真野、お前は今から自分の感情とは反対の言葉を口にする。止めて、は続けて。気持ち悪い、は気持ちいいという具合にな。心の中で思った事も口にする、必ずそうなる」
3.2.1‥。
音がして、真野君は目を覚ます。
「こ、校長‥」
困惑しながらも、彼女は、「お願い、」と言葉を切り、そしてあろうことか予想外な言葉を口にした。
0
お気に入りに追加
130
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる