368 / 385
終章 未来へ
◆セルジュ―役割
しおりを挟む
イリアスの葬儀の翌日、上弦の月の夜に「新聖女封印の儀」が執り行われた。
教皇猊下の心身が気がかりだったが、杞憂に終わった。悲しみをおくびにも出さず、毅然とした態度で儀式に臨んで見せた。
新しい聖女様が眠りについた直後は闇の魔力が安定せず、外の魔物も強いままだ。封印が定着して魔物が弱体化するまで、3ヶ月ほどかかるだろう。
イリアスのあの事件から10日弱。聖女様の封印が解かれてからは、1ヶ月。
何をしても、何もしていなくとも、時間は過ぎる。
そろそろ前に進まなくてはならない……。
◇
「お呼びでしょうか、父上」
「ああ」
「聖女封印の儀」の翌日。
朝食後、父の執務室へ。時刻は朝の8時。
聖銀騎士団の団長になってから、父と顔を合わせる機会が減った。
むろん、疎遠になったというわけではない。家族仲は良好だ。
父には侯爵の仕事、私には聖銀騎士団の仕事があり、何より私には新しい家庭がある。仕事が終わればそれぞれの居住スペースへ帰る――それだけのこと。
大事な話や何か異常があった時に限り、こうやって執務室へ呼び出されるのだが……。
「……何かあったのでしょうか」
「お前の今日の予定を教えてくれ」
「私の予定……?」
「ああ。できるだけ細かく」
「……?」
――なぜそんなことを聞くのだろう。シルベストル家に、そのような習慣はないのだが……。
「このあと、フランツを見舞いに行きます」
「フランツ……そうか」
私の言葉を聞き、父は渋い顔をしてうなる。
イリアスの一連の騒動のあと、フランツは倒れた。
数日間高熱に浮かされ、熱が少し治まったあとも下がりきらず、微熱・頭痛・吐き気といった症状が続いた。
言うまでもなく、心因性のものだ。異様極まりない姿態の男が眼前に現れ殺されかかった上、その男が目の前で死んだ。落雷からの火事も恐ろしかったことだろう。
あまつさえ、「お前のせいでセルジュが死ぬ」といったようなことまで言われ……。
あの日目にしたあらゆる事象が、フランツの心に大きな傷を負わせた。
屋敷の者の心からはイリアスの記憶がどんどん消えていっているのに、フランツの心には焦げ付いて残ってしまった。
イリアスは死んだ。だが、何もかもが終わったわけではないということを別の方向から思い知らされる……。
「……フランツを見舞ったあと、午後からシリル殿の元へ参ります」
「シリル殿?」
「はい。シリル殿は、フランツの事情を知っておいでです。週――いえ、月に一度でもいいので、フランツの心のケアをしていただけるようお願いするつもりです」
「なるほど。あそこの孤児院には、"光の塾"の子供もいるからね」
「はい。教会や孤児院の行事があれば参加させたいと思っております。同年代の子との関わりで、少しでも気晴らしができれば……」
「なるほど。しかしそれではフランツは、孤児院にやられるのでは、と無用な不安にかられるのではないか?」
「もちろん、そういうつもりではないということは説明します。フランツ自身が安心を得られなければ、何も始まりませんから」
「なるほど、立派だ」
「…………、はい」
――何か言葉に含み……というか、トゲがあるような気がしたが、気のせいだろうか?
「……そのあとは」
「聖銀騎士団の詰所へ参ります」
「何の用事で?」
「『何の』……? ……あのようなことがあり、聖銀騎士団には顧問司祭がいない状態です。後任の方を探さねばなりませんし、不在にしていた間に溜まった業務もございます。また、我々聖銀騎士は聖女様をお守りする立場にありながら、その責務を果たすことができませんでした。今後このようなことが二度と起こらないよう、対策を考えていかねば……」
そこまで言ったところで、父は分かりやすく大きい溜息をついた。
「何か、お気に障ることがございましたでしょうか」
「いや、うん。……お前、よく働くね」
「ひと月も留守にしていたのだから当然です」
そう返すと、父は肩をすくめて苦笑いをした。
「それで、遅くまであくせくと働いて……帰りは深夜になるのかな」
「……父上。何かご不満がおありなら、おっしゃってください」
"あくせく"という言葉に嫌味がこもっているように感じて、つい語気が荒くなってしまう。
そんな私の様子を見て父は笑うのをやめ、今度は真顔になる。
「セルジュ。お前、一番大事なことを忘れているよ」
「一番、大事なこと」
「そう。お前にしか果たせない役割だ。……夫、そして、親という」
「え……」
「お前、せっかく戻ってきたというのに、妻子に顔を合わせていないらしいじゃないか。なぜだ?」
「それは……」
――父の言う通り、私は"あの日"……イリアス襲撃の日からずっと捜査や儀式に出ずっぱりで、妻と娘に顔を合わせていない。
「……今は、やらねばならないことが山積していて、少し落ち着いたらゆっくりと時間を、と――」
「フランツの見舞いはするのに、か? じゃあ、お前にとってフランツのことは"仕事"に分類されるわけだ」
「そのような……!」
「セルジュ。お前、思考停止しているよ。『落ち着いたらゆっくりと時間を』? それは一体いつになる。今日会った人間に、明日も会えるわけではない。……幸せな時間は突如奪われてしまうかもしれないことを、お前は身をもって思い知ったはず」
「…………」
――そうだ。ひと月前、私は毒を盛られて意識を失い、イリアスの操り人形と化した。
次に意識が戻ったのは、世界が終わるかどうかの瀬戸際のとき。私は腹を刺し貫いて術の拘束を解き、カイルに伝言を……。世界の破滅は食い止められたが、私は危うく命を落とすところだった。聖女様がいなければ、確実に死んでいた。
操られていたとき、停止していた意識の糸が引っ張られる感覚があった。カイルに食事を持っていったときに彼が発した、「お嬢さんは元気か」「親に会えなくなるのはすごく辛いんだ」という言葉を聞いた瞬間だった……。
会いたい。死の間際も、喋りながら頭の中に妻と娘の姿を思い描いていた。砦にいる間も、片時も忘れたことはなかった。
全てが終わった今、顔を合わせるのに何の障害もない。それなのになぜ会わないのか――。
「……顔を合わせると、二度と離れたくなくなる。何もかも投げ出してしまいそうで……」
「馬鹿だね、お前は。仕事は明日からにして、お前自身の責務を果たしなさい。……さあ、出ておいで、2人とも」
「!」
父の言葉から少し間を置いて、応接に続く扉が開いた。扉の向こうには、娘を抱く妻の姿――。
「あ……」
妻が泣きそうな顔で笑い、抱いていた娘を下に降ろす。
娘はしばらくキョロキョロしていたが、私を見つけると「ぱぱ」とにっこり笑って、こちらへ一直線に駆けてきた。
――前に会ったときより、走るのが上手だ……。
「セシル……」
「ぱぁぱ! だっこ! だっこぉ!」
両手を上げて抱っこをねだる娘――脇に手を入れて抱き上げると、娘は「きゃあ!」と甲高い声を上げて笑う。
「セシル、セシル……」
「ぱぱ、お、かーえーり!」
言いながら娘が私の頬をぺちぺちと叩く。柔らかくて、小さい……。
「ぱぱ」
「…………っ」
「ぱぱ? エーン、エーン?」
小さい手が、私の目元をぬぐう。
「イタイイタイ?」
「……大丈夫、痛くないよ。……あ、待っ、それは、痛いよ、セシル……」
整えていた髪をぐしゃぐしゃにして、娘は私の頭をバチバチと叩く。なぜか嬉しそうだ。
ふと気づくと、傍らに妻が立っていた。泣きそうな顔で笑うと懐からハンカチを取り出して私の涙を拭き、乱れた髪を手ぐしで整えてくれる。
娘を抱いていた手を片方離して妻を抱き寄せると、彼女の目からも涙がこぼれた。
「すまない、2人とも。会いたかった……本当に、会いたかった。それなのに僕は……ごめん、許して……」
――ああ、帰ってきた。やっと帰ってきたんだ。
帰るべきところへ。何を置いても守るべき人のところへ。
「……ただいま……」
掠れた声でそう言うと、「おかえり」という声が2つ返ってきた。
教皇猊下の心身が気がかりだったが、杞憂に終わった。悲しみをおくびにも出さず、毅然とした態度で儀式に臨んで見せた。
新しい聖女様が眠りについた直後は闇の魔力が安定せず、外の魔物も強いままだ。封印が定着して魔物が弱体化するまで、3ヶ月ほどかかるだろう。
イリアスのあの事件から10日弱。聖女様の封印が解かれてからは、1ヶ月。
何をしても、何もしていなくとも、時間は過ぎる。
そろそろ前に進まなくてはならない……。
◇
「お呼びでしょうか、父上」
「ああ」
「聖女封印の儀」の翌日。
朝食後、父の執務室へ。時刻は朝の8時。
聖銀騎士団の団長になってから、父と顔を合わせる機会が減った。
むろん、疎遠になったというわけではない。家族仲は良好だ。
父には侯爵の仕事、私には聖銀騎士団の仕事があり、何より私には新しい家庭がある。仕事が終わればそれぞれの居住スペースへ帰る――それだけのこと。
大事な話や何か異常があった時に限り、こうやって執務室へ呼び出されるのだが……。
「……何かあったのでしょうか」
「お前の今日の予定を教えてくれ」
「私の予定……?」
「ああ。できるだけ細かく」
「……?」
――なぜそんなことを聞くのだろう。シルベストル家に、そのような習慣はないのだが……。
「このあと、フランツを見舞いに行きます」
「フランツ……そうか」
私の言葉を聞き、父は渋い顔をしてうなる。
イリアスの一連の騒動のあと、フランツは倒れた。
数日間高熱に浮かされ、熱が少し治まったあとも下がりきらず、微熱・頭痛・吐き気といった症状が続いた。
言うまでもなく、心因性のものだ。異様極まりない姿態の男が眼前に現れ殺されかかった上、その男が目の前で死んだ。落雷からの火事も恐ろしかったことだろう。
あまつさえ、「お前のせいでセルジュが死ぬ」といったようなことまで言われ……。
あの日目にしたあらゆる事象が、フランツの心に大きな傷を負わせた。
屋敷の者の心からはイリアスの記憶がどんどん消えていっているのに、フランツの心には焦げ付いて残ってしまった。
イリアスは死んだ。だが、何もかもが終わったわけではないということを別の方向から思い知らされる……。
「……フランツを見舞ったあと、午後からシリル殿の元へ参ります」
「シリル殿?」
「はい。シリル殿は、フランツの事情を知っておいでです。週――いえ、月に一度でもいいので、フランツの心のケアをしていただけるようお願いするつもりです」
「なるほど。あそこの孤児院には、"光の塾"の子供もいるからね」
「はい。教会や孤児院の行事があれば参加させたいと思っております。同年代の子との関わりで、少しでも気晴らしができれば……」
「なるほど。しかしそれではフランツは、孤児院にやられるのでは、と無用な不安にかられるのではないか?」
「もちろん、そういうつもりではないということは説明します。フランツ自身が安心を得られなければ、何も始まりませんから」
「なるほど、立派だ」
「…………、はい」
――何か言葉に含み……というか、トゲがあるような気がしたが、気のせいだろうか?
「……そのあとは」
「聖銀騎士団の詰所へ参ります」
「何の用事で?」
「『何の』……? ……あのようなことがあり、聖銀騎士団には顧問司祭がいない状態です。後任の方を探さねばなりませんし、不在にしていた間に溜まった業務もございます。また、我々聖銀騎士は聖女様をお守りする立場にありながら、その責務を果たすことができませんでした。今後このようなことが二度と起こらないよう、対策を考えていかねば……」
そこまで言ったところで、父は分かりやすく大きい溜息をついた。
「何か、お気に障ることがございましたでしょうか」
「いや、うん。……お前、よく働くね」
「ひと月も留守にしていたのだから当然です」
そう返すと、父は肩をすくめて苦笑いをした。
「それで、遅くまであくせくと働いて……帰りは深夜になるのかな」
「……父上。何かご不満がおありなら、おっしゃってください」
"あくせく"という言葉に嫌味がこもっているように感じて、つい語気が荒くなってしまう。
そんな私の様子を見て父は笑うのをやめ、今度は真顔になる。
「セルジュ。お前、一番大事なことを忘れているよ」
「一番、大事なこと」
「そう。お前にしか果たせない役割だ。……夫、そして、親という」
「え……」
「お前、せっかく戻ってきたというのに、妻子に顔を合わせていないらしいじゃないか。なぜだ?」
「それは……」
――父の言う通り、私は"あの日"……イリアス襲撃の日からずっと捜査や儀式に出ずっぱりで、妻と娘に顔を合わせていない。
「……今は、やらねばならないことが山積していて、少し落ち着いたらゆっくりと時間を、と――」
「フランツの見舞いはするのに、か? じゃあ、お前にとってフランツのことは"仕事"に分類されるわけだ」
「そのような……!」
「セルジュ。お前、思考停止しているよ。『落ち着いたらゆっくりと時間を』? それは一体いつになる。今日会った人間に、明日も会えるわけではない。……幸せな時間は突如奪われてしまうかもしれないことを、お前は身をもって思い知ったはず」
「…………」
――そうだ。ひと月前、私は毒を盛られて意識を失い、イリアスの操り人形と化した。
次に意識が戻ったのは、世界が終わるかどうかの瀬戸際のとき。私は腹を刺し貫いて術の拘束を解き、カイルに伝言を……。世界の破滅は食い止められたが、私は危うく命を落とすところだった。聖女様がいなければ、確実に死んでいた。
操られていたとき、停止していた意識の糸が引っ張られる感覚があった。カイルに食事を持っていったときに彼が発した、「お嬢さんは元気か」「親に会えなくなるのはすごく辛いんだ」という言葉を聞いた瞬間だった……。
会いたい。死の間際も、喋りながら頭の中に妻と娘の姿を思い描いていた。砦にいる間も、片時も忘れたことはなかった。
全てが終わった今、顔を合わせるのに何の障害もない。それなのになぜ会わないのか――。
「……顔を合わせると、二度と離れたくなくなる。何もかも投げ出してしまいそうで……」
「馬鹿だね、お前は。仕事は明日からにして、お前自身の責務を果たしなさい。……さあ、出ておいで、2人とも」
「!」
父の言葉から少し間を置いて、応接に続く扉が開いた。扉の向こうには、娘を抱く妻の姿――。
「あ……」
妻が泣きそうな顔で笑い、抱いていた娘を下に降ろす。
娘はしばらくキョロキョロしていたが、私を見つけると「ぱぱ」とにっこり笑って、こちらへ一直線に駆けてきた。
――前に会ったときより、走るのが上手だ……。
「セシル……」
「ぱぁぱ! だっこ! だっこぉ!」
両手を上げて抱っこをねだる娘――脇に手を入れて抱き上げると、娘は「きゃあ!」と甲高い声を上げて笑う。
「セシル、セシル……」
「ぱぱ、お、かーえーり!」
言いながら娘が私の頬をぺちぺちと叩く。柔らかくて、小さい……。
「ぱぱ」
「…………っ」
「ぱぱ? エーン、エーン?」
小さい手が、私の目元をぬぐう。
「イタイイタイ?」
「……大丈夫、痛くないよ。……あ、待っ、それは、痛いよ、セシル……」
整えていた髪をぐしゃぐしゃにして、娘は私の頭をバチバチと叩く。なぜか嬉しそうだ。
ふと気づくと、傍らに妻が立っていた。泣きそうな顔で笑うと懐からハンカチを取り出して私の涙を拭き、乱れた髪を手ぐしで整えてくれる。
娘を抱いていた手を片方離して妻を抱き寄せると、彼女の目からも涙がこぼれた。
「すまない、2人とも。会いたかった……本当に、会いたかった。それなのに僕は……ごめん、許して……」
――ああ、帰ってきた。やっと帰ってきたんだ。
帰るべきところへ。何を置いても守るべき人のところへ。
「……ただいま……」
掠れた声でそう言うと、「おかえり」という声が2つ返ってきた。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。
辺境の薬師は隣国の王太子に溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
一部の界隈でそれなりに有名だった薬師のアラーシャは、隣国に招かれることになった。
隣国の第二王子は、謎の現象によって石のように固まっており、それはいかなる魔法でも治すことができないものだった。
アラーシャは、薬師としての知識を総動員して、第二王子を救った。
すると、その国の第一王子であるギルーゼから求婚された。
彼は、弟を救ったアラーシャに深く感謝し、同時に愛情を抱いたというのだ。
一村娘でしかないアラーシャは、その求婚をとても受け止め切れなかった。
しかし、ギルーゼによって外堀りは埋められていき、彼からの愛情に段々と絆されていった。
こうしてアラーシャは、第一王子の妻となる決意を固め始めるのだった。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
宮廷の九訳士と後宮の生華
狭間夕
キャラ文芸
宮廷の通訳士である英明(インミン)は、文字を扱う仕事をしていることから「暗号の解読」を頼まれることもある。ある日、後宮入りした若い妃に充てられてた手紙が謎の文字で書かれていたことから、これは恋文ではないかと噂になった。真相は単純で、兄が妹に充てただけの悪意のない内容だったが、これをきっかけに静月(ジンユェ)という若い妃のことを知る。通訳士と、後宮の妃。立場は違えど、後宮に生きる華として、二人は陰謀の渦に巻き込まれることになって――
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
公爵子息に気に入られて貴族令嬢になったけど姑の嫌がらせで婚約破棄されました。傷心の私を癒してくれるのは幼馴染だけです
エルトリア
恋愛
「アルフレッド・リヒテンブルグと、リーリエ・バンクシーとの婚約は、只今をもって破棄致します」
塗装看板屋バンクシー・ペイントサービスを営むリーリエは、人命救助をきっかけに出会った公爵子息アルフレッドから求婚される。
平民と貴族という身分差に戸惑いながらも、アルフレッドに惹かれていくリーリエ。
だが、それを快く思わない公爵夫人は、リーリエに対して冷酷な態度を取る。さらには、許嫁を名乗る娘が現れて――。
お披露目を兼ねた舞踏会で、婚約破棄を言い渡されたリーリエが、失意から再び立ち上がる物語。
著者:藤本透
原案:エルトリア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる