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【第2部】7章 風と鳥の図書館
25話 幸せな朝…のはずでした
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「おはようございます……」
「おはよう。どうした、早いな」
土曜日早朝、砦を掃除しているグレンさんに声をかけた。
時刻は6時半。うう、眠い。
「珍しいな。こんな時間に起きてくるのは初めてじゃないか?」
「……え、えと、その」
「ん?」
「今日は帰ってこられないって聞いて、それで朝なら、少しでもお話ができるかと」
「……そうか」
わたしの言葉を聞いてグレンさんは微笑を浮かべて、モップを片手と肩で支えもう片方の手でわたしの顎を持ち、唇を重ねてきた。
「……嬉しいな」
「…………っ」
そんな喜んでもらえて本望ですが。
あ、朝から心拍数が上がりすぎる……!
「あの、えっと、お手伝いすることはありませんか」
「いや、モップは1本しかないしな。それにこれは俺のルーチンだから」
「そうですか……朝の掃除って、ずっとやってらっしゃるんですか」
「ああ。昔から」
「むかし……」
「孤児院でそうしてたから、染み付いてるというか」
「え……」
「……ということを言うと重く取られるかな。まあそれが俺の普通だったから」
「……」
「昔同じことをカイルに話したことがある」
「カイルに、ですか」
「ああ。『なんで誰が決めた訳でもないのにクソ真面目に掃除してるんだ?』と聞くからそう答えたら、ひどく申し訳無さそうな顔して謝ってきて」
「……」
「『聞かれたことに答えただけなのに何謝ってきてるんだこいつ、ワケわからん』と思った」
「そ、そんなぁ」
わたしがそう言うとグレンさんは少し苦笑いする。
「……前の名前の件でも言ったけど、ノルデン人は本当に俺みたいな境遇の奴が普通だから。なので深刻に捉える必要ない。サラッと流してくれればいい」
「はい。……あの、『このおっさんそうなんだ』って思えばいいんですね」
「それは嫌だ」
「えー、だってこの前グレンさんそう言っ」
「俺はおっさんじゃない」
「えええぇ……」
ちょっとむくれるような顔でグレンさんは眉間にシワをよせる。
26歳の男性が膨れるのってちょっと異様だ……。
◇
彼が朝の掃除を終えた後、食堂へやってきて2人で朝食。
最初面接で聞いた通りに朝ごはんの用意はいつもしていない。
グレンさんもそんなガッツリいらないと言うので、簡単にジャムトーストとハムエッグとオニオンスープを作った。
隣に座らないとショボンとしてしまうので、今日も隣に座っている。
……ていうか、この雰囲気って他の人すごく入りづらくない?
誰も起きてこないからいいけど。
「あのう、次から2人しかいない時はその、別室で食べませんか? あの……隊長室とか」
「ん?」
「ええと……風紀が乱れるというか、なんといいますか」
「……それもそうだな。他の者に示しもつかないし」
(おっ?)
意外に真面目な答えが返ってきて拍子抜けしてしまった……けど。
「別室なら、気兼ねなく」
「……気兼ねなく……?」
「……うん」
「き、気兼ねなく、なんですか!?」
わたしの問いに答えることなくグレンさんはトーストをかじり、ニヤリと笑う。
な、何が起ころうというんです……?
「あ、あのあの、今日はどこかで宿を取って、明日はいつ頃帰ってこられるんですかね?」
何やら妖艶な雰囲気を醸し出す彼をかわすため、無理矢理話題をそらす。
「ああ、夕方頃になるな」
「夕方かぁ……」
「レイチェルが帰るまでには命をかけて戻ってくる」
「そ、そんな大げさな」
「……だから、一緒に帰ろう」
「! あ……、は、はい!」
「……声が大きいな」
「ごめんなさい、ふふ」
だってだって、一緒に帰れるなんて嬉しいんだもん!
◇
「何時頃、出られるんですか?」
「今日は9時頃だな。カイルの奴はまだ寝てるみたいだが」
朝食を食べ終えた後、グレンさんの私室に初めて入る。時刻は午前8時。
わたしは椅子に座って足をぶらぶらさせながら彼が準備をしているのを見ていた。
この部屋もやはり彼の家と同じく、備え付けの家具以外は彼の剣とその手入れ道具、それにわずかな着替えしかない。
「……ここもやっぱり物が少ないんですね」
「そうだな。それこそ寝に来るだけの空間だし」
「やっぱりなんだか寂しいなぁ……」
「……昨日」
「え?」
「図書館に業者が入って本棚から何からみんな持って行って、空っぽになった」
「……はい」
「それを見て、何もないのは確かに寂しいかもしれないと初めて思った」
「グレンさん」
グレンさんが、いつも冒険に出る時に着ている赤い革のジャケットを羽織る。
ジャケットに袖通してるだけなのに何かキマって見えるなぁ……。
「……かと言って今更自分の部屋に何か置いてみようという気にもならないんだが」
「なんでもいいんじゃないですか? 花瓶とか、植物とか」
「植物か。枯らしそうだしな……まあ考えておく」
そう言いながら彼は剣の鞘が着いたベルトを腰に巻き付けた。
全然分からないけれど、きっとこの剣もいい物なんだろうな……。
「ていうか、カイル遅いですね。もう8時半なのに」
今起きて、それから朝ごはん食べて朝の準備して……9時出発ならけっこう慌てないといけないような。
「あいつはいつもこうだ。なめてやがる」
「なめて”やがる”ってそんな……。でもカイルって確かに昔から遅刻魔だったから」
「……そうか」
「学校もね、ジャミルはしっかりしてるからいつもカイルを起こして学校に連れて行こうとするんですけど、全然起きなくて。結局ほったらかしにされて遅刻して先生に怒られて、それでしょっちゅう兄弟げんかになっちゃって。わたしも時々起こしに行ったりしたけどほんと全然起きなくて――」
「……ふーん」
「きょ、興味ないですか」
グレンさんは何やら眉間にシワを寄せて手を口に当てている。
興味ないというよりか、何か怒ってらっしゃる……?
「興味ないというか」
「は、はいっ」
「……殺意が芽生えた」
「な、なんでですか!? 今のほのぼのエピソードのどこにそんな要素が……、って、あれ、えっえっ」
グレンさんが、ゆるゆると近づいてきてわたしは後ずさりする。次第に背中が壁について、彼が壁に手をついた。
こ、これ、壁ドン……!
憧れシチュエーションだったけど実際は意外と威圧感があるのね? ……じゃなくて!
「あのう、あのう……わたし、何かいけないことをしましたでしょうか……」
「……レイチェル」
「ふぇいっ」
「グレン”さん”っていうのを禁止したいんだが」
「えっ、きゅ、急に何のお話――」
「敬語も禁止したい」
「えっえっ、そんな、いきなりは」
「もしくは」
「ふぁいっ」
「カイルに”さん”を付けて敬語を使うか」
「ななな、なんでなんで……ひぃぃ」
◇
「やあ、おはよ――」
「遅い。何時だと思ってる」
「ええっ……、9時ちょっと前、いい時間じゃないか」
「社会人は10分前行動だろうが……」
爽やかに集合時間にやってきたカイルに、目を座らせたグレンさんが絡む。
ガラが悪い。ブラック上司みたいだ……。
「しゃ、社会人てお前……それ言うならお前なんかこの前、集合時間直前に風呂入ったじゃ――」
「さっさと行くぞ。……全部秒で狩ってやる」
「こ――――わ……なんだこいつ」
「あはは……が、がんばって」
わたしにとってカイルとジャミルはただの幼なじみで、それ以上でもそれ以下でもない。大人になったとしても。
だけど、他の人から見たらそうじゃない。
……不用意に楽しいエピソードを話して盛り上がってはいけない。
特に、恋人の前では。
覚えました、覚えましたとも……。
「おはよう。どうした、早いな」
土曜日早朝、砦を掃除しているグレンさんに声をかけた。
時刻は6時半。うう、眠い。
「珍しいな。こんな時間に起きてくるのは初めてじゃないか?」
「……え、えと、その」
「ん?」
「今日は帰ってこられないって聞いて、それで朝なら、少しでもお話ができるかと」
「……そうか」
わたしの言葉を聞いてグレンさんは微笑を浮かべて、モップを片手と肩で支えもう片方の手でわたしの顎を持ち、唇を重ねてきた。
「……嬉しいな」
「…………っ」
そんな喜んでもらえて本望ですが。
あ、朝から心拍数が上がりすぎる……!
「あの、えっと、お手伝いすることはありませんか」
「いや、モップは1本しかないしな。それにこれは俺のルーチンだから」
「そうですか……朝の掃除って、ずっとやってらっしゃるんですか」
「ああ。昔から」
「むかし……」
「孤児院でそうしてたから、染み付いてるというか」
「え……」
「……ということを言うと重く取られるかな。まあそれが俺の普通だったから」
「……」
「昔同じことをカイルに話したことがある」
「カイルに、ですか」
「ああ。『なんで誰が決めた訳でもないのにクソ真面目に掃除してるんだ?』と聞くからそう答えたら、ひどく申し訳無さそうな顔して謝ってきて」
「……」
「『聞かれたことに答えただけなのに何謝ってきてるんだこいつ、ワケわからん』と思った」
「そ、そんなぁ」
わたしがそう言うとグレンさんは少し苦笑いする。
「……前の名前の件でも言ったけど、ノルデン人は本当に俺みたいな境遇の奴が普通だから。なので深刻に捉える必要ない。サラッと流してくれればいい」
「はい。……あの、『このおっさんそうなんだ』って思えばいいんですね」
「それは嫌だ」
「えー、だってこの前グレンさんそう言っ」
「俺はおっさんじゃない」
「えええぇ……」
ちょっとむくれるような顔でグレンさんは眉間にシワをよせる。
26歳の男性が膨れるのってちょっと異様だ……。
◇
彼が朝の掃除を終えた後、食堂へやってきて2人で朝食。
最初面接で聞いた通りに朝ごはんの用意はいつもしていない。
グレンさんもそんなガッツリいらないと言うので、簡単にジャムトーストとハムエッグとオニオンスープを作った。
隣に座らないとショボンとしてしまうので、今日も隣に座っている。
……ていうか、この雰囲気って他の人すごく入りづらくない?
誰も起きてこないからいいけど。
「あのう、次から2人しかいない時はその、別室で食べませんか? あの……隊長室とか」
「ん?」
「ええと……風紀が乱れるというか、なんといいますか」
「……それもそうだな。他の者に示しもつかないし」
(おっ?)
意外に真面目な答えが返ってきて拍子抜けしてしまった……けど。
「別室なら、気兼ねなく」
「……気兼ねなく……?」
「……うん」
「き、気兼ねなく、なんですか!?」
わたしの問いに答えることなくグレンさんはトーストをかじり、ニヤリと笑う。
な、何が起ころうというんです……?
「あ、あのあの、今日はどこかで宿を取って、明日はいつ頃帰ってこられるんですかね?」
何やら妖艶な雰囲気を醸し出す彼をかわすため、無理矢理話題をそらす。
「ああ、夕方頃になるな」
「夕方かぁ……」
「レイチェルが帰るまでには命をかけて戻ってくる」
「そ、そんな大げさな」
「……だから、一緒に帰ろう」
「! あ……、は、はい!」
「……声が大きいな」
「ごめんなさい、ふふ」
だってだって、一緒に帰れるなんて嬉しいんだもん!
◇
「何時頃、出られるんですか?」
「今日は9時頃だな。カイルの奴はまだ寝てるみたいだが」
朝食を食べ終えた後、グレンさんの私室に初めて入る。時刻は午前8時。
わたしは椅子に座って足をぶらぶらさせながら彼が準備をしているのを見ていた。
この部屋もやはり彼の家と同じく、備え付けの家具以外は彼の剣とその手入れ道具、それにわずかな着替えしかない。
「……ここもやっぱり物が少ないんですね」
「そうだな。それこそ寝に来るだけの空間だし」
「やっぱりなんだか寂しいなぁ……」
「……昨日」
「え?」
「図書館に業者が入って本棚から何からみんな持って行って、空っぽになった」
「……はい」
「それを見て、何もないのは確かに寂しいかもしれないと初めて思った」
「グレンさん」
グレンさんが、いつも冒険に出る時に着ている赤い革のジャケットを羽織る。
ジャケットに袖通してるだけなのに何かキマって見えるなぁ……。
「……かと言って今更自分の部屋に何か置いてみようという気にもならないんだが」
「なんでもいいんじゃないですか? 花瓶とか、植物とか」
「植物か。枯らしそうだしな……まあ考えておく」
そう言いながら彼は剣の鞘が着いたベルトを腰に巻き付けた。
全然分からないけれど、きっとこの剣もいい物なんだろうな……。
「ていうか、カイル遅いですね。もう8時半なのに」
今起きて、それから朝ごはん食べて朝の準備して……9時出発ならけっこう慌てないといけないような。
「あいつはいつもこうだ。なめてやがる」
「なめて”やがる”ってそんな……。でもカイルって確かに昔から遅刻魔だったから」
「……そうか」
「学校もね、ジャミルはしっかりしてるからいつもカイルを起こして学校に連れて行こうとするんですけど、全然起きなくて。結局ほったらかしにされて遅刻して先生に怒られて、それでしょっちゅう兄弟げんかになっちゃって。わたしも時々起こしに行ったりしたけどほんと全然起きなくて――」
「……ふーん」
「きょ、興味ないですか」
グレンさんは何やら眉間にシワを寄せて手を口に当てている。
興味ないというよりか、何か怒ってらっしゃる……?
「興味ないというか」
「は、はいっ」
「……殺意が芽生えた」
「な、なんでですか!? 今のほのぼのエピソードのどこにそんな要素が……、って、あれ、えっえっ」
グレンさんが、ゆるゆると近づいてきてわたしは後ずさりする。次第に背中が壁について、彼が壁に手をついた。
こ、これ、壁ドン……!
憧れシチュエーションだったけど実際は意外と威圧感があるのね? ……じゃなくて!
「あのう、あのう……わたし、何かいけないことをしましたでしょうか……」
「……レイチェル」
「ふぇいっ」
「グレン”さん”っていうのを禁止したいんだが」
「えっ、きゅ、急に何のお話――」
「敬語も禁止したい」
「えっえっ、そんな、いきなりは」
「もしくは」
「ふぁいっ」
「カイルに”さん”を付けて敬語を使うか」
「ななな、なんでなんで……ひぃぃ」
◇
「やあ、おはよ――」
「遅い。何時だと思ってる」
「ええっ……、9時ちょっと前、いい時間じゃないか」
「社会人は10分前行動だろうが……」
爽やかに集合時間にやってきたカイルに、目を座らせたグレンさんが絡む。
ガラが悪い。ブラック上司みたいだ……。
「しゃ、社会人てお前……それ言うならお前なんかこの前、集合時間直前に風呂入ったじゃ――」
「さっさと行くぞ。……全部秒で狩ってやる」
「こ――――わ……なんだこいつ」
「あはは……が、がんばって」
わたしにとってカイルとジャミルはただの幼なじみで、それ以上でもそれ以下でもない。大人になったとしても。
だけど、他の人から見たらそうじゃない。
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