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◇6-7章 幕間:番外編・小話
ぶどうジュース―グレン(挿絵あり)
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――あの日、ジャミルの働く酒場で食事をしなければ。俺が現金を持ち合わせていれば。
金を取りに行く時にジャミルが監視役としてついてくることはなかった。
俺の紋章に反応したあの剣に、ジャミルが操られることはなかった。
だがそうでなければ、ジャミルはどこかで始末されていたかもしれなかった――。
7月下旬は怒涛の数日間だった。
闇堕ちしかかったジャミル、その弟であるカイルがボコボコに殴り合いを繰り広げて最終的に感情のぶつけ合い。
カイルが急に信じられない挑発をするからどうなることかと思ったが、最終的に収まる所に収まった。
その上、回復魔法をいくら施しても抑えられなかったジャミルの呪いも解けた。
「…………」
今目の前には空になったぶどうジュースの瓶が置いてある。
ジャミルの働く酒場のマスターからもらったものだ。
◇
「いやあ、グレンさん! うちの若手を助けてくれて本当にありがとうございます! 半年もお世話になっちゃって!」
マスターがガハハと気さくに笑う。
このマスターはかつて自分の仲間が闇堕ちして赤眼になってしまい、捕まえて憲兵に引き渡したという過去があるらしい。
だからジャミルを放っておけなかったのだろう。
「いえ……私は何もしていませんから」
――本当に、何もしていない。
やったことといえば、ジャミルの観察日記だけだ。最低の依頼だった。
「それで、お礼と言っちゃ安すぎるかもしれないんだが――」
そう言いながらマスターは、布に包まれた瓶のようなものを取り出した。
「……!」
「これねえ、西ロレーヌの名産でいいやつなんだけど……」
マスターが布を取るとぶどうのラベルが貼ってある瓶が出てきた。
「――ぶどう……ジュース……?」
「お? ……ぶどうは嫌いかい?」
「! ……いえ、そういうわけでは」
(『カラスの黒海』じゃなかった……)
ノルデン人の子供は黒くて残飯や光り物など色々盗むから『カラス』。
俺は当てつけとしてよく『カラスの黒海』というワインを押し付けられてうんざりしていた。
……今回もそれを渡されるかと思って身構えてしまった。
「…………」
「やっぱりワインの方が良かったかな?」
俺の沈黙を否定的な意味合いで取ったらしく、マスターがしょんぼりしながら尋ねてきた。
「あ、いえ――」
「いやね、ここに初めて来てくれた時、20万も食べてくれたけどグレンさん酒一杯も頼んでなかったでしょ? だから酒駄目なのかって思ってさぁ」
「……!」
――この酒場はギルドの近くにある。冒険者がひっきりなしに訪れる、繁盛した酒場だ。
俺がここに訪れたのは半年ほど前。規格外に食って印象深かったかもしれないが、半年前にたった一度訪れただけの人間が酒を頼まなかった事を覚えていた。
そして気を遣ってわざわざアルコールのない飲み物を用意してくれた。それを……。
「……グレンさん?」
「ああ……すみません。はい、実は1滴も飲めなくて――お気遣い、ありがたいです」
「あー やっぱりそうか! じゃあこれどうぞ」
「……ありがとうございます」
◇
――嫌な物をよこされると思った。
――ジャミルはもう闇堕ちして駄目になるから殺さなければいけないと思いこんでいた。あいつの可能性を微塵も信じていなかった。
カイルとも殴り合って終わる。きっともう縁もこれまでだと腹を立てていた。
あることを受け入れるしかない。ジャミルもカイルも両方、バッサリ切り捨てようとしていた。
「…………」
――ものを考えたくない。感情に囚われるのはごめんだ。
思考にモヤがかかっていても振り払おうとせず、面倒だからと考えようともしなかった。
それが最近、ずっと何か考えさせられている。
うやむやにしていた思考。モヤが霧散していくのを感じる。
今日は砦に一人だ。
ルカとフランツとベルナデッタは街に出かけた。カイルは飛竜で遠方まで配達。
それから……。
「こんにちはー!」
「!」
不意に声をかけられたので顔を上げると、レイチェルが立っていた。
いつもは髪を三編みにしてひっつめて七分丈くらいのズボンをはいているが、今日は髪を下ろして白いワンピース、その上に薄い黄色の小さいカーディガンを羽織っている。
……両手に肩に、えらい大荷物を抱えていた。
「レイチェルか……びっくりした」
「ごめんなさい、扉が開いてたから……何をしているんですか?」
「ん? いや別に。……このビンが綺麗だなと思って見てた」
「えええ……? ずっと一人でですか?」
「まあそんなところだ……今日は? すごい大荷物だな」
「はい! 旅行のおみやげを買ってきたんですけど、誰もいないんですよね」
「ああ、たまたまみんな出払ってて」
「みんな、出かけて……?」
「ありゃー」と言いながらレイチェルは顔を少し赤くする。
「部屋に置いておいたらいいんじゃないか? また持ってくるのも面倒だろう」
「そ、そうですね。そうします! あ、グレンさんのおみやげ渡しときますね!」
「俺に?」
「はい! えっと、これと、これとぉ……」
そう言いながらレイチェルは机にゴトゴトと土産を置いていく。
「……ずいぶんあるな」
「はい、お世話になってますから!」
にこにこしながらレイチェルは、袋の中から取り出した土産の最後の一つを机に置いた。チョコレートだらけだ。
「ありがとう。大事に食べる」
俺がそう言うと、レイチェルはパッと顔を明るくしてにっこり笑う。
……ふと、レイチェルが肩から下げてる袋から見える物が目に入る。
(……『かどっこちゃん』だ)
最近知ったゆるいキャラクター、かどっこちゃん。その大きいぬいぐるみが入っていた。
「……かわいいな」
「えぇえっ!?」
俺がかどっこちゃんを指差して言うと、レイチェルは目を最大限見開いてとんでもない大声をあげた。
「声でかいな。びっくりした」
「す、すみません。でも かかっかかかわいいとは??」
「ああ……すまん。そのぬいぐるみが」
「ぬいぐるみ!! この『かどっこちゃん』ですねっ!?」
レイチェルは真っ赤な顔でかどっこちゃんのぬいぐるみを突き出してきた。
「も――びっくりしたぁ、主語がないからわたしのことかって、えへへ」
「ん? ……そうだな。いつもと違っていいんじゃないか」
「えっ!」
「……今日の姿はかわいいと思う。髪下ろしている方がいいな」
俺がそう言うとレイチェルは一瞬で顔を真っ赤にし、口をパクパクさせながら手をワタワタさせた。
「……や、やだもーグレンさんたら! からかわないでくださいよー! あのっ、それじゃわたし、失礼しますです!!」
言うやいなや、レイチェルはシュバッと隊長室を出て、バタバタと大きい足音を立てて自室への階段を登っていった。
(……別にからかってはいないんだが)
思ったことを言ったんだが、ちゃらんぽらんな態度しか取っていないからそう思われるのも仕方がないか。
レイチェルが立ち去ったあと、机にたくさん置かれたお土産を手にとって一つ一つ見ていた。
チョコレート菓子がたくさん。それと「かどっこちゃん」のマスコット付のビン。
(『ご当地かどっこちゃん付ジュース』……『ご当地』って何だ?)
マスコットは俺の手のひらに収まるくらいのサイズでそこそこ大きい。どっちがおまけだか分からない。
もちもちでフワフワだ。この『かどっこちゃん』はぶどうを持っている。
「ぶどう、ジュース……」
西ロレーヌ産のぶどうを使った小さいビンに入ったぶどうジュース。ラベルには『かどっこちゃん』が描かれていた。
「…………」
外から鳥の鳴き声の他に虫の声が聞こえてくる。セミという虫らしい。とてもうるさい。
雑音は耳に入れたくない。聞きたくない。耳を塞いでいたい。静かに暮らしたい。
――なのに最近、周りがずっと騒がしい。遮断していた音が耳に入ってくる。
そればかりでなく音の中に、騒がしい中に引きずり込まれている。
俺は変化を望まない。だが周りは目まぐるしく変化していっている。
ジャミルもルカもカイルも変わった――変わるきっかけはなんだっただろう。
俺も立ち止まっている肩を叩かれ、背中を押されて、手を引っ張られているように感じる。
何故そう思うんだろう。何がそうさせるんだろう。
レイチェルは家に帰ったようだ。他のメンバーも出払ったまま。砦は再び俺一人になった。
俺はその後もしばらく、セミの声が響く砦の一室で空になったぶどうジュースのビンと新しいぶどうジュースのビンをただぼんやり眺めていた。
金を取りに行く時にジャミルが監視役としてついてくることはなかった。
俺の紋章に反応したあの剣に、ジャミルが操られることはなかった。
だがそうでなければ、ジャミルはどこかで始末されていたかもしれなかった――。
7月下旬は怒涛の数日間だった。
闇堕ちしかかったジャミル、その弟であるカイルがボコボコに殴り合いを繰り広げて最終的に感情のぶつけ合い。
カイルが急に信じられない挑発をするからどうなることかと思ったが、最終的に収まる所に収まった。
その上、回復魔法をいくら施しても抑えられなかったジャミルの呪いも解けた。
「…………」
今目の前には空になったぶどうジュースの瓶が置いてある。
ジャミルの働く酒場のマスターからもらったものだ。
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「いやあ、グレンさん! うちの若手を助けてくれて本当にありがとうございます! 半年もお世話になっちゃって!」
マスターがガハハと気さくに笑う。
このマスターはかつて自分の仲間が闇堕ちして赤眼になってしまい、捕まえて憲兵に引き渡したという過去があるらしい。
だからジャミルを放っておけなかったのだろう。
「いえ……私は何もしていませんから」
――本当に、何もしていない。
やったことといえば、ジャミルの観察日記だけだ。最低の依頼だった。
「それで、お礼と言っちゃ安すぎるかもしれないんだが――」
そう言いながらマスターは、布に包まれた瓶のようなものを取り出した。
「……!」
「これねえ、西ロレーヌの名産でいいやつなんだけど……」
マスターが布を取るとぶどうのラベルが貼ってある瓶が出てきた。
「――ぶどう……ジュース……?」
「お? ……ぶどうは嫌いかい?」
「! ……いえ、そういうわけでは」
(『カラスの黒海』じゃなかった……)
ノルデン人の子供は黒くて残飯や光り物など色々盗むから『カラス』。
俺は当てつけとしてよく『カラスの黒海』というワインを押し付けられてうんざりしていた。
……今回もそれを渡されるかと思って身構えてしまった。
「…………」
「やっぱりワインの方が良かったかな?」
俺の沈黙を否定的な意味合いで取ったらしく、マスターがしょんぼりしながら尋ねてきた。
「あ、いえ――」
「いやね、ここに初めて来てくれた時、20万も食べてくれたけどグレンさん酒一杯も頼んでなかったでしょ? だから酒駄目なのかって思ってさぁ」
「……!」
――この酒場はギルドの近くにある。冒険者がひっきりなしに訪れる、繁盛した酒場だ。
俺がここに訪れたのは半年ほど前。規格外に食って印象深かったかもしれないが、半年前にたった一度訪れただけの人間が酒を頼まなかった事を覚えていた。
そして気を遣ってわざわざアルコールのない飲み物を用意してくれた。それを……。
「……グレンさん?」
「ああ……すみません。はい、実は1滴も飲めなくて――お気遣い、ありがたいです」
「あー やっぱりそうか! じゃあこれどうぞ」
「……ありがとうございます」
◇
――嫌な物をよこされると思った。
――ジャミルはもう闇堕ちして駄目になるから殺さなければいけないと思いこんでいた。あいつの可能性を微塵も信じていなかった。
カイルとも殴り合って終わる。きっともう縁もこれまでだと腹を立てていた。
あることを受け入れるしかない。ジャミルもカイルも両方、バッサリ切り捨てようとしていた。
「…………」
――ものを考えたくない。感情に囚われるのはごめんだ。
思考にモヤがかかっていても振り払おうとせず、面倒だからと考えようともしなかった。
それが最近、ずっと何か考えさせられている。
うやむやにしていた思考。モヤが霧散していくのを感じる。
今日は砦に一人だ。
ルカとフランツとベルナデッタは街に出かけた。カイルは飛竜で遠方まで配達。
それから……。
「こんにちはー!」
「!」
不意に声をかけられたので顔を上げると、レイチェルが立っていた。
いつもは髪を三編みにしてひっつめて七分丈くらいのズボンをはいているが、今日は髪を下ろして白いワンピース、その上に薄い黄色の小さいカーディガンを羽織っている。
……両手に肩に、えらい大荷物を抱えていた。
「レイチェルか……びっくりした」
「ごめんなさい、扉が開いてたから……何をしているんですか?」
「ん? いや別に。……このビンが綺麗だなと思って見てた」
「えええ……? ずっと一人でですか?」
「まあそんなところだ……今日は? すごい大荷物だな」
「はい! 旅行のおみやげを買ってきたんですけど、誰もいないんですよね」
「ああ、たまたまみんな出払ってて」
「みんな、出かけて……?」
「ありゃー」と言いながらレイチェルは顔を少し赤くする。
「部屋に置いておいたらいいんじゃないか? また持ってくるのも面倒だろう」
「そ、そうですね。そうします! あ、グレンさんのおみやげ渡しときますね!」
「俺に?」
「はい! えっと、これと、これとぉ……」
そう言いながらレイチェルは机にゴトゴトと土産を置いていく。
「……ずいぶんあるな」
「はい、お世話になってますから!」
にこにこしながらレイチェルは、袋の中から取り出した土産の最後の一つを机に置いた。チョコレートだらけだ。
「ありがとう。大事に食べる」
俺がそう言うと、レイチェルはパッと顔を明るくしてにっこり笑う。
……ふと、レイチェルが肩から下げてる袋から見える物が目に入る。
(……『かどっこちゃん』だ)
最近知ったゆるいキャラクター、かどっこちゃん。その大きいぬいぐるみが入っていた。
「……かわいいな」
「えぇえっ!?」
俺がかどっこちゃんを指差して言うと、レイチェルは目を最大限見開いてとんでもない大声をあげた。
「声でかいな。びっくりした」
「す、すみません。でも かかっかかかわいいとは??」
「ああ……すまん。そのぬいぐるみが」
「ぬいぐるみ!! この『かどっこちゃん』ですねっ!?」
レイチェルは真っ赤な顔でかどっこちゃんのぬいぐるみを突き出してきた。
「も――びっくりしたぁ、主語がないからわたしのことかって、えへへ」
「ん? ……そうだな。いつもと違っていいんじゃないか」
「えっ!」
「……今日の姿はかわいいと思う。髪下ろしている方がいいな」
俺がそう言うとレイチェルは一瞬で顔を真っ赤にし、口をパクパクさせながら手をワタワタさせた。
「……や、やだもーグレンさんたら! からかわないでくださいよー! あのっ、それじゃわたし、失礼しますです!!」
言うやいなや、レイチェルはシュバッと隊長室を出て、バタバタと大きい足音を立てて自室への階段を登っていった。
(……別にからかってはいないんだが)
思ったことを言ったんだが、ちゃらんぽらんな態度しか取っていないからそう思われるのも仕方がないか。
レイチェルが立ち去ったあと、机にたくさん置かれたお土産を手にとって一つ一つ見ていた。
チョコレート菓子がたくさん。それと「かどっこちゃん」のマスコット付のビン。
(『ご当地かどっこちゃん付ジュース』……『ご当地』って何だ?)
マスコットは俺の手のひらに収まるくらいのサイズでそこそこ大きい。どっちがおまけだか分からない。
もちもちでフワフワだ。この『かどっこちゃん』はぶどうを持っている。
「ぶどう、ジュース……」
西ロレーヌ産のぶどうを使った小さいビンに入ったぶどうジュース。ラベルには『かどっこちゃん』が描かれていた。
「…………」
外から鳥の鳴き声の他に虫の声が聞こえてくる。セミという虫らしい。とてもうるさい。
雑音は耳に入れたくない。聞きたくない。耳を塞いでいたい。静かに暮らしたい。
――なのに最近、周りがずっと騒がしい。遮断していた音が耳に入ってくる。
そればかりでなく音の中に、騒がしい中に引きずり込まれている。
俺は変化を望まない。だが周りは目まぐるしく変化していっている。
ジャミルもルカもカイルも変わった――変わるきっかけはなんだっただろう。
俺も立ち止まっている肩を叩かれ、背中を押されて、手を引っ張られているように感じる。
何故そう思うんだろう。何がそうさせるんだろう。
レイチェルは家に帰ったようだ。他のメンバーも出払ったまま。砦は再び俺一人になった。
俺はその後もしばらく、セミの声が響く砦の一室で空になったぶどうジュースのビンと新しいぶどうジュースのビンをただぼんやり眺めていた。
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