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5章 兄弟
3話 レイチェルの冒険
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「おっ、学生さん、久々じゃないか?」
「はい。これお願いしまーす」
わたしは久々に、作った薬草をギルドに売りにきていた。
薬草を無心に作っていると、余計なことを考えなくて済むから。
「はぁ……」
ため息ばかり出てしまう。
ジャミルは少し落ち着いたものの、ベルに回復魔法をかけてもらうために自宅には帰らず、砦の自室で安静にしたまま。
なんであの時「カイル」って呼んじゃったんだろう。もっとうまいやり方があったかもしれないのに……。
(もう砦には来ないのかな……)
カイルは今はどこでどうしているんだろう。話を聞きたい。
ジャミルはあれからグレンさんに彼の事を聞いたみたいだけど……その場にわたしがいるのも変な話だし。
グレンさんは魔物退治でまた会うみたいだから、なんとか手紙だけでも渡してもらえないかな?
読んでもらえるか分からないけど――でもどんな形でもいいから、わたしは彼に言いたいことが……。
「ああ~、クライブさん、ちょうどいい! あんたに頼みたい仕事が……」
「!!」
ぼーっと考え事をしていたら、聞き覚えのある名前が耳に入ってきた。
(か、カイル……! )
声の方を振り向くと、『クライブ』と呼ばれる彼がギルドの人と何か話をしている。
(わわわ……)
話をしたい! とか思ってたのにわたしは思わず物陰に隠れてしまった。
(…………)
息をひそめて、わたしは物陰から様子を伺う。
「仕事? 何かな?」
「実は……」
彼は今まで砦に来ていた時と同じに、さわやかで気さくに笑い応対している。
あの時の冷たい目が嘘みたいだ。
『クライブさん、ちょうどいい』だって……ギルドの人に憶えられて仕事を任されるくらい名前が知れてるんだ。
でも、どうして偽名を使っているんだろう? 疑問がつきない。
「……分かった。今はちょうど手が空いてるから任せてくれ」
「お待たせー、学生さん!」
!!
「は……はひっ」
不意に後ろから呼ばれて必要以上にびっくりして変な声が出てしまった。薬草の勘定が終わったのだ。
「どうした? 大丈夫かい?」
「ええ、ええ、大丈夫です……」
「今日は2000リエールになるよ。はい」
「はい……ありがとうございます」
(……き、聞こえてないよね……あっ!)
ヒソヒソ声で会計を済まして彼の方を見やるとちょうど出ていくところだ。
(お、追いかけよう!)
わたしはお金を受け取り、あわててギルドを飛び出す。
レイチェル、動きます……!
◇
(どこまで行くのかな……?)
距離を適度に保ちながら、カバンで顔を隠しつつ彼を尾行中。
どう見ても不審人物だけど、今の所気づかれてはいないみたい。
やがて彼は細い路地裏に入っていった。
(わわ……どうしよう)
王都から少し離れているけど、ギルドのあるここポルト市街は色んな店が建ち並ぶ栄えた街だ。
日中は冒険者以外にも家族連れやカップルや学生で賑わう。
……とはいえ、大通りから離れた路地裏には入ったことがなく未知のゾーンだ。
ここから先ってどうなってるのかな? 入ってっちゃって大丈夫かな?
うーん、考えても仕方ないか。行っちゃえ行っちゃえ。
「……」
路地裏に入っていくと、開店前のバーやバルがちらほら姿を現した。
(こんな風になってるんだ……)
キョロキョロ辺りを見回しながらも彼を追いかけると、また大きな通りに出た。
(なんだろ、何か不思議な感じの建物が……)
そこは宿屋? のような建物がある通りだけれど、建物の様相が普通の宿屋とは違うような……?
お城みたいな造りだけど壁の色がピンクっぽかったり、紫っぽかったりする怪しい宿屋がたくさん。
カイルはこんな所に何の用なのかな?
そういえば、気のせいか周りから視線を感じるような……?
……と、その時、後ろから誰かがわたしの肩をガッとつかんだ。
「きゃっ!? ……あれ? グレンさん!」
肩をつかんだ主はグレンさんだった。心なしか少し焦っているように見えるけど……。
「『あれ? グレンさん』じゃない。こんな所で何してるんだ? ……ここは一人で来るような場所じゃないぞ」
「そうなんですか? わたしあの……カイルを追いかけてて」
「カイルを? こんな所まで?」
「はい。グレンさんは、どうしてここに」
「レイチェルがここに入っていくのが見えたから。もう一度言うが、ここは女の子が一人で来る場所じゃない。早く引き返すんだ」
「で、でもカイルと話がしたくて……って、あれ? いない!」
せっかくここまで追いかけてきたのに、引き止められてる間にもカイルは先に進んで行ったようで、見失ってしまった。
「あ、あああ……。もう、グレンさん……」
わたしは恨みがましくグレンさんを見上げる。
「……まあそれは俺が悪かったけど……あいつの行き先は分かってるから」
「えっ、ホントですか!? あの、教えてください!」
「ここをまっすぐ行って次の角を曲がったすぐの所に旅人用の安宿があって……」
「ありがとうございます! じゃあ――」
「待て待て、一人で行くんじゃない」
早速そこへ向かおうとするわたしの肩をグレンさんが再びぐいっとつかむ。
「もう、どうしてですかー!」
「どうしてって、あのな……この界隈は危ないんだ。女の子が一人、そんな格好でうろついたら何があるか……」
「そんな格好って、制服ですよ? どこもおかしい所なんて」
「違……ああもう、いい。俺がそこまで同行するから」
「え、でもわたしの用事なのに、悪いです」
「いいから。今は、言う通りに」
「は、はい。それじゃ、お願いします……?」
強めに言われてしまい、従うしかないような雰囲気。
なんだかわたし、グレンさんを怒らせちゃってる? 心当たりがないなぁ……。
◇
グレンさんの後ろについて、通りを歩いているけど……宿屋ばっかりだなぁ。
メルヘンなかわいい建物にどぎつい原色の壁の建物。
どの宿屋も看板に『休憩』『宿泊』って書いてある。
『休憩』ってなんだろう? ……温泉とかかな??
「この辺りって、ヘンな建物ばかりですねぇ」
「………………」
「わたし、こういう造りの宿屋って初めて見ました」
「………………」
「あのー……」
「…………黙って、歩きなさい」
「あ、はい」
「………………」
ちょいちょい話しかけてみるけど、グレンさんの反応は悪い。
砦や図書館で話す時とは違う……機嫌が悪いのかな……? もしかして、用事があったとか?
「あの、グレンさん」
「ん?」
「ごめんなさい、お手間かけさせちゃって……わたし」
「別にいい。ただいくら彼氏のためとはいえ一人でこんな所に――」
(ん? 彼氏?)
「彼氏?? 彼氏って誰のことですか?」
「誰って……ジャミル君だろ?」
「ええっ!? 違いますよぉ! ジャミルはただの幼なじみで、彼氏とかじゃありません!」
「……そうなのか」
ジャミルが彼氏?
何をどうやってそんな勘違いされちゃうんだろう……不思議だ。
「……まあ、それはそれとして、男が一人で泊まってる宿屋に行っちゃ駄目だ。こういう界隈じゃなくても」
「あ、はい……」
グレンさんの言っていることがよく分からないけど、とりあえず返事しておく。
「……でも」
「でも?」
「でも、カイルですよ? 知らない人じゃないし……」
「『カイルですよ?』って……、……えぇえ……」
グレンさんはルカに何か言って聞かせる時みたいな呆れた顔で大きくため息をついた。ていうか……何か、引いてる??
「ご、ごめんなさい」
「いや別に、怒ってはいないけど」
「ほ、ほんとですか? でも」
片手で顔を覆って首振ったりして、『なんてこった』みたいなリアクションなんですけど……。
「怒ってない。……マジか とは思ってるが」
「マジか って??」
何が『マジか』なんだろう? や、やっぱり怒ってるんじゃないのかな……?
「いや、いい。気にするな。……着いたぞ」
「あ、はい」
そこは他の派手な色彩の建物とはちがう、単身用の旅人の宿屋だった。1階は酒場になっている。
グレンさんが宿の人に言ってカイルを呼び出してくれるみたい。
なんとか話ができればいいけど……。
「はい。これお願いしまーす」
わたしは久々に、作った薬草をギルドに売りにきていた。
薬草を無心に作っていると、余計なことを考えなくて済むから。
「はぁ……」
ため息ばかり出てしまう。
ジャミルは少し落ち着いたものの、ベルに回復魔法をかけてもらうために自宅には帰らず、砦の自室で安静にしたまま。
なんであの時「カイル」って呼んじゃったんだろう。もっとうまいやり方があったかもしれないのに……。
(もう砦には来ないのかな……)
カイルは今はどこでどうしているんだろう。話を聞きたい。
ジャミルはあれからグレンさんに彼の事を聞いたみたいだけど……その場にわたしがいるのも変な話だし。
グレンさんは魔物退治でまた会うみたいだから、なんとか手紙だけでも渡してもらえないかな?
読んでもらえるか分からないけど――でもどんな形でもいいから、わたしは彼に言いたいことが……。
「ああ~、クライブさん、ちょうどいい! あんたに頼みたい仕事が……」
「!!」
ぼーっと考え事をしていたら、聞き覚えのある名前が耳に入ってきた。
(か、カイル……! )
声の方を振り向くと、『クライブ』と呼ばれる彼がギルドの人と何か話をしている。
(わわわ……)
話をしたい! とか思ってたのにわたしは思わず物陰に隠れてしまった。
(…………)
息をひそめて、わたしは物陰から様子を伺う。
「仕事? 何かな?」
「実は……」
彼は今まで砦に来ていた時と同じに、さわやかで気さくに笑い応対している。
あの時の冷たい目が嘘みたいだ。
『クライブさん、ちょうどいい』だって……ギルドの人に憶えられて仕事を任されるくらい名前が知れてるんだ。
でも、どうして偽名を使っているんだろう? 疑問がつきない。
「……分かった。今はちょうど手が空いてるから任せてくれ」
「お待たせー、学生さん!」
!!
「は……はひっ」
不意に後ろから呼ばれて必要以上にびっくりして変な声が出てしまった。薬草の勘定が終わったのだ。
「どうした? 大丈夫かい?」
「ええ、ええ、大丈夫です……」
「今日は2000リエールになるよ。はい」
「はい……ありがとうございます」
(……き、聞こえてないよね……あっ!)
ヒソヒソ声で会計を済まして彼の方を見やるとちょうど出ていくところだ。
(お、追いかけよう!)
わたしはお金を受け取り、あわててギルドを飛び出す。
レイチェル、動きます……!
◇
(どこまで行くのかな……?)
距離を適度に保ちながら、カバンで顔を隠しつつ彼を尾行中。
どう見ても不審人物だけど、今の所気づかれてはいないみたい。
やがて彼は細い路地裏に入っていった。
(わわ……どうしよう)
王都から少し離れているけど、ギルドのあるここポルト市街は色んな店が建ち並ぶ栄えた街だ。
日中は冒険者以外にも家族連れやカップルや学生で賑わう。
……とはいえ、大通りから離れた路地裏には入ったことがなく未知のゾーンだ。
ここから先ってどうなってるのかな? 入ってっちゃって大丈夫かな?
うーん、考えても仕方ないか。行っちゃえ行っちゃえ。
「……」
路地裏に入っていくと、開店前のバーやバルがちらほら姿を現した。
(こんな風になってるんだ……)
キョロキョロ辺りを見回しながらも彼を追いかけると、また大きな通りに出た。
(なんだろ、何か不思議な感じの建物が……)
そこは宿屋? のような建物がある通りだけれど、建物の様相が普通の宿屋とは違うような……?
お城みたいな造りだけど壁の色がピンクっぽかったり、紫っぽかったりする怪しい宿屋がたくさん。
カイルはこんな所に何の用なのかな?
そういえば、気のせいか周りから視線を感じるような……?
……と、その時、後ろから誰かがわたしの肩をガッとつかんだ。
「きゃっ!? ……あれ? グレンさん!」
肩をつかんだ主はグレンさんだった。心なしか少し焦っているように見えるけど……。
「『あれ? グレンさん』じゃない。こんな所で何してるんだ? ……ここは一人で来るような場所じゃないぞ」
「そうなんですか? わたしあの……カイルを追いかけてて」
「カイルを? こんな所まで?」
「はい。グレンさんは、どうしてここに」
「レイチェルがここに入っていくのが見えたから。もう一度言うが、ここは女の子が一人で来る場所じゃない。早く引き返すんだ」
「で、でもカイルと話がしたくて……って、あれ? いない!」
せっかくここまで追いかけてきたのに、引き止められてる間にもカイルは先に進んで行ったようで、見失ってしまった。
「あ、あああ……。もう、グレンさん……」
わたしは恨みがましくグレンさんを見上げる。
「……まあそれは俺が悪かったけど……あいつの行き先は分かってるから」
「えっ、ホントですか!? あの、教えてください!」
「ここをまっすぐ行って次の角を曲がったすぐの所に旅人用の安宿があって……」
「ありがとうございます! じゃあ――」
「待て待て、一人で行くんじゃない」
早速そこへ向かおうとするわたしの肩をグレンさんが再びぐいっとつかむ。
「もう、どうしてですかー!」
「どうしてって、あのな……この界隈は危ないんだ。女の子が一人、そんな格好でうろついたら何があるか……」
「そんな格好って、制服ですよ? どこもおかしい所なんて」
「違……ああもう、いい。俺がそこまで同行するから」
「え、でもわたしの用事なのに、悪いです」
「いいから。今は、言う通りに」
「は、はい。それじゃ、お願いします……?」
強めに言われてしまい、従うしかないような雰囲気。
なんだかわたし、グレンさんを怒らせちゃってる? 心当たりがないなぁ……。
◇
グレンさんの後ろについて、通りを歩いているけど……宿屋ばっかりだなぁ。
メルヘンなかわいい建物にどぎつい原色の壁の建物。
どの宿屋も看板に『休憩』『宿泊』って書いてある。
『休憩』ってなんだろう? ……温泉とかかな??
「この辺りって、ヘンな建物ばかりですねぇ」
「………………」
「わたし、こういう造りの宿屋って初めて見ました」
「………………」
「あのー……」
「…………黙って、歩きなさい」
「あ、はい」
「………………」
ちょいちょい話しかけてみるけど、グレンさんの反応は悪い。
砦や図書館で話す時とは違う……機嫌が悪いのかな……? もしかして、用事があったとか?
「あの、グレンさん」
「ん?」
「ごめんなさい、お手間かけさせちゃって……わたし」
「別にいい。ただいくら彼氏のためとはいえ一人でこんな所に――」
(ん? 彼氏?)
「彼氏?? 彼氏って誰のことですか?」
「誰って……ジャミル君だろ?」
「ええっ!? 違いますよぉ! ジャミルはただの幼なじみで、彼氏とかじゃありません!」
「……そうなのか」
ジャミルが彼氏?
何をどうやってそんな勘違いされちゃうんだろう……不思議だ。
「……まあ、それはそれとして、男が一人で泊まってる宿屋に行っちゃ駄目だ。こういう界隈じゃなくても」
「あ、はい……」
グレンさんの言っていることがよく分からないけど、とりあえず返事しておく。
「……でも」
「でも?」
「でも、カイルですよ? 知らない人じゃないし……」
「『カイルですよ?』って……、……えぇえ……」
グレンさんはルカに何か言って聞かせる時みたいな呆れた顔で大きくため息をついた。ていうか……何か、引いてる??
「ご、ごめんなさい」
「いや別に、怒ってはいないけど」
「ほ、ほんとですか? でも」
片手で顔を覆って首振ったりして、『なんてこった』みたいなリアクションなんですけど……。
「怒ってない。……マジか とは思ってるが」
「マジか って??」
何が『マジか』なんだろう? や、やっぱり怒ってるんじゃないのかな……?
「いや、いい。気にするな。……着いたぞ」
「あ、はい」
そこは他の派手な色彩の建物とはちがう、単身用の旅人の宿屋だった。1階は酒場になっている。
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なんとか話ができればいいけど……。
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